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情けないけど、何となくかな。漠然とした感覚で、小さな頃から美容師になりたいって思ってた。気づけば、それ以外の選択肢は自分の中には無かったんだ。



一応、憧れの職業に就けたけど、みんなを綺麗にしてあげれてる満足感みたいなものは、残念ながら全く感じられていない。

学生時代は、もう少し前向きだったのに、いつからこんなにも自分に自信が持てなくなってしまったんだろう。



自分らしく輝いてる美咲が、本当にうらやましい。



「相変わらず髪、綺麗だな」



いろいろ考えていたら、誰かが後ろから声をかけてきた。



えっ?



その顔を見て、「月城先輩!」って、思わず叫んでしまった。



そこにいたのは、紛れもなく月城悠人(つきしろ はると)さんだ。

確か、6年上の先輩。



「名前、穂乃果……だったよね」



「え?   あ、はい……」



5年も会ってないのに、私の名前を覚えてくれてる?



月城悠人、31歳。

彼は、月城美容専門学校の1人息子であり、なかなか予約の取れない大人気の美容院をいくつも経営している実業家だ。そして、その美容院のトップスタイリストでもある。

カリスマもカリスマで、今や業界で彼の名前を知らない人はいないほど。



月城先輩のお父さんが経営する月城美容専門学校も、毎年多くの美容師を排出し、有名トップスタイリストとして活躍する人材が多数生まれている。

しかも、お父さんは、学校だけじゃなく高級エステサロンの経営や化粧品を販売したりして、美容業界にその名を轟かせている敏腕社長だ。

化粧品もかなり高価だけど、すごく人気があって、その売り上げだけでもすごいみたい。



そう、つまり月城先輩は……ゆくゆくは月城グループの社長になる「御曹司」っていうわけ。

一人っ子らしいから、間違いなくそうなる。



「月城先輩。今日、いらしてたんですね」



「ああ、一応、俺は君達の先生だから」



私が通ってた2年間、月城先輩は、自らも美容師として活躍しながら、時々専門学校で講師のアシスタントとしても関わってくれていた。その頃からめちゃくちゃイケメンだったけど、今は大人の雰囲気も加わって、すごく色っぽくて魅力的だ。



イケメンしか似合わないであろう、ミディアムセンターパートヘアで緩めのパーマ、前髪は少し長め。

そこから見え隠れする美しい瞳。



私みたいな女性には見向きもしなさそうな、そんなタイプ。実際、学生時代は、あまり会話したことが無かった。だから、私の名前を覚えてたことに本当にびっくりしてる。



「月城先輩、お久しぶりです! 先輩の美容院、すごい人気ですね」



美咲が言った。



「ありがとう。えと、ごめん……名前何だった?」



「えー! 穂乃果は覚えてて、私の名前は忘れてるとか悲しいです」



確か……美咲は、月城先輩に憧れてたんだよね。



「悪い……」



「いいです、別に。長野美咲です」



ちょっとすねて見せる美咲。

その姿も可愛い。

普通は、名前覚えるなら美咲でしょ、私じゃなくて。

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