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近所の友達の家が火事になった。
夜中の2時。
消防車やパトカーのサイレンが
静かな夜の街に響いてる。
近所や家族は大慌て。
私は何も思わなかった。
なぜなら火を付けたのは私だから。
火事になった家は金持ち。
月に一度のペースで海外に旅行するような
家だった。
それに比べて私の家は貧乏ではないが
裕福な方ではなかった。
旅行も3年に一度行けたらいい方。
動物も飼えなければ好きな服も買って
もらった記憶があまりない。
だからその家が羨ましかった。
でもその子とは昔からの友達だった。
家族ぐるみもよく、 どれだけ遊んだっけ。
でも今年は違った。
中学ではクラスが多くて。
クラスが初めて離れちゃって。
クラスが同じじゃないことは初めての
事だった。
不安で仕方なかった私とは対照に
親友はすぐに友達をつくってた。
その子は勉強もできて。
ずっとずっと親友だった私たちは話さなく
なった。
今まではハイタッチなんて当たり前の
ように していた。
廊下ですれ違っても親友は他の友達と
笑いながら通り過ぎていく。
その時会話が聞こえた。
「うちらってほんとに気が合うね!!
これから親友だよ。親友はあなただけ!」
そう親友が一緒に笑い合ってる友達に言っていた。
かなしかった。
親友は私たちだけじゃないの。
ただかなしかった。
それから私はひとりだった。
登下校。
移動教室。
休み時間も。
全部あの子と過ごしていた時間は
ひとり。
もう親友と呼べるのか。
そう思ってしまった。
それからひとりの時間も慣れて、真面目
な生活を送っていたある日。
親友だと思っていたあの子が友達に言っていた。
私のことだった。
「あいつ昔から付きまとってきてうざいし
親友呼ばわりしてきてきもいんだよね笑」
「まだ私のこと親友だとか思ってんのかな笑」
そう言っていた。
私はその時なにを言っているのかあまり
理解ができなかった。
ちょっと前まで親友って呼び合ってたよね。
酷いこと言うなー。笑
そう軽い気持ちでいた。
いや。
軽い気持ちに無理やりしていた。
家に帰ったら悲しさが溢れてきた。
ずっと泣いた。
そしていつしか不登校になった。
私が学校に行ってない間あの子はたのしく
学校に行ってるんだろうな。
怒りが湧いてきた。
そうだ燃やそう。
あの子の家ごと燃やしちゃえば全て失う。
家も。
家族も。
大切な物も。
そう思った。
そしてある夜。
火をつけた。
だんだん燃えていくのをみても何も感情が
湧かなかった。
そしてサイレンが鳴り響いてきたとき。
しばらく何も思わなかった。
だけどみんなが避難しているのを見て
ようやく気づいた。
ことの重大さに。
でもごめんとは思わなかった。
悪いのは全部あんたなんだから。
そう思ってしまった。
そして救急車がきてなんとか火を消したみたい。
それが分かったのはニュースで見たから
だった。
まだ犯人はみつかっていない。
そうニュースでやっているのをみて
次は何をしようかなとしずかな雰囲気で
夜空を眺めていた。