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#年の差
「避難」という大義名分を脱ぎ捨て
私たちは今日、本当の意味で「共に暮らす」ために荷解きをしていた。
瞬くんが私のマンションに引っ越してくる形になったの
彼の「凛さんの生活圏を守りたい」という執拗なまでの過保護心からだった。
「……ふう。これで一通り終わったかしら」
段ボールの山が片付き、リビングが少しずつ「二人の家」に変わっていく。
ふと横を見ると、瞬くんが本棚の整理をしながら、一冊の本を手に固まっていた。
「……あ、それは」
私が慌てて取り返そうとしたが、彼の方が一瞬早かった。
彼が手にしていたのは、以前私がこっそり買った年下ドS系TL漫画──
「凛さん、なんか前より増えてません…?」
瞬くんが、本を掲げながら意地悪そうに目を細める。
その瞳は、昼間の「有能な部下」でも
看病の時の「優しい男」でもない、獲物を追い詰める「雄」の輝きを帯びていた。
「ち、違うわよ! それは、その……研究というか、気晴らしに……」
「へぇ……『無理って言っても、俺は止まりませんから』…ですか。これ、俺が言ったら凛さん、もっと可愛い声で鳴いてくれます?」
「っ…なわけ……!」
顔が火が出るほど熱くなる。
彼は本をサイドテーブルに置くと
逃げようとした私の手首を掴み、そのままソファへと押し倒した。
荷解きで少し乱れたシャツの隙間から
彼の男らしい鎖骨が見えて、鼓動がうるさいほど跳ね上がる。
「凛さん、勘違いしないでくださいね。漫画の中の後輩は優しく描かれてるみたいですけど…」
「実物の方がもっと凄いの、今からたっぷり教えてあげますから」
「瞬、くん……まだ、片付けが……」
「そんなの、明日でいい。……一週間、我慢したんです。看病の間だって、あんたが可愛すぎて理性を保つのに必死だったんだから」
彼は私の髪に指を通すと、耳元で低く、熱を孕んだ声で囁いた。
「今夜は、一睡もさせないつもりで来ました。……覚悟、できてますよね?」
視線の熱に、私はもう抗うことができなかった。
私はただ、彼という深い海に沈んでいく自分を、静かに、そして幸福に受け入れていた。
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