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24歳になった。

いや、なってしまった。

そろそろ『1度も彼氏できたことないの』と、言いにくくなってきた年頃だ。


そんなことを考えながら立花真衣香は、ビールを一口含んで何とか飲み込む。


(苦い……)


何故、飲み会となると最初はビールっていう謎の雰囲気があるんだろう。

と、いっても真衣香は会社の飲み会しか知らないので世間の声を大いに反映させているだけなのだが。


「真衣香!大丈夫?」


ガヤガヤとうるさいチェーン店の居酒屋。

その店内で隣に座る友人の優里が肩を揺らしてくる。


「だ、大丈夫」

「もうすぐ遅れてる最後の1人も来るらしいから揃うって」

「へ、へえ、そっか。わかった」


大丈夫?と、優里が真衣香を心配するのには理由があった。

彼氏いない歴=年齢。

しかし、真衣香は男性が苦手という訳では決してない。

大勢が集まる場が、何故か昔からとても苦手なのだ。

緊張してしまい俯き黙ってしまう。

いわゆる人見知りが強いという事なのだろうかと真衣香は思っているのだが。

別に、それでも生きてく上で支障をきたす程に人が怖いわけではない。人並みにコミュニケーションは取れている。


では、何が問題かというと。

女子校、女子大に進学した真衣香が友人たちと出向く『男性との出会いの場』


それが、高確率で合コンらしきものだったという事。


そう。出会いの場で、真衣香はうまく振る舞えないで生きてきたのだ。



(優里に頼まれて人数合わせで来たけどさぁ)


仕事終わりの金曜日。

飲むとしても優里と2人の方が良かった……なんて、口にしようものなら『だから彼氏ができないんだよアンタは!』と、怒られてしまいそうだと真衣香はビールとともに、その本音を飲み込んだ。



とは、いうものの。今日も、真衣香は俯き優里以外とは挨拶以外言葉を交わしていない。

賑やかな雰囲気に完全に怖気付いている。


「真衣香、普通に可愛いんだし、ちゃんと話せればすぐ彼氏なんてできそうなのになぁ!」

「……いや、可愛くないからこうなんだよー」


優里のいうとおり真衣香は目を引く特別美人とまで言わなくとも、そこそこに可愛らしい。

ほんのりとブラウンに染めたサラサラの肩につく程度のミディアムヘア。

カラコンなしでも黒目がちな二重の目。

形良くふっくらとした唇。

身長は本人も悩んでいる150少しと低めだが、華奢な体系であるため好むものは好むだろう……という、優里の言い分を真衣香は何度も聞かされてきた。



聞かされてはきたが、真衣香はチラッと優里を見る。

大人っぽい年相応の色気をまとった顔立ちや、年相応の服を着こなすスタイル。

ゆるいポニーテールが揺れるたびにいい匂いがする。

赤く発色してる口紅も、優里だから似合うのであって自分が塗ろうものなら何の罰ゲームかというほどに、笑い物になれる自信がある。


はあ……、と。真衣香はため息をついた。



「2人で何話してんの〜?」


優里と2人だけで話していると真衣香の斜め前に座る男が声をかけてきた。優里が何やら相手をしてくれているが真衣香はやはり愛想笑いだけを浮かべて下を向く。


すると、そこへ。


「お疲れー!悪い、遅れた!いきなり残業になってさぁ」


足音と共に明るい声が響いてきたのだが。


「え?」


真衣香はとっさに顔を上げた。


(え?なんで、まさか)


聞きなれた声。

何なら、ついさっきまで聞いてた声が、確かに聞こえてしまったから。


「ん??あれ!?」


相手も、驚いた声を上げて真衣香をみる。

そして空いてた一番端の席、そう。真衣香の正面に勢いよく座り。


「た、立花!?え、なんでお前がいるの?マジで??えー!ビビった」


ネクタイを緩めながら、『彼』は言った。


「私もびっくりした、坪井くん……お疲れ様」


正面に座った明るい声の整った顔を持つ男性。


それは唯一の真衣香の同期、坪井涼太だったのだ。

いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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