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久しぶりのメンバー全員での仕事の日。
仕事を終えた後、岩本くんを廊下に呼び出した。
心臓が早鐘のように打ち、手のひらが少し汗ばんでいるのが分かる。
「…岩本くんに話があって」
そう言って岩本くんを見つめると、岩本くん普段通りの冷静な顔をしていた。
その顔を見ていると、どうしても言葉が出てこなかった。
岩本くんが静かに口を開く。
「どうした?」
しばらく言葉を探しながら、深呼吸をした。もう、言わなければならないと思ったから。
「岩本くん、実は、俺……」
言葉が思ったように出てこない。
でも、ここで逃げたら後悔するだけだ。意を決して、岩本くんの目を見つめながら続けた。
「俺、岩本くんのことが……好きです。今すぐに答えをもらいたいわけじゃないけど、少しだけ意識してほしいなって思って、伝えたくて」
その一言が口から出た瞬間、胸の中で何かがスッと楽になった気がした。
岩本くんは目を大きく見開いて、驚いた様子で俺を見る。
「え……?」
少し俯きながらも、再び顔を上げて、岩本くんを見つめた。
「そんなに驚かせたくはなかったけど、でも、ずっと伝えたかったから。無理に答えを求めたりしないけど、少しでも意識してほしいんです」
しばらく沈黙が流れる。
岩本くんは驚きと戸惑いが入り混じった表情で、俺をじっと見つめている。その様子を見て、少し不安になってきた。
「……ごめん、急にこんなこと言って、」
岩本くんがやっと口を開いた。
「……そっか、、ちょっと驚いたけど…ありがとう、目黒。ちょっと頭を整理したいから、時間をくれ」
その言葉に、少しホッとしたと同時に、胸の中で何かがまたモヤモヤした。
これでよかったのか、伝えてしまって良かったのか。
でも、岩本くんが受け止めてくれたことに少し安堵し、顔を上げる。
「うん、分かった」
軽く頷き、ゆっくりと廊下を歩きながら、楽屋へと向かう。
頭の中では岩本くんの顔がぐるぐると回っていた。自分の気持ちを伝えたことで、これから何が変わるのか。まだ、答えがもらえたわけではないけれど、一歩踏み出せた気がしていた。