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「……ふぅ……終わった……」ガチャリ、と玄関のドアが静かに開く音がした。 長時間の仕事の合間を縫って、アイドルとしての活動をしながら、血の滲むような努力で挑み続けた気象予報士の試験。そのすべてのスケジュールをようやく終え、家に帰宅した舜太は玄関に崩れ落ちるようにしてその場にしゃがみこんだ。
「……しゅんた?」
「……柔……ただいま……」
「おかえり。……すごく、疲れた顔してるね」
柔太朗はゆっくりと近づくとぐったりとしている舜太の前に屈んだ。冷たい指先が舜太の前髪を優しく、でも絶対に逃がさないという強い独占欲を込めてかき上げる。
「……ほんまに、長かった……。勉強も、仕事も、頭おかしくなるかと思った……っ」
「うん、知ってるよ。ずっと頑張ってたもんね、僕が一番近くで見てたんだから」
柔太朗の声は信じられないほど甘く溶けるように優しかった。 けれどその瞳の奥には、やっと手元に帰ってきた舜太を絶対に逃がさないという、底知れない狂気が静かに揺らめいていた。
「立てる? ベッドに行こっか」
「……うん、、でも足の感覚ないわ……動けへん……」
「ふふ、甘えん坊だね。……いいよ、運んであげる」
柔太朗は軽々と舜太の体を抱き上げると、そのまま寝室へ直行した。 柔らかいシーツの上にそっと降ろされた舜太は、全身からすべての力が抜けていくのを感じながらふぅと長い溜息を吐き出した。緊張の糸が切れ襲いかかってきた激しい疲労と睡眠不足が一気にまぶたを重くさせる。
「……はぁ、眠い……もう、動けへん……」
「うん、それでいいよ。もう何も考えなくていいからね」
柔太朗は舜太の横に腰を下ろしその温かい手のひらで頭から背中にかけて優しくゆっくりと撫で下ろした。
「しゅんた、本当によく頑張ったね」
「……うん……ありがと、柔……」
「試験も終わって、これからはもう、余計なことに頭を使わなくていいからね。……これからは、ずっと僕のものだね、しゅんた」
「……ん……眠い……」
意識が薄れていく中、舜太はかすかに返事をした。 心地よい疲労感と柔太朗の大きな手の温もりに包まれてまぶたが勝手に閉じようとする。
「ねぇ、しゅんた。こっち向いて?」
「……なに……?」
顔を向けた舜太の頬に柔太朗の指先がそっと這う。 その指は頬から首筋、そして鎖骨のあたりへとゆっくりとなぞるように滑っていった。 優しい撫で方なのに肌がヒリつくような熱と重さがある。
「しゅんた、おつかれさま。……本当によく頑張ったね、えらいよ」
「……うん……」
「もう今は何も考えなくていいよ、全部忘れてゆっくり休んでね」
「柔、ありがとう。どこも行かんといてね、?」
「大丈夫、ずっと舜太のそばにいるよ。安心して眠ってね」
今の舜太の眠気まなこの脳みそではもう処理しきれなかった。 ただ、柔太朗の手が自分の体を支配するように這い回り、逃げ場を完全に奪っていく感覚だけが生々しく伝わってくる。
「もう目をつむっていいよ。僕がずっと、ここで見守ってあげるから」
「……うん……おやすみ、柔……」
「おやすみ、しゅんた。……可愛い俺のすべて。ゆっくり休んでね……」
柔太朗は眠りに落ちていく舜太の額に深くキスを落とし、その髪を優しく愛おしそうに何度も梳いた。 静かな部屋の中で外の雨音だけが聞こえた。舜太は柔太朗の傍で深い眠りの中に入っていった。
コメント
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ああ、読ませていただきました……! 試験を乗り越えた舜太くんの、全身の力が抜けたような疲れ切った感じがひしひしと伝わってきて、思わず「お疲れさま」って声をかけたくなりました。それに対して柔太朗の「ずっと僕のそばにいるよ」という言葉の裏にある独占欲の描写が本当に絶妙で……優しいのにどこか背筋がゾクッとする、このバランスがすごく好きです。おやすみのキスと雨音の静けさで終わる余韻も、たまらなかったです🌷