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おにぎり🍙
瑠鈴🎼🎧@🎼🫧様リクエスト
✤政治的意図はありません
✤bl
✤🇺🇲🇩🇪注意(少し🇮🇹🇯🇵要素あり)
✤キャラクターとして見れる方限定
___それでも良い方のみお進みください
好きなんかじゃない。
クラスメイトに聞かれて、そう返したのはドイツだった。彼はとある男と幼馴染であり、同じ学校に通っていた。苦虫を噛み潰したように眉間に皺を寄せるドイツは幼馴染について悩みを抱えているらしく、相当参っている様子だ。
「なぁ〜…いいだろ〜」
その男が今目の前にいる奴だ。いいだろうと口を尖らせながら肩に腕を回し、頬にすりすりと指を擦らせるアメリカである。彼はこの学校の生徒会長であるドイツにちょっかいをかけ、揶揄ってくるのだ。
「うざい。鬱陶しいから離れてくれ。」
「えー…けち…」
「けちで結構。」
他の生徒には一切こういうことをしないくせ、ドイツを見かけると一目散に接近してくる。ただ、今朝ドイツは問題行動を起こした生徒と言い合いをしており、機嫌が良くなかった。
「ねぇ〜…じゃーまにー…」
今度は腕をぎゅう…っと強すぎる力で握り、ぶんぶんと振り回す。それを揶揄うクラスの奴らの言動も、腹が立って仕方ない。ドイツは自分の中で怒りのボルテージが限界に近づいていることを悟る。
「おい、本当にやめてくれ。」
「やぁだぁ〜〜」
クラスメイトからは真面目すぎてつまらないとあまり良くはない評価を受けているドイツ。表情に感情の起伏があまり表れないため、どう思っているのかがまるでわからない。そんな批判をするクラスの雰囲気さえもドイツの怒りを察し、何もないフリをした。
「いーじゃ〜ん…クレープ屋ぐらい行ったってぇ〜」
「無理だと言っている。いい加減にしろ。」
「なぁんでぇ〜…俺はドイツと行きたいの〜」
背中にぴっとりと貼り付くアメリカはドイツからすればあのひっつき虫と呼ばれる植物に等しい。唯一違うとすれば、それはドイツ限定ということだ。
「ぶぅ〜…」
ぷくっと頬を膨らませ、子供が母親にオモチャを強請るようにドイツを見つめるアメリカ。ドイツはとうとう堪忍袋の緒が切れそうだった。だが、アメリカはドイツが怒りでわなわなと震えることを知らない。…だから、いつものノリで言ってしまった。
「くそまじめやろう…」
と。彼ら2人は幼馴染で、一方的ではあったがアメリカが構って欲しいあまり、ドイツを揶揄ってしまうところがあった。ただ、今回はタイミングが悪かった。ドイツにある何かの糸がぷつりと切れた音がした。
「いい加減にしろよッ!!!」
いつもならアメリカ相手に本気になってはならぬと受け流せていたドイツ。それをアメリカ自身もよく分かっていた。だから今回も大丈夫だろうと揶揄った。アメリカは予想だにしない事態になってしまったことがうまく理解できなかったのだろう。目をぱっちりと見開き、まるでこの世にいない生き物を見たかのような恐ろしさを全身で感じていた。
「…ぁ、ごめッ…」
ショックと初めてドイツに怒鳴られたからだろう。アメリカはドイツを見つめたまま立ち尽くした。するとこの殺伐としたムーブを見ていられなかったクラスの男子がアメリカの腕を引っ張り、アメリカは普段いる 取り巻きと共にその場を後にした。
「………」
ドイツが正気を取り戻せたのはほんの数秒後で、一瞬でやってしまったと自分を責めた。ドイツにとって、アメリカは中学高校で初めて話しかけてくれた奴だった。言葉も行動も幼い子供のようだったが、それでもドイツに向かって一度たりとも罵倒するようなことは言わなかった。
「…やってしまった………」
アメリカとドイツは言い換えると黄色と青色。所謂凸凹コンビと呼ばれるタイプのペアだった。ドイツが一度も忘れ物をしたことがないといえば、アメリカは必ず1日に1回は忘れ物をしている。それは今もきっと同じでドイツが反省し、自責の念に駆られている間。アメリカはもうそこまで気にしていないだろう。と、ドイツは思う。
その反面、ドイツはアメリカが心配だった。アメリカには1つだけトラウマと呼ばれるものがあった。今でこそクラスの中心であり、1軍であり、陽の気を纏うキャラであるアメリカ。ところが幼少期にたまたま虫の居所が気に食わなかったらしい見知らぬ大人に大声で怒鳴り散らされたことがあった。これを話してくれたのはつい最近のことである。
ドイツさん。
誰かから呼ばれた声がして、後ろを振り向くとそこには別クラスで生徒会活動を手伝ってくれている日本とイタリアの姿があった。2人は相変わらず距離が近く、遠慮が見えない。今日ドイツは活動の予定を入れており、暇な時間などない。用事を思い出したドイツは一旦そっちを優先することにした。
「ああ、すまん…。すぐ行くよ。」
後で謝りに行こう。
そう思い残してから、ドイツは生徒会室へ向かった。
だが、昼休憩でやっと一息つこうとした時。アメリカの様子が少し変わっていた。
いつもならドイツの机に真っ先に向かい、前の席にある椅子に腰掛けて買ってきた購買のパンを食べ始めているはずのアメリカがいなかった。その日は取り巻き達と何処か寂しそうに、気まずそうに口元に食を運んでいた。
「まぁ…流石に話しづらいよな…」
ドイツは胸に小さな針が刺さったのを感じたが、見ぬふりをして自分も食事を始めた。自炊が驚くほど下手なため、いつもイタリアにサンドウィッチを、日本からはおかずを作ってもらっているドイツ。2人で食べたときは美味しかったはずの弁当は何の味もしなかった。
仕方ないとスマートフォンをスワイプし、適当にニュースや話題をみていると通知が鳴った。開いてみると、新しいクレープ屋ができたという投稿が目に入った。その瞬間、先程のアメリカの言葉が頭の中をよぎった。
“いいじゃん、クレープ屋ぐらい行ったって”
アメリカは新しくできた動物モチーフのクレープ屋に誘っていたのだ。ドイツはそんな投稿など見ていないため無理だと断っていたが、アメリカは知っていた。ドイツが生粋の甘党であり、動物好きであることを。
「あいつ…俺を……」
そう自覚したら自分はなんてことをしてしまったのだろうとドイツはした。忸怩たる思いに頭も心も覆い尽くされ、食べられたはずの食事も喉を通らなくなる。
早く謝らねば……。
ドイツは早く放課後が来ることを願った。
___のだが。放課後になってもアメリカはドイツを避け続けた。ドイツが話しかけようとすればするほどアメリカは遠くへ逃げ、此方を横目で確認し、取り巻きと会話をする。明らかに避けられていた。
「 …というわけで…。助けてほしい…。」
「…はい?」
「何を協力すればいいんね……」
もう他に少し助けてもらうしかないと、ドイツは生徒会メンバーである日本とイタリアを呼び出した。放課後今日は今週で唯一何もない日だと誰よりも仕事をこなす日本は喜んでいたので視線が痛い。…それではなく、
「仲直り…ですか…?」
「そうなんだ……」
「そもそもドイツはアメリカの好きなの?」
「ぇ、…?」
好きなのか。と聞かれても…と珍しく口をもごもごするドイツ。普段の様子を知っている日本とイタリアは何かを察知したらしく、これは気が遠くなるぞ…と2人して心で慰め合う。
「…ドイツさんがアメリカさんを好きじゃないなら、仲直りしなくてもいいでしょう?」
「そうだよ、ドイツ。君、あんなにアメリカのことうざったく扱っていたでしょ?」
「それは…、そうだが……」
確かに、本当に嫌いだと思うのなら、仲直りなど時間の無駄でしかない。だがドイツは納得していないようだった。それも、少しムカッとしたような口調で2人に言い返すぐらいには。
「別に好きとか嫌いとかじゃない。俺はこのままが嫌だと言っているだけだ。」
効率厨であるドイツがこんな事を言うなんてと日本は何処か微笑ましさを感じた。一方、普段サボってばかりいるイタリアは、いつもの説教をされている気分になり、ただ恐怖するあまりだったが。
「なら…少し助け舟をだしましょう。」
「本当か!?」
「ええ、もちろん。では…」
“クレープ屋に行ってください”
「…は?」
喧嘩した、仲直りしたい。からどうやってクレープ屋に行くという提案が生まれるのだ。わけが分からずピタリと固まってしまったドイツ。イタリアはやれやれ…と言った様子でドイツを諭した。
「いい?ドイツ。君はね、好いているんだよ。」
「!?なにいって…ッ」
「ドイツ。心に聞いてみて。君は今、何で仲直りをしたいと思うの?」
心に、聞く。それは容易なことではなさそうで、ドイツは余計に冷や汗をかく。
「まぁもう時間ありませんし、行ってる途中に考えてください。」
「このままでいいなら、帰ってくればいいですから。」
日本の言葉にあまりにも酷すぎるとドイツは思った。
自分がどう思っているのか。自分はなぜ仲直りがしたいのか。マップアプリで道を確認しながら、自問自答を繰り返す。アメリカはクラス、いや、学年。いいや、この学校で一番の問題児だ。それこそ、何度も日本からお咎めを食らったか自分でも覚えていないぐらい。でも人間関係に関するトラブルは一度も起こさなかった。それくらい、本当は優しい奴だった。
「いない…」
クレープ屋に着いても、そこにアメリカはいなかった。そりゃそうだ。ドイツはそう思う。アメリカから甘い物が好きだと言う話を聞いたこともなければ、甘い物を食べているところを見たこともない。アメリカはよくドイツをスイーツ店に誘うが、当の本人はコーヒーしか頼まない。
「俺の…ため…」
メニューを見る。チョコバナナ、イチゴチョコ、ブルーベリークリーム。どれもドイツが好きな物だった。これも、きっとアメリカは知っててやったことなのだろう。
ぽつ…ぽつ…看板と液晶に水滴が垂れてきた。ドイツの気持ちを代弁するかのように、空の雨雲はドイツのシャツを濡らす。じっとりと肌に張り付く感覚に気持ち悪さを覚えた。そして、ドイツはふとこう思った。
なぜ、今俺は視界が滲んでいるのだろう。
アメリカは彼女がいると、ドイツも噂で小耳に挟んだことがある。あの時、アメリカはドイツにそう見えるかと笑ったがドイツは返事を歯切れ悪くし、不思議と気分が落ち込んだ。
ドイツの肌に打ち付けられる雨はどんどん強まり、看板のチョークで書かれた文字はだんだん薄れていく。もう、仲直りはできない。そう判断したドイツは諦めて帰ろうと後ろを向いた時だった。
立っていたのだ、アメリカが。
信じられないものを見たというように、マリンブルーの瞳を震わせて。こちらを、いや、ドイツの目を見ていた。
「おまッ…!?濡れんだろッ!!」
そう言って羽織っていたファー付きのパーカーをドイツに着せた。
「……すまない。俺のせいで、お前を傷付けた…。」
「んなこともう気にしてねぇって…な?」
「だが……。」
それに、俺も悪かったよ。
ドイツは初めてアメリカに謝られて、びっくりした。アメリカがこうも真剣な表情で自身を見つめてくることはなかったからだ。
「なぁ…お前がいいなら、今からクレープ食べようぜ?」
「…ああ、もちろんだ。」
だが…。とドイツは言葉を続ける。
「お前、彼女は?」
「…は?」
「いや付き合ってる人いるんだろ?」
一応、確認しておきたかったドイツはアメリカに彼女が居るのかを聞く。ただ、返ってきた答えは想像の斜め上をいく言葉だった。
「いやいねぇし…お前一筋だけど、?」
え。は…。
ドイツもアメリカも状況がうまく整理できていないらしく、近くのコンビニの中から見守るイタリアと日本は“お前ら両片思いなの気付いてなかったんだ…”と呆れた様子で笑っている。
「えっと…それは俺をお前が好いているという解釈でいいのか…??」
「うん。俺はドイツが好き、ずっと前から。」
「……ありがと」
自分のことをアメリカが好いてくれている。この事実がドイツの顔をみるみる紅く染めていく。ドイツは顔から火が出そうなくらい熱くなって、目の前でニヤつくアメリカにヤケクソで抱きついた。
「…」
「うお…ったく…今だけな、」
アメリカは珍しく自らスキンシップをしてきたドイツを独り占めすべく、小窓から覗く見守り隊の2人に帰れ。とアイコンタクトを送った。思ったより、執着心が強いようだ。
「やれやれ…散々使い回された挙句、邪魔者扱いですか…」
「まあまあ!…2人とも幸せそうだし、io達も帰ろ!」
「ええ、そうですね。」
手を繋いだ2人が帰ったのを確認し、アメリカはドイツにクレープを奢った。ドイツは感情の起伏があまり顔にでないが、アメリカとスイーツを食べているときだけ、嬉しそうにする。
アメリカはこんなにも愛らしい恋人を絶対譲ってやるもんかと謎の意地をはり、ドイツに一口ちょうだいという合図をする。
「ん。」
「…ほしいのか?お前、甘いの苦手だろ…?」
「いいから。」
「…ほい。」
ドイツがクレープを差し出すと、ドイツが齧り付いた部分にアメリカは齧り付く。
「…は、ぇ…?」
口端に付いたクリームをぺろりと妖艶さを演出するように舐め、ドイツの方を向く。まるで“お前も食べるぞ”と言わんばかりに。
「なっ…なぁ…ッ…!?」
「…そういや、お前俺が彼女いるとか言ったよな?」
「?…ああ、言ったが…?」
ドイツの言葉を合図と言うかのように、アメリカはそのてらりと唾液によってシロップのように光る唇に噛みついた。
「ん゙っ゙…!?」
「ぷはっ…へへ、」
“お前、あとで覚えとけよ?”
口角を片方だけ吊り上げ、ニヤリとアメリカは笑ってみせる。そこには“わからせてやる”という意思をびりびりと感じさせるこそばゆい何かがあった。
「…うん、」
ドイツは何処か幸せそうに笑った。
好きなんかじゃない。
こいつは俺の恋人だ。
と、ドイツは言う。アメリカはきっとそらされるだろうと思っていたため、びっくりしてドイツの顔をみる。ドイツは自慢げに言った。
愛してるよ。それに、俺に話しかけるとお前危ないぞ?
アメリカの方を見て、いたずらっぽい笑顔で言った。
好きじゃないはずだった。
コメント
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ウワァ”ァ”ァ” 好きです、…好きですッ、!!!!(???) もうこれ見ただけで幸せになりました(?) なんか…もうすごすぎて感想が(( リクエスト、作品もイラストもありがとうございました!