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【冒頭モノローグ】※乱歩視点
推理は万能じゃない。
真実を暴くことが、誰かを救うとは限らない。
…でも、もしあの時、俺が――あの“選択”をしなければ。
ポオの目が、こんなにも痛そうに揺れることはなかったのかもしれない。
【場面:旧孤児院の地下フロア】
毒の影響で、乱歩は身体の自由が徐々に効かなくなり始めていた。
階段を下りた先のフロアには、一面の鏡張りの部屋が広がる。
乱歩(額に汗を浮かべながら)
「鏡……じゃない。“観察装置”だ。俺たちの心を映す、幻覚型の異能が仕込まれてる」
ポオ(警戒しながら)
「つまり、見るな、ってことか?」
乱歩
「……無理だよ。目を閉じても、“見せられる”ようにできてる。脳に直接、記憶を差し込まれるタイプだ」
【幻覚①:乱歩の過去】
鏡の中に、ひとりの少年が映る。
それはまだ探偵社に入る前の、孤独な乱歩。
彼の目の前で、無実の人間が逮捕される――
乱歩の誤った推理のせいで。
少年乱歩(涙を流しながら)
「ちがう……ぼく、助けたかっただけなのに……」
現在の乱歩(低く呻く)
「見せんなよ、そんなもん……!」
【幻覚②:ポオの過去】
隣の鏡には、ポオの青年期の姿。
彼のそばには、ひとりの男――ポオの旧友・レノンがいる。
だが、彼は裏切った。ポオの異能を政府に売り渡し、代償として命を落とした。
レノン(幻覚)
「お前の幻想が、人を壊すって知ってた?
君は、“芸術”の名のもとに、人を狂わせたんだ」
ポオ(苦痛に顔を歪めながら)
「……黙れ。俺は――そんなつもりじゃ……」
【現在】
乱歩は膝をつきながら、ポオの幻覚を見ていた。
ポオもまた、苦しそうに額を押さえている。
乱歩(呻くように)
「ポオ、お前……“レノン”のこと、ずっと自分を責めてたんだな……」
ポオ(顔を上げて、苦しげに微笑む)
「人は、幻想に生きてる。君は真実を暴き、俺は“嘘”を与える。
でもその嘘が、あいつの命を奪った――
だからこそ、君だけは……嘘をつかないでほしかった」
【そのとき、館が揺れる】
壁から突如、黒い羽を模した影が現れ、実体化する。
**《黒翼》の構成員・カフカ(新キャラ)**が登場。
カフカ(仮面の声)
「どう?面白いでしょ?
人は真実に殺され、幻想に救われる。君たちは、その矛盾の象徴なんだよ」
乱歩(立ち上がり、血を吐きながらも睨む)
「見世物にされる謂れはない。お前の“遊び”はここまでだ」
【エピソード末:毒の進行と静かな決意】
乱歩の手が痙攣し始める。
ポオはそれを抱えるようにして支え、静かに言う。
ポオ
「君は何一つ間違ってない。
でももし……本当に終わりが来るなら、俺は――
君と一緒に、それを迎える」
乱歩(目を閉じて、かすかに笑う)
「バカか、お前は……そんなの、嬉しいに決まってるだろ……」
【第2話ラストモノローグ:乱歩】
鏡の中の自分が笑っていた。
血塗れで、泣きじゃくって、それでも。
傍にあいつがいるなら、それでも悪くないって思ってしまった。