____
運営全員が同時に目を覚ます。
けれど、彼らの目に映る景色は同じではなかった。
____
「…ここって、」
額に汗を滲ませる黄色はあたりを見渡す。
見覚えのあるその場所は青色と初めて出逢った場所だった。
よる、雨降り、一本の桜の木の下。
____
「…」
いつもはにこにこと笑みを浮かべている紫色は、目を大きく開いていた。
彼の目の前には先が見えないほど伸びる白い廊下。
その所々に無機質な扉が付いており、そのひとつの前に彼は立っていた。
額にとめどなく汗が滲み、指先は冷たく、口内に溜まる唾液を飲む。
____
「…?」
薄暗い洋風な開放廊下にひとり、緑色の彼は立っていた。
片手にはいつ、どこから持ってきたのかも分からないオイルランタンが揺れる。
彼が歩みを進めるたびに大理石の床が音を反響させた。
____
「…」
紅色に染まる景色を、同じ色をした彼は縁側から見ていた。
”あの声をもう一度”と…
”あの頃”とは少し違った心情で、同じ景色を見ていた。
____
「…これやってたの君?」
そう言う青色の目の前には、同じ格好の男がもうひとり。
しかし、目の前にいるはずの彼の顔はモヤがかかったように認識できない。
文字通り”格好だけ”の目の前の男は嗤う。
『こうやって話せる日がほんとに来るなんてね?』
男は一歩、青色に近づく。
反対に青色は一歩、彼から距離を取った。
『ねぇ、”別の世界”の”ぼく”』
「はい…?w」
あたりは戦場。
暗く、地面には■体が乱雑に転がっており、”あの頃”の連想がそのまま映し出された景色が広がっていた。
精神的にもダメージを与えられているのか、表情に徐々に余裕がなくなってくる青色。
『知らないなら教えたげるけど…』
近くに落ちていたアサルトライフルを足で蹴り上げ、手に持ち、肩に乗せる男。
『その前にルール説明〜』
アサルトの口を青色の頭に付ける。
『提供する情報は2つ。ひとつは、ぼく”ら”が君らの選択した運命の分岐…簡単に言うと全く違う出逢い方をしたニンゲンってことね』
トリガーに指をかける男。
『ふたつめは、おれらと勝負すること』
モヤが取れかかった瞳に、藍色の瞳が鈍く光る。
「報酬は?」
目の前の男は驚いたと言わんばかりに目を丸くした後、またクスクスと嗤い出す。
『この状況でよく求められんね?w』
アサルトの口が頭から離れ、心臓の位置に食い込む。
青色は無表情のまま。
『おれやさし〜から教えてあげるけど』
「今そういうのいいから」
焦りも恐怖も、なんの反応も見せない青色に痺れを切らしたのか、トリガーに掛ける指がゆっくりと離される。
『勝負することで決めるの』
「何を?」
『優先順位だよ』
銃を持ち上げ、また肩に置く男。
青色は顎に手を添えて考える素振りを見せる。
「優先順位って何?」
球がきちんとあることを確認した男は青色に目をやる。
『それは流石に戦ってからのお楽しみってやつじゃんね?』
男はそう言うと同時に銃を構え、再度トリガーに指を置く。
青色は立ったまま、動こうとしない。
カチャ___
『…つまんな』
誰もいなくなった戦場に、何発もの発砲音が響いた。
→♡3000
コメント
8件
これは争い起きるか?! あぁ、面白い進め方すぎる、、尊敬しかない、、