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「トントンは一緒にいてくれるだろう?

こちらをしっかりと見据えて自信たっぷりに言う総統様に俺はこの時はまだ何も考えずに即答していられた。俺が言うべきである言葉を

「当たり前やで。

「…そうか

ほんのりと頬を染めて返すアイツはああやっぱり綺麗だなと思った

それから数年後、俺等の国は割と危機に陥っていた。

主戦力である最高幹部その中のシャオロンを筆頭に次々と戦死していく仲間達。

オスマンの外交もむなしく敵は兵を進める手を止めない。

「…この城も随分と寂しくなったなあ

ふと城に目を向けた青い詐欺師は誰に言う事もなく煙草の煙と共に吐き出す。

「….

直接的に肯定する奴はいないが空気がそう答えてる。

確かに大声で叫ぶ奴も、煽るだけ煽って結局絞められる奴も、誰にも真似出来ないようなイタズラを軽々とこなす奴も皆いなくなってしまった。

資料室へ向かっても紅茶の香りが出迎えることはなくなったし、いつまでも胡散臭く周りに媚びる奴もいなくなった。


みんな、いなくなった。



数日後。我々帝国は降伏することにした。決定自体は総統の一声で決まった

どこかで兵士たちがほっとしたような声をあげていたが聞き流した。彼らは分かっていない。これからが地獄の始まりなのだと

グルッペンはまた俺に聞く。

「トントンは一緒にいてくれるだろう?

俺は少し考えながら答える。

「地獄の果てまで付き合うで。

少し驚いたように目を見開くグルッペンだがすぐに笑顔に戻って、

「地獄にいくのは俺一人で十分やw」と、小さく呟く。

こいつから方言が出てきたのは何時ぶりだろうと思いながら俺もグルッペンに倣って笑顔を浮かべた。



まだ、耐えられた。


国が降伏してもグルさんは生きとる。


少し減ったが仲間も…生きている。


やけど、


段々降伏した国からの要求が酷くなってきた。


貿易の優先はもちろん、軍事力もごっそり引き抜かれた。国民も移住という名目で労働力として招集されていった。

要塞となっていた城も防御、迎撃能力ともに削がれていった。


いきなり全てを要求してきた訳ではない、終わったら次、そのまた次、そしてまた…と、真綿で喉をじりじりと絞められるように着々と俺らの国は弱っていった。


最近、グルさんが毎日のように質問してくる。

「一緒に居てくれるだろう? と、少し疲れたような顔で

当たり前の様に俺は肯定してきたが最近はそれが精神的に負荷がかかってきた。

まるで呪いだ。来る日も来る日も、何度も何度も。縋るように、確認するように。


でも、


俺がそうやでって、当たり前やでって答える度に安心したように笑うグルさんがやっぱり綺麗で、一緒に居られるのは俺しかいないんやって思って。まだ、耐えられてる。


某日、人の減った城にて

「なぁ、グルちゃん。

青色の彼が少しやつれた顔で、諌めるように言う。

「あんましトンちに依存したらあかんで。

「?

俺は不思議そうな顔をして応える。いや実際不思議なのだ。

「俺は、トン氏に依存何かしていないぞ?

「いや、してると思うで..

こいつはどこを見てそう判断したのだろう。気になって聞こうとしたら

「まあ、あんましトンちに聞いてやんなや。一緒に居てくれるかなんて。

…なるほど、そういう事か。

「しかし、トントンだったら嫌なら嫌と言うはずだ。言ってこないのだから迷惑ではないだろう。

「…それ、本気で言っとる?

「嗚呼。それに、俺にとってはある種の呪いなんだ。

「まじない?

「ああ、何かあってもトントンは俺と居てくれる。そう思えると安心するんだ。でもそれは夜を明かして太陽を見る度にホントっだったのか、俺の都合の良い幻覚と幻聴だったのではないかと不安に駆られてしまうんだ。でも、

それでも、毎日トントン先生は居てくれると答えてくれる。それが俺には溜まらなく嬉しくて安心するんだ。だから、呪い。

俺にとっての、呪いなんだ。

「へー、案外グルちゃん子供っぽいというか夢見がちなとこあるんやねえw

「む。そうは言われたくないな

「ええ~?w

そう言いあいながら会話をする二人を廊下で耳をそばだててる人影一つ。

話題の中心にいた男、書記長トントンその本人だ。

「…まじかぁ。

俺、そういう風に思われてたんか、


きっと、まだ、耐えられているハズだ。


もう、これで終わりにしようと、止めてもらおうと胸に固い意志を持って廊下を歩くトントン。

目指す先は言うまでもなくグルッペンがいる総統室だ。

流石の俺でも もう、耐えれらへん。憧れてるあんたに頼られるのは。

「グルさん。

「おお、トントンか。どうした

「あんな、おr…

その言葉を言おうとしたその時、二人に凄まじい衝撃が入る。その後に遅れて襲撃警報のサイレン。

ウーッ!ウーッ!

甲高いサイレン音が耳につんざく。グルさんは…グルさんは大丈夫なんか!?

俺は慌てて周囲を警戒するが敵兵の気配はなく、襲撃跡からもみて牽制、開戦の意を込めた挨拶程度の砲撃だろう。

挨拶程度の、長距離砲撃。「始めよう、よろしく。」の裏に隠されてる殺意が駄々洩れの挨拶。

普段の国であれば何てことなく挨拶にラッピングとリボンもつけて送り返す程度の挨拶だが今は状況が状況。かなりキツイ。

「ウッ…敵襲か…?

良かった。無事や…息してるし、今の状況も分かっとる。

「グルさん、敵さんからの舐められた挨拶やで。一旦退避や

「挨拶…随分舐められた挨拶だな。

「仕方ないやろ、これが世界から見られてる今の国の評価や。逃げるで。

「…トントンは一緒に居てくれるだろう..?

ホンマにこいつはこの緊急事態にッ..!

「ああ!地獄だって何処にだって行ってやるから一回俺についてこい!!

俺は無理やりグルさんを抱きかかえてその場を後にした。


「…って、逃げられたつもりやったんやけどなぁ..w

「まさかここまで来るとはなぁ…w

目の前には予想外の獲物を見つけたと興奮を抑えられていない敵兵。後ろは洞窟の終わりの見えない暗闇。


詰みだ。


でもまだ望みはある。それは俺が”書記長”でグルさんが”総統”であるという事だ。役職が高ければ普通なら殺さず生け捕りにして完璧に相手国を自国の傀儡とさせる。その後も飾りの様だが生き延びることが出来る。まだ、まだ、俺等には生きれる道がある。


そんな希望も相手国の上司が放つ指示で粉々に打ち壊される。

「殺せ。もう我々国はそんな回りくどい事せずも手に入る。用なしに生きる価値なし。


終わった。


ああ、敵兵が命令を受け取る。一般兵にとって上からの指示は絶対だ。逆らうのものなら命を持ってその罪を償う。

ああ、敵兵が俺らに銃を向ける。その冷たい無機質なモノに俺らも数秒後そうなるのだ。

ああ、敵兵からグルさんを助けなきゃ。グルさんだけでも、


トントンは、俺と一緒に居てくれるだろう?

….せやな。

「当たり前やで。

俺らは笑いあいながら呪いをかけた。

ああ、銃声が祝福してくれている。

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コメント

1

ユーザー

いやもうほんとに毎回表現の仕方上手すぎません、、???まじで最高です✨

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