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透は焦りと怒りを押さえながら、問いかけた。「なぜ今になって姿を現したんだ?琥珀が倒れたからか?」
夜叉羅は静かに微笑みを浮かべた。「それも理由の一つだ。琥珀が消え去ったことで、次の呪詛の王が台頭する機会が訪れた。だが、戦いぶりには少し興味を持ったからな。」
「お前たちの戦いを見届けるのは面白い。この世の理を変えるためには、呪詛の王たちがさらなる力を集結させなければならない。」夜叉羅の目には冷たい輝きが宿っていた。
神風はその言葉に反応し、体に再び風の力を纏わせた。「面白がってる暇はない。お前も倒してやる!」
しかし、夜叉羅は動じることなく、静かに頭を振った。「今はその時ではない。お前たちに伝えなければならないことがある。」
透が苛立ちを見せながら叫ぶ。「伝えなければならないことだと?ふざけるな!俺たちを散々苦しめておいて!」
夜叉羅は冷静なまま続けた。「お前たちが直面するのは、琥珀を遥かに超える存在だ。真の戦いは、これから始まるのだ。」
夜叉羅が姿を消し、戦場には再び静寂が戻った。しかし、彼の言葉が残した不安は、誰の胸にも深く刻まれた。
「呪詛の王は称号に過ぎない……」白川は呟く。「ということは、まだ俺たちが知らない呪詛の王たちがいるということか。」
神風は強く拳を握りしめた。「どれだけの敵がいようと関係ねえ。全員、俺たちが倒す。」
透はその言葉に力強く頷いた。「ああ、今はそれしかない。」
だが、彼らがこれから直面する真の敵――それは、今までの戦いを凌駕する、未知なる力を持つ者たちだった。