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「うん。人との関わりは、できるだけ最低限に抑えたいから。勿論、瑠菜ちゃんみたいにいっぱい関わって人のこと知ろうとするのが一番いいと思う。だけど…………」
結葉の声が、徐々に重くなる。
[…………ごめん。辛いこと思い出させちゃったよね。]
「ううん、そんなことない!瑠菜ちゃん、私が去年の春あの学校に転任してきた時も、優しく接してくれたよね。私、あの時嬉しかったよ。私の事、ずっと寄り添ってくれて………。瑠菜ちゃんには感謝してるから。それだけ忘れないで。」
[そっか……………ありがとう結葉ちゃん。これからも結葉ちゃんの……あの件はずっと内緒ね。]
「うん。あっ、それと、学校以外ではお互いちゃん呼びなこともね。」
[そうだね。じゃあ、また学校で。ちょっと早いけど、おやすみなさい。]
「うん。また学校でね。おやすみなさい。」
結葉はそう言い、通話ボタンをタップし、電話を終わらせた。
次の日。
(今日は珍しく遅れちゃった………)
駆け足で学校内に入り、職員室に向かおうとしていると、後ろから何者かに肩に触れられた。
「誰っ!?」
結葉は思わず怒り声で反射的に反応し、荷物の入ったバッグも床に落ちてしまった。
振り返った先には、手をはらいのけられて驚いた顔の紡虹がいた。
「あっ……………大変失礼しました。真原先生ですね。おはようございます。」
(うわっ…………昨日新しく来た人に超失礼な態度しちゃったよ……………恥ずかしい……)
言葉と表情に冷静さを戻しながら、心のなかで恥ずかしさを渦巻かせていく結葉。
「おはようございます。あの……すみません。」
「いえっ。ごめんなさい、つい…………。何か……?」
「あの…森先生ですよね。昨日………………。」
「あぁ……歓迎会のことですか?」
「はい。昨日、職員室にいらっしゃったみなさんが大半来てくださったのですが…………」
結葉は、言葉の続きを待ちながら、少し凍ったような視線を紡虹に向ける。
それでも紡虹はたじろぐことのなく、話を続ける。
「森先生、いらっしゃらなかったのは、どうしてかなって。あ、勘違いしないでください。別に、来てほしかったとか、そういう変な下心とかないんで。」
「……………そうでしたか。……すみません。参加できなくて。私、ずっとそうなので。楽しかったのなら…何よりです。では、失礼します。」
結葉は作り笑いでそっけなく言い捨て、紡虹に冷たい背を向けて、職員室に入った。
バタリと閉じたドアの音と、結葉の背中は、紡虹を拒絶しているようだった。