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「ポテトチップス」
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「カゴに入れた」
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「塩せんべい」
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「入れた」
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「プレッツェル」
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「入れた」
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「あと塩味の――」
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「お前、塩しか食わねぇの?」
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深夜一時。
僕たちはコンビニにいた。
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理由は単純。
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お腹が空いたから。
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それだけだった。
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「だって美味しいじゃん」
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「偏りすぎだろ」
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シクサーは呆れた顔をする。
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でも。
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僕がカゴへ商品を入れるたびに、
何も言わず会計係を引き受けている。
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「シクサー」
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「なんだ」
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「優しいね」
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「気のせいだ」
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「照れてる?」
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「殴るぞ」
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照れていた。
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絶対に。
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会計を済ませる。
袋いっぱいのスナック。
二本のブロキシコーラ。
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完璧だった。
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「勝ったな」
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「何に?」
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「夜食」
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「戦ってたの?」
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「今勝った」
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意味は分からなかった。
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でもシクサーは満足そうだった。
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店を出る。
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ひんやりした夜風が頬を撫でた。
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昼間は騒がしい街も、
この時間になると静かだ。
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街灯だけがぽつぽつと道を照らしている。
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「寒っ」
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僕は肩をすくめた。
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「半袖で来るからだろ」
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「だって出る時は平気だったし」
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「学習しろ」
青い人だぜ★
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#bl注意
ゆゆゆゆ
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シクサーはため息をつく。
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それから。
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少しだけ歩調を緩めた。
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「ほら」
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「ん?」
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黒いパーカーのポケットを軽く叩く。
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「手」
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「え?」
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「冷えてんだろ」
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僕は数秒固まった。
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「いや、でも」
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「いいから」
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ぶっきらぼうだった。
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でも断る気もなさそうだった。
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だから。
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恐る恐る手を入れる。
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パーカーのポケットの中は思ったより暖かかった。
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「おお」
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「ガキか」
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「暖房じゃん」
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「人間だ」
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「高性能」
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「うるせぇ」
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シクサーは笑った。
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僕も笑った。
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静かな夜道。
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コンビニ袋が揺れる音。
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遠くを走る車の音。
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それだけだった。
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「なあ」
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シクサーが前を向いたまま言う。
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「ん?」
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「また今度も行くか」
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「コンビニ?」
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「スナック買いに」
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僕は少し笑う。
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「いいよ」
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「塩ばっか買うなよ」
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「努力します」
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「信用ならねぇ」
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そんなくだらない会話をしながら、
僕たちは並んで歩いた。
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深夜の冷たい空気の中。
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袋いっぱいのスナックと、
飲みきれないくらいのブロキシコーラ。
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そして。
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隣を歩く相手がいることが、
なんだか少しだけ嬉しかった。