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そして有名な男優の幸せな姿をを一目残そうと、数々のゴシップ記者もこの披露宴を取材に来ていた
エアコンのよく聞いた室内でも、晴れ着姿の私には熱いくらいだった
披露宴のテーブルには温かいロブスターや、スモークしたテンダーサーロインステーキ、キハダマグロのグリルやさまざまな魚介類、そしてどのテーブルにも中央にチョコレートファウンテンが設置されていて、様々な食材をチョコレートにつけて食べられるようにしてある
白い手袋をはめたウェイター達がよく冷えたシャンパンを、配り歩くのに忙しくしているのを眺めながら
幼い頃から母に連れられて数々の、慈善事業のパーティーに行ったけど、これだけたくさんのご馳走を一度に目にするのは生まれて初めてだと思っていた
たまに父に恵まれない子供の話などをすると、大金持ちの家に生まれた苦労知らず娘のありがちな罪悪感だとすぐに一括されたものだ
どんな環境にいても懸命に働きさえすれば、ひと花咲かすことができると父は言った
そうした時代を生き抜いてきた父は地球上でもっとも頑固な人種に属し、夢破れてもなお根性でのし上がってきた
そしてその頑固者の血は・・・・当然私にも受け継がれている
母は兄は母に似て私の性格は父にとてもよく似ていると言った
披露宴も中盤に差しかかり、どこを見渡しても、人、人、人で目に映るのはみんなの口ばかりだった。あっちでもこっちでもワイワイにぎやかに、おしゃべりが飛んでいる
今や父は異様な雰囲気を醸し出しているテーブルの、財政界のトップの人達に酌をして話し込んでいる
今父と話している人は・・・見たことがる
元この国の首相だ
会話が一段落し父がテーブルから立った、タイミングを私は待ち構えていた
「パパ!」
「おお!鈴子か!その晴れ着とても良く似合っているな」
父の声はしわがれていて、誰かのご機嫌取りなどする必要のない人生を歩んできた人間特有の気の短さを内面に持っている
「晴れ着の事なんかどうでもいいわ、とにかく私の話を聞いてほしいの!」
「カメラマンが来た、笑いなさい」
父がそう言うと数人のカメラマンが近寄ってきた、父は私の肩を抱き私も父に寄り添って、笑顔を見せた
まばゆいフラッシュを浴びてから、カメラマンが去り、私たちはまたもとの距離に戻った
「どうして俊哉と会ってくれないの?この間電話で彼と話してくれた時も、パパはとても不愛想で可哀そうに俊哉は、パパに言いたいことの半分も言えなかったのよ!」
「相手の本性を探り出すのには、不愛想にするのが一番いいんだ、腹に何を考えているのかわかるからな」
私は今日ここにいる理由をいよいよ、父に話す時だと思った