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???「はぁ……はぁ……早く行かないと……」
激しく息を乱しながら、何とか歩いてた少女がいた。その少女の名は……
???「うぅっ……すごく気持ち悪い……でも早く修行場に行かないと、ママに……また……!うっ……!」
???「あれ?どうしたの?海音ちゃん!」
???「え」
歩いてたのは「海音」だった。そして、話しかけてきたのは……
海音「あ、めか……!うっ……」
ばたん
???「海音ちゃん!!」
「紫雲雨花」の前で海音は倒れたのだった。
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ここは、雨花の家。雨花は倒れてしまった海音を抱えて自分の家に運んだ。
雨花「とりあえず……お師匠様呼ぶしかないか……神通力で思考を送って……っと」
雨花「神通力・【以心伝心】……これでよしっと」
雨花は、自分の隣室のベッドに寝させた海音のおでこを触る。
海音「…………ママ……?」
雨花「お!目覚めた?」
海音「!」
海音は飛び起きようとしたが、雨花によって寝かせられた。
海音「どうして……私は……ここに……」
雨花「わたしの仕事の帰り道に海音ちゃんがいたんだよ。それですごく海音ちゃん体調悪そうにしてて倒れてたんだよね。覚えてる?」
海音「は、早く、修行場に行かないと……!うっ……」
雨花「ダメだよ!熱もあるし休まなきゃ!……それか何か行かなくちゃいけない理由があるの?」
海音「…………何でもない……とにかく私は行かないと……」
???「雨花来たよ」
雨花「お師匠様!」
海音「!」
雨花の家に来たのは、雨花に先程呼ばれた雫だった。
雫「君が海音くんだね。私は雫だ。」
海音「存じてます。あの世を代表する神様のことは叩き込まれているので……」
そう。ずっとあの部屋であの世の法律。神様のこと。神通力のこと。妖術のことを勉強し続けていたのだから。
雫「……そうか。ちょっと失礼……」
そう言うと、雫は海音の手を握って目を瞑る。
雨花「(お師匠様が神通力使ってる……久しぶりだなぁ……このほっと暖かさが広がる感じ。)」
雫の周りから暖かい風がふわっと広がる。海音は少し緊張が取れて眠くなってきた。雫は、今、海音の体の状態を調べている。
雫「……なるほど。雨花をみて安心して気絶してしまったんだね。ここに来る前に海音くんのご両親には連絡したよ。君には充分な休息が必要だ。君が置かれている環境にも私は君の本意ではないだろうが口を出させてもらう。」
海音「…………!、やめて!!そんな事しないで!!そんなことしたら……私は……!」
海音はそう言うと、窓から飛び降りて雨花の家から出て行った。
雨花「海音ちゃん!!わたし追いかけます!お師匠様は海音ちゃんのご両親のこと頼みます!!」
雨花は、瞬間移動して追いかけた。
雫「海音くん……」
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海音「はぁ……はぁ……っ!」
海音は裸足のまま駆け出した。そして、自分の修行場までたどり着いた。しかし……
「何であなたがここにいるのかしら?雫さんからは弟子の家で休ませるって聞いていたけど」
海音「…………!」
その声をきいた瞬間、海音の心が一気に凍りついた。それと同時に恐れるように振り返る。
「雫さんから聞いたわよ。本当にあなたはダメね……あれだけで体調が悪くなるなんてそんなんじゃ当主になんてなれないのよ。本当に出来損ないね。」
海音「ま、ママ……」
「でも、丁度良いわ。雫さんにご厄介になりなさい。何度教えてもあなたは私の言う通りにしないし……隠れて文通してたのも知ってるのよ?あの女との子供とも話してたことも。それも見逃しておいてあげたのに……私のこと裏切ったあなたなんて……」
「「いらないわ」」
海音「あ、…………あぁぁぁぁぁぁ……!待って。ママ!私ママの言う通りにする!もうママに逆らったりしないから!ね?だからお願い……!見捨てないで!お願いだから!」
海音は、虚ろになりながらとぼとぼ母親の方に近づいていく。しかし……
「それじゃあ私が悪いみたいじゃない。あなたが悪い癖に、勝手に悲劇ぶらないでよ。分からないの?あなたはもういらないの。もうこれでお終い。じゃあね」
海音に背を向けて、海音の母親は歩き始める。
海音は呆然と立っている。そこへ、
???「謝って下さい。」
海音「…………あ、雨花?」
凛とした声で海音の母親に言い返したのは雨花だった。
雨花「早く謝って下さい」
「どうして私が謝らないといけないの?」
雨花「あなたは母親なんでしょう?自分の娘に向かって「いらない」なんていうのは何があっても言ってはいけないんです。それがどれだけ子供を絶望に叩き落とすか分からないんですか?例え子供が自分の思い通りにならなくてもそんな言葉は絶対言っちゃいけないんです。自分の大切な人に「いらない」なんて言われたら海音さんはどこへ向かって歩けば良いんですか?自分の子供の心に絶望だけ残しておいて置いていくなんてわたしは絶対許さない。早く謝って下さい。」
雨花の目はとても激しく怒りを感じる目だった。
「なんなの。あなた。この子はね。出来損ないなのよ。いっつも私の言う通りにしない。いつもよ?それがどれだけ疲れるか分からないの?あなたみたいな子供に偉そうに説教される筋合いはないわね。」
雨花「その子供に説教されるようなことをしているのはあなたですよね?海音さんは一人の生き物なんです。心を持った生き物です。海音さんはあなたの所要物じゃないんです。感情を持った一人の生き物です。意志だってあるし、やりたいことだってある。今は見失っていてもそういう意志表示だってする立派な生き物です。そんな海音さんが自分の気持ちを必死で抑え殺そうとして、「ママの言う通りする」とまで言うほどあなたというものを愛しているのに、あなたに離れて言って欲しくないのに……!その気持ちすらも蔑ろにするですか?そんなことしちゃいけないんです……!!!!」
海音は、一筋涙を零す。
「…………もういいわ。話にならない。海音。最後の忠告よ。こんな奴みたいな神にはならない方が良いわ。じゃあね」
雨花「…………おい。謝れって言ってんだ!!待てよ!!お前!!」
海音「……もう良いよ…………、雨花。」
雨花「…………海音ちゃん?」
海音は、崩れ落ちて、そしてひたすら泣き続けた。
海音「ありがとう……雨花」
雨花「…………ぐすっ……」
雨花も海音と一緒に泣き、海音を抱きしめたのだった。
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ここは、黄泉比良坂にある公園。そのベンチに雨花と海音は腰をかけていた。
雨花「じゃあ暫くはお師匠様の家で暮らすことになったんだ。」
海音「そうだよ。生活費は瑠璃兄が払ってくれるって。……兄なのに何も出来なかったからそのお詫びにって……気にしなくて良いのに……」
雨花「瑠璃くん、海音ちゃんのことすごく心配してたから何かしたいんだと想うよ?甘えて良いんじゃない?」
海音「……そうだね。そうするよ。」
雨花「海音ちゃん。まだ苦しいと想うけどこれからゆっくり海音ちゃんの生き方で生きていけば良いと想う。生き方が分からないなら海音ちゃんの生き方を自分の速度で探していったら良いと想うよ。わたしも手伝う。海音ちゃんが”今”どうしたいのか。一緒に考えよ?考えたくないなら休みながら……どうかな?」
海音「うん。そうだね。」
海音は深く呼吸すると、道端に咲いていた雑草の花をみる。その目線にはほんの少しだけみえたきた光が含まれていた……気がする。
海音(海音)
瑠璃人の腹違いの妹。瑠璃人は愛人との子供で、海音は本妻との娘。
過去→幼い頃からとてもきつく様々な勉強を強いられていて、そんな中、瑠璃人の雨花たちの話を聴くことが唯一の楽しみで、雨花と手紙のやり取りをするようになり、雨花と親しくなっていく。そんな雨花のことは「心をそのまんま預けて優しく受け止めてくれる。抱き抱えてくれる。泣いて良いんだと想わせてくれる。そういう子」と想っている。そして、それと同時に雨花のことをとても心配している。修行場に行く途中とうとう倒れてしまい、雨花と雫に助けられ、その間に母親に残酷な言葉を言われたが、雨花に途中から庇ってもらい、今は雫の家に住んでいる。
容姿→身長:170cm 体重:54kg
海のように光の反射で薄い水色にも濃い青にもなる美髪の長髪をハーフアップにしている。そして黄色い目を持っている。服装はいつもセーラー服。雫の家に来てからは髪の毛先を巻くなど、オシャレをするようになった。(雨花に進められて)雫から神通力や妖術を少しずつ学んでいる。