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#見ずらい
味噌汁のあまり
66
山田裕貴推し
355
まろん𓂃 𓈒𓏸🫧
213
同棲してから、いちばん困るのは夜だった。
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「電気、消すぞ」
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「はい」
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カチ、と音がして部屋が暗くなる。
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静かになると、余計に気配が近い。
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同じソファ、同じ空間、同じ空気。
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(なんでこんなに落ち着かないんだろう)
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音は布団に入る。
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でも、眠れない。
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隣の部屋じゃない。
同じ部屋。
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「寝ないの?」
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暗闇の中から声。
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「……まだです」
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「そ」
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短い返事。
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でも——
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気配が動く。
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ソファから立ち上がる音。
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足音。
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近づいてくる。
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「……何ですか」
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「別に」
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ベッドの横に立つ気配。
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見えないのに、わかる。
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「寝にくい?」
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「そんなことないです」
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即答。
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でも嘘。
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「ふーん」
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少し沈黙。
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そのあと——
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「じゃあいいや」
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そう言って、去る気配。
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(え)
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一瞬だけ、胸がざわつく。
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(行くの?)
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でも動けない。
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すると——
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「……」
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足音が止まる。
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振り返る気配。
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「なに」
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「……いえ」
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何でもない、と言おうとした瞬間。
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ベッドの端が沈む。
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「っ…」
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横に座られている。
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距離、ゼロに近い。
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「眠れない顔」
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低い声。
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「してません」
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「してる」
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即答。
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(またそれ)
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でも、今日は違った。
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そのまま——
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横に倒れてくる。
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「え…っ」
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腕の中に、音がすっぽり収まる。
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抱き枕みたいな距離。
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いや、もっと近い。
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「ちょ、近いです…!」
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「動くな」
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短い声。
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いつもより、少しだけ低い。
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心臓が跳ねる。
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「なんで…」
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「落ち着くから」
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意味がわからない。
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でも、離れない。
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むしろ——
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腕が、少しだけ強くなる。
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「今日さ」
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耳元で声。
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「他のやつと話してたろ」
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「え?」
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「スタッフ」
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(またそれ)
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「普通です」
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「普通でも気に入らない」
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即答。
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(嫉妬…?)
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そう思った瞬間。
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胸が、妙に熱くなる。
コメント
1件
うわ、45話、同棲編の夜の距離、すごく良かったです……! 暗闇の中での気配だけでここまでドキドキさせるの、本当に上手いなって思いました。「他のやつと話してたろ」の嫉妬、あの短い言葉に全部詰まってて胸が熱くなりました。 主人公の心臓の音がこっちまで聞こえてきそうでした。続き、めっちゃ気になります!