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電気もついていない薄暗い寝室。月明かりだけが私たちを照らす。だんだんその暗さにも目が慣れてきて彼のギンっと熱い視線、欲情しきった瞳がしっかりと見えた。
長くて綺麗な隆ちゃんの指が私の頬を包み込む。乾かしていない濡れた髪が頬にかかりヒンヤリと冷たい。けれど今はその冷たさが気持ちいいくらいに身体が暑い。
「美桜、好きだよ」
うっとりするような濃厚なキスを重ねる。唇を押し当てるけれどそれは決して激しくはなく、むしろねっとりとしたしつこさも感じれるキス。ゆっくりと口の中を舌が徘徊し、口蓋部分を下先でなぞられる。ぶわーっと背中がゾクゾクする感触が感じられる。
「好きだ」
もう一度唇にキス。
「好きだ」
首筋にキス。
「好きだよ」
ゆっくりと身体を倒され、ベッドに背をつけながらもう鎖骨にキスをされる。
「美桜」
バスタオルで隠していた身体の前部分も「邪魔だよ」とはぎ取られ恥ずかしくて紅潮した肌が露わになる。
「はぁ……すっごく綺麗だよ。誰にも触らせたくないし、絶対に見せない俺だけが知ってる美桜の繊細な肌のぬくもり」
もう何度かイかされたか分からない。脚がガクガクして身体に力が入らない。薄ら目で周りを見ると避妊具の開けたゴミが何枚も散らばっている。
(やっ、漫画で見る光景っ! リアルで拝めるなんて! 隆ちゃんって絶倫の素質があったのね!)
「美桜なにニヤついてるんだ? 水飲めるか?」
心の中と表情はテンションぶち上がりだが喘ぎすぎて喉が渇き声がカサカサだ。声が出しづらい。「ん」とみじかく返事を返しミネラルウォーターをなんとか力を振り絞ってベットに横になったまま飲む。
「身体大丈夫か? 俺結構無理させちゃったよな。ごめん」
「んンッ、大丈夫だよ。絶倫な隆ちゃんも最高でした」
「美桜が可愛いのがいけないな。片付けは俺がやるから美桜はゆっくりしてな」
「はーい」と一返事。身体に力も入らないのでお言葉に甘えてベッドにくたぁっと寝転んだままいそいそと避妊具のゴミを片付ける隆ちゃんを見て「あぁ、ワンシーンが……」と内心残念に思っていた。
ゴミ箱にポイポイ捨てている隆ちゃんの動きがピタッと止まる。
「何? ワンシーンって?」
不思議そうに私の顔を覗き込んできた。
「へ?」
「いやだから、美桜がワンシーンがってなんか言ってたから」
オーマイガァー、心の声じゃなくて普通に声に出していたって事!? やってしまったものは仕方がない。素直に白状する。
「いや、漫画みたいにゴムの残骸がリアルに散らばってるなぁ……なんて」
自分で言っていて恥ずかしくなり布団に潜り込む。本当に私は変態なんだって思われたかも。まぁ当たりでもなければハズレでもないか。
「美桜は本当漫画のシチュエーションとかに弱そうだよな。壁ドンもそうだったけど、次はどんなワンシーンがご希望ですか?」
クスクスと笑いながら私を揶揄う。布団に潜っているから表情は見えないが絶対に満足そうな満面の笑みで笑っている隆ちゃんが想像できてしまうのが不思議だ。でももしもワンシーンが叶うなら……
小声で言う。
「じゃ、じゃあ口でゴムをピリッと今度やってみてくれる? リアルでも出来るのか気になる」
なかなか返事が返ってこない。これは流石に引かれてしまったのか……怖くなって布団からチラリと顔を出し隆ちゃんの顔を覗くと引くどころか腹を抱えて笑っていた。声が出ないくらいに顔を真っ赤にして薄ら涙まで浮かべて笑っていた。
「な!? そんなに面白い事言ったかな!?」
ガバッと布団から出る。
「ハハッ、もう美桜が素直すぎて可愛すぎて、ごめんごめん。笑いすぎた」
「ご希望通り今度口で切ってみるけど失敗しても笑うなよ?」
ぐんと距離が近くなりもう少しでキスできそうな顔の近さ。
グゥ〜。
「あーもう本当可愛すぎだろ。お茶漬けでも作って食べようか、夜ご飯まだ食べてなかったしな」
「ふぁい……」
タイミングよくなる自分のお腹の虫に拍手したいくらいだ。隆ちゃんツボに入ったのかお茶漬けの準備をしながらもずっと笑っている。恥ずかしいけどなんだかもう開き直って隆ちゃんの作ったお茶漬けを二杯もおかわりした。