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藍くんとやってほしかったな、 複雑すぎて言葉も出ないです
ともさん…虚しいですって( TДT) ゆうきさんーー鈍いのか… これはゆうきさん自己嫌悪になるな。反省しましょう。そしてともさんにビシッと言いましょうよー。
ゆうきーーーー目を覚ましてくれ智くんこれは許せへんて、、ゆうきはらんらんのものだし目移りさせれないと思うよ?
智Side
「どうしたの?落ち着かないね?笑」
珈琲を置きながら祐希が目を細めて笑う。
この部屋に来るのは初めてじゃない。幾度となく訪れた場所。なのに‥どうも落ち着かない。
気を紛らわそうと周りに目を向けると‥相変わらず整理整頓された部屋につくづく感心してしまう。
俺の部屋とは大違いだ‥。
「智君、これ見て?」
キョロキョロ見渡していると、いつの間にか隣に祐希が移動し、自身の携帯の画面を指し示している。
動く度に風呂上がりのいい匂いが鼻をくすぐる。
「あれ?シャンプー買えた?」
近づき、髪をクンクンと匂う。
「智君、よく分かったね。今日変えたんだ‥って、そんな匂わなくても‥犬みたいだよ?笑」
今がチャンスとばかりに顔を近づけ嗅いでいたせいか、そんな俺を見て屈託なく笑う。
犬みたいとは失礼な‥そう言いそうになったが、止めた。
今日変えたって事は‥藍も嗅いでいないのか。
俺が初めてかな‥
くすっ‥たったそれだけの事が‥妙に嬉しく感じられ思わず冷笑がこぼれる。
俺は何をやってるんだろう、小学生じゃあるまいし‥
思考を巡らせ、冷静さを取り戻した後‥そっと離れようとするも、今度は祐希の方が俺の耳元に顔を近づける。
「智君も風呂入ったでしょ?いい匂いするじゃん」
ふわりと祐希の髪の毛が耳をかすめる。それだけで身体が反応してしまいそうになる。やばいな‥。
当の本人は、ニコニコと笑っている。俺の気も知らずに‥
その後は、すぐに藍の事についてだった。
嫉妬してる時は、どうだったのかと‥。
訪ねてくるのは藍の事ばかりで。
当たり前のことだが‥やはり面白くない‥。
だから‥
「あっ、これ飲む?祐希と飲もうって思って持ってきたんだ」
リュックに忍ばせていたワインをテーブルに置いた。年代物のワインらしく、以前知り合いから頂いたものを持参してきた。
ほとんどお酒を飲まない祐希だが、明日はちょうどオフだし、呑んでくれるだろうと予測して‥。
この高級そうなワインが雰囲気づくりに一役買ってくれるはずだと、密かに期待する。
ワインと聞いてやや渋る祐希に”一杯だけでも‥“と頼み込むと、
“少しだけね‥“と、ワイングラスを2つ用意してくれた。
あまり見ない形のグラス。尋ねると『ウィーン135』というらしい。グラス全体に厚みがあり手によく馴染む。
俺が頂いた赤ワインもちようどイタリア産だ。
グラスに赤い液体を注ぎ、軽く乾杯を交わす。
なかなかの酸味の後に豊潤な味わい。うん、旨い。
チラリと隣の祐希を伺うと、ゆっくりと味わっているのだろう。口に含み、ゴクリと飲み込む姿は妙に艶っぽい。
一杯だけと話していた祐希だったが、グラスが空けばすぐに注ぎ、勧める。
最初は困り顔をしていたがそれが続くと‥次第に酔いの傾向を見せ始める。
白い頬が薄っすらと赤みを増し、緩んだ口元は口角が上がり笑みを浮かべる。
トロンとまどろむ目元は霞むのか時折、手で擦っている。そろそろかな‥
そう感じながら、談笑していると‥
すっかり祐希は出来上がってきた。
「なぁ?祐希?」
「んー‥?なぁに?」
「ワインってさ、性欲も高めてくれるんだって。知ってた?」
「フフ‥なにそれ?笑、お酒だから?」
「お酒の中でもワインは格別なんだよ、昔から媚薬にもなるって言われてるしさ‥」
「へー、媚薬かぁ‥とも君、詳しいんだね‥」
酔いが回ってきたせいか、ソファに寄りかかりながら呟く姿をチラリと横目で確認する。
「ワインなら、お前のほうが詳しいだろ?‥なぁ、祐希?まだ呑めるよね?」
姿勢を変えてから、グラスを持たなくなった祐希に催促してみるが‥ふるふると首を横に振る。
「も‥いいや‥なん‥か、酔いが回って‥きた‥かも」
「早いな、笑。なら、最後の一口だけ呑んでくれる?」
えっ?‥と祐希が呟くと同時に、ワインを自分の口に含み‥
形の良い唇に自らの唇を押し当て‥注ぎ込んだ。
「んっ!?」
突然の行為に祐希の両目が大きく見開かれる。口元からは注いだワインが滴り落ちて‥
まさか口移しされるとは思っていなかったのだろう。何が起きたのか‥すぐには理解していない様子。
しかし、口の端から零れ落ちるワインを舌で舐め取ると‥ピクっと身体が反応を示していた。
「と‥も君?、な‥んで‥?」
「祐希、ワインは媚薬って言ったろ?試してみようよ‥藍の時の練習だと思ってさ‥」
「練‥習?」
‥この手は使いたくなかったが‥祐希をその気にさせるには藍を引き合いに出すしかない。
やり方など、なりふり構っていられるか。
どんな事をしても、祐希が欲しいんだから‥
そう決めてきたのだから‥
「ほら、口開けて?今度は上手に呑んでよ?」
まだ戸惑いを見せる表情を見ながらも‥強引に事に及ぶ。顎を掴み、口を開けるように催促すると‥
酔いで思考が回らないのか‥思いの外、素直に口を開く祐希に再度、ワインを口移した。
今度はゴクっと喉を鳴らし飲み込んでくれる。ゆっくり離れると、どちらのものともつかない唾液で唇が濡れている様は欲情を掻き立てて仕方ない。
「口移し、藍としたことある?」
「ううん‥やった事ない‥とも‥君が初めてかも‥」
そうか。俺が初めてなのか。妙に満ち足りた気分になる。不思議だ。しばらくは‥柔らかい唇を指で触っていたが‥
欲がひょっこり顔を出す。
「ねぇ、キスしてもいい?色々教えてあげるから‥」
祐希の首に甘えるように腕を絡め反応を確かめる。が‥返事はない。よく見ると、無言で瞳を閉じている。それを俺は勝手に了承しているんだと思うことにして、唇を再度重ねた。
しかし‥それは、違っていた。
祐希はもうすでに泥酔状態に陥っていたんだ‥
そんな状態と知りながらもキスをし、舌を差し入れると、すんなり受け入れ応えてくれるじゃないか。口腔内を弄っても嫌がる素振りもない。
きっと何をされているのか‥わかっていないのだろう。
ブラックアウトに陥っている可能性が高い。一時的な記憶喪失という状態だ。
「ら‥ん‥」
口付けの合間にふいに祐希が呟いた名前‥
心臓がドクンと高鳴る。
藍を思い浮かべている‥?
やはりお酒を使ったのは間違いだったのか‥
いや、
よそう。
考えるのは、やめよう。
今のこのチャンスを逃したくはない。
「祐希‥今夜は俺だけのものだから‥」
そう祈るように囁きながら‥
ゆっくりと身体を重ねた。
心の奥底にある罪悪感に気づかないフリをしながら‥