テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
顔を顰めた医師が静かに告げる。
「もうこの子を救うことはできません」
「いつ死んでもおかしくない状況です」
俺は歯噛みをした。
でも素人の俺にも分かってしまうぐらい、その女の子は衰弱していた。
まだ中学生にもなっていないように見える幼い顔立ち。
この子の名前は、この子を預かっていた施設の人たちが決めたらしい。
名前は、ミク。
未来と書いて、ミク。
もっと俺が早く家に迎えていれば良かった。
血が繋がってなくても家族は作れる。
俺の覚悟が決まるのが遅かったせいだ。
未来がこんなに痩せて血の気もなくて、医師に余命は残りわずか、と言われたのはある事件が原因なのだ。
無理心中…。
どうやら施設の職員が精神を病み、ひとりで死ぬのは嫌だから少しでも自分以外の犠牲も出そうと猛毒である薬品を子供たちが食べるご飯を作っている大釜の中に入れたのだ。
味付けの濃い料理だったのもあり、すぐ子供たちに異変が現れる。
臓器の異常、嘔吐、意識混濁。
未来自身、今は起きているが先程までずっと寝たきりで、しかも言語障害で上手く喋れないらしい。
未来は静かに俺の方を見ていた。
俺と初めて会った時も未来は静かだった。