テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あれから数週間が経ち、合宿開始まで、あと一週間。その一週間は、🤍にとって驚くほどあっという間だった。
そして迎えた当日。
音駒高校の体育館に足を踏み入れた瞬間、
🤍は完全に固まった。
見渡す限り、長身の選手たち。
肩幅が広く、脚も長く、存在感が強すぎる。
180cm台が当たり前。
中には190cm近い選手もいる。
(ここ……巨人の集落……?)
梟谷のメンバーも十分大きいはずなのに、
他校が混じると迫力が段違いだった。
🤍は気を取り直して、
ドリンクケースとタオルの入った袋を抱える。
「えっと、ベンチ横に……」
そのとき。
「お、ちょっと待って」
背後から、やけに軽い声。
振り返ると、
坊主頭でにやっと笑う男子が立っていた。
「……?」
「めっちゃ可愛くない?」
🤍の動きが止まる。
「え?」
「だよな!?」
横からもう一人、短髪で鋭い目つきの男子が乗っかる。
「こんな可愛いマネいなかったぞ」
「新入生? それとも転校生?」
距離、近い。
しかも二人ともノリが軽い。
「あ、あの……」
「名前なに?」
「梟谷? それとも音駒?」
質問が止まらない。
「俺、田中龍之介!」
「こっちは西谷夕!」
「よろしくな、マネちゃん!」
(マネちゃん……)
🤍は一歩、後ろに下がる。
「す、すみません、今運んでて……」
「手伝うよ!」
「俺ら力仕事得意だし!」
「ついでに連絡先——」
そこまで言った瞬間。
体育館中に響く、異常にテンションの高い声。
ドンッと二人の間に割り込んできたのは、
背が高くて、髪が跳ねてて、やたらうるさい男。
木兎光太郎だった。
「いや、口説いてねぇし!」
「ただ挨拶——」
「可愛いねって言ってたじゃーん!!」
「それは事実だろ!」
田中が即答する。
「だよな!」
「否定できねぇ!」
西谷も頷く。
「そこは認めるんかい!!」
木兎は🤍の肩に手を置く。
「この子、梟谷のマネだから!」
「俺の!……いや、俺らの!!」
🤍は一気に顔が熱くなる。
「ぼ、木兎さん……!」
「だーいじょうぶ!」
「変な虫は俺が全部ブロックする!」
「ブロックされる筋合いねぇ!」
「つーか木兎さん、声でかすぎ!」
田中と西谷が文句を言う。
木兎は二人をじっと見下ろして、
ニヤッと笑った。
「ま、気持ちは分かるけどさ」
🤍の心臓が跳ねた。
(……奥手って)
「えっと……」
🤍が口を開くと、
三人が一斉にこちらを見る。
「……私は、梟谷のマネージャーです」
「よろしくお願いします」
田中がぱっと笑う。
「ちゃんとしてる!」
「いい子だな!」
西谷も親指を立てる。
「応援するわ!」
「試合も!」
木兎は満足そうに頷いた。
「よし! 挨拶終わり!」
「じゃ、そろそろ試合始まるぞー!」
◆ 合宿初日の試合
公式通りの順番で、練習試合が始まる。
第1試合:烏野高校 vs 音駒高校
第2試合:梟谷学園 vs 森然高校
第3試合:生川高校 vs 烏野高校
🤍は梟谷のベンチ横に立ち、
ドリンクを並べながらコートを見る。
「よっしゃ行くぞー!!」
木兎の声が響く。
ジャンプ。
助走。
踏み切り。
——高い。
やっぱり、この人は
巨人たちの中でも、ひときわ目立つ。
(……守ってくれて)
(……飛んで)
胸が、少しだけぎゅっとなる。
合宿は始まったばかり。
でも🤍はもう分かっていた。
この一週間は、
騒がしくて、恥ずかしくて、
きっと忘れられない時間になる。
——しかも、
コメント
1件