次の日の放課後。
昨日のことが、頭から離れなかった。
(今日はうちが攻め、とか……)
思い出すたびに顔が熱くなる。
彩希「咲乃ちゃーん」
「……なに」
彩希「なんか今日、そっけなくない?」
「別に」
彩希「ふーん」
彩希はいつも通り隣に来て、いつも通り距離が近い。
彩希「昨日のこと、気にしてる?」
「……ちょっと」
彩希「かわいい」
「っ……!」
(やっぱり!この余裕の顔!)
ここで私は、ふと気づいた。
(彩希、私が押されるの前提で来てる)
だったら――。
「ねえ、彩希」
彩希「なに?」
私は彩希の袖を掴んで、ほんの少しだけ引き寄せた。
彩希「……え?」
「昨日さ」
「攻めとか言ってたよね」
彩希「う、うん……?」
私はそのまま、彩希の耳元まで近づく。
「じゃあ今日は」
「私が攻めてもいい?」
彩希「……っ!?」
明らかに、彩希の動きが止まった。
(よし、効いてる)
彩希「ちょ、咲乃ちゃん……」
「なに?嫌?」
彩希「……嫌じゃ、ない……けど……」
声が小さい。私はさらに一歩近づく。
「じゃあ逃げないで」
彩希「……!」
彩希の耳が赤い。
(やば、可愛い)
「彩希ってさ」
「私が何もできないと思ってるでしょ」
彩希「そ、そんなこと……」
「……」
彩希「……」
彩希は完全に黙り込んだ。そのまま、私が手を握る。指を絡める。
彩希「……っ」
彩希「……反則……」
「なにが?」
彩希「急に……ずるい……」
私は思わず笑ってしまった。
「昨日、私がやられたことそのままやってるだけだよ」
彩希「……参りました」
そう言って、彩希は私の肩に額を軽く預けた。
彩希「今日は……咲乃ちゃんの勝ち」
「やった」
その瞬間、後ろから声がした。
陽人「なあ、敬」
敬「……見なかったことにしよう」
蓮「完全に立場逆転してね?」
霧春「……もう聞かねぇ」






