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今回は、「紫雲雨花」の第一補佐官。「不山橙」と「桃時」の出会いの話である。
???「さぁ橙ちゃん!ショッピングモールへレッツゴー!!」
???「黒花さん。こんなにお金持ってるって……普段どれだけ自分にお金使ってないんですか……」
はしゃいでいるのは、まだ「紫雲雨花」になる前、つまり「独野黒花」で、そんな黒花を心配しているのはまだ万能神様の管轄で事務員をしていた頃の「不山橙」。過去の二人である。
黒花「あんまり自己的には使わないかなぁ?わたし」
橙「ちゃんとご飯食べてるんですか?」
黒花「兎白くんが作ってくれる時に食べてるよ!」
橙「それって修行中の時の話ですよね?プライベートはどうなってるんですか……?心配ですねぇ……」
黒花「まぁまぁわたしは大丈夫だから!そんなことより橙ちゃん。あの世に来てから服とか買ってないんでしょ?」
橙「え?えぇまぁ……」
「(そんな余裕ありませんでしたし……)」と、心の中で呟く橙。
黒花「まぁ服買う余裕なかったのかな?橙ちゃんずっと頑張ってるもんね!」
橙「!」
「(やっぱりこの人は不思議な人だな)」と橙は想った。
黒花「じゃあ早速……服巡りに行こう!」
こうして、二人は服を沢山買いに行った。橙は今まで自分の服は親が決めていたため、どういうものが好きなのか自分でも分かっていなかった。しかし、それをちゃんと聴いて、橙の好きな服を一生懸命選ぼうとする黒花。
黒花「大丈夫だよ!橙ちゃん!橙ちゃんの好きな服橙ちゃんの速度でゆっくり探していこ!」
橙「……はい……!ふふっ」
橙も段々楽しくなってきた。沢山二人でショッピングをして、二人はベンチにかけた。
黒花「橙ちゃん!ごめんね!わたしトイレ行ってきて良いかな?」
橙「えぇもちろん良いですよ。ゆっくりしてきて下さい。」
黒花は、トイレに行った。橙はそのままベンチで黒花を待つことにした。
???「黒花にはこの服似合いそうね……チェックしとかなきゃ。あいつ今服を予約するとかオシャレに気を使う余裕ないだろうし……はぁ全く手を焼かせるわね。」
橙「ん?黒花……さん?あなたは……?」
???「ん?」
橙の隣に座ったのは……
???「あんた誰?黒花のこと知ってるの?」
桃時だった。
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黒花がトイレに行っている間に、鉢合わせた橙と桃時。二人は話をし始めた。
橙「わたしは黒花さんの友達……?なんでしょうか?」
桃時「あいつがそんな感じのこと言ったらそうなんじゃないの?あんた名前なんて言うの?」
橙「私は不山橙です。あなたは何とおっしゃるんですか?」
桃時「アタシは桃時よ。」
橙「あの先程、黒花さんのこと「今服を予約するとかオシャレに気を使う余裕ないだろうし……はぁ全く手を焼かせるわね。」と仰ってましたけど、黒花さんやっぱり何か抱えてらっしゃるんでしょうか……」
桃時「…………何でそんなこときくの?」
橙「……黒花さん。私がパニックを起こした時、手を握ってくれて「大丈夫。私はずっとここにいる。独りになんてさせないから」って言ってくれたんです。だからもし黒花さんが何か辛いことを抱えてるなら少しでも寄り添えたらなと想って。……もう……自分の目の前で大切な人がいなくなるのは嫌なんです……」
桃時「…………そう」
桃時は、黒花のことを探ろうとして話を持ち出そうとしてると考えたが、橙の話に嘘を感じ取ることはできなかった。そして桃時は、話すことにした。
桃時「あいつの話。アタシの恩人の神様から聴いただけだけど、あの子は何かとても大きな……とても寂しくて心細い想いを抱えてる。その想いを抱えて、ずっと苦しんでる。それを自業自得だと想ってる。あの子は前に自分は罪を犯したって言ってたわ。その罪が何かは分からないけど、その罪のため自分を戒めて欲しいと想ってるの。でも誰も戒めてくれないから自分で罰を下してる。本来なら自分が楽になるから自戒はダメだって言ってたけど、何もしない訳にもいかないから自分で罰を下してる。あんな辛い修行をすることで。」
橙「…………」
橙は、何となく分かってしまった。
どうして、黒花があんなに人の心の機微に敏感なのか。
きっと━━━━もう恐くて堪らないんだろう。
人を傷つけてしまうことが。
人を傷つけることで抱えてしまう後悔が。
人を傷つけてしまったという罪を抱え込んで逃げることの出来ない罪の意識を感じざるおえない絶望が。
だから、人に寄り添おうとする。もう自分が苦しみたくないから。
黒花は、きっと……今も尚……
桃時「まぁアタシが知ってるのはこれぐらい。」
橙「私、もっと黒花さんのこと悪い意味で綺麗な人かと想ってました。」
桃時「どういうこと?」
橙「人を傷つけたことが少ない。いつも傷つけられてばかりの自分の意思で自分を汚したことの無い綺麗な……羨ましいくらい綺麗なそんな人間。」
桃時「あぁなるほどね。それは確かに……ずるいくらい綺麗ね。そんな奴。」
橙「でも……黒花さんが想ったより人間臭くて……私は益々好きになれました。そして安心しました。黒花さんの力に私なりたいです。……私まだ「一緒にいる」というものが上手く受け入れられませんが……!でも!黒花さんの気持ちや過去を受け入れられる友達でいたいです。」
橙は、覚悟を決めたかのように顔が真剣になっている。
桃時「!、ふふっ。じゃあアタシたち黒花に対する目的一緒ね。」
橙「えっ?」
桃時は橙の目を真っ直ぐみる。
桃時「アタシもあいつにはちょっとは感謝してるの。今のアタシがいるのは、あいつのおかげでもあるから。あいつには幸せになって欲しい。アタシたちは目的が一緒。あんたのことアタシ気に入ったし、友達になりましょ!どう?」
橙「と、友達……!」
こうして、橙にまた一人友達ができた。
そして、トイレが混んでいて橙を待たせてしまって急いで帰ってきた黒花は驚いた。まさかの桃時がいて、橙と仲良くお話しているのだから。その中に黒花も入って、一緒に引き続きショッピングして、連絡先も交換して、一人はまた再び絶望の中へ、一人は同じ目的の仲間ができたことに喜び、そして最後の一人は強い決意を胸にしながら友人ができたことに嬉しみを感じて各々帰って行った。