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智也は夜通し悩み続けた。春菜と三咲の間で心が引き裂かれそうだった。彼の中では、三咲への愛情と春菜への思いが交錯していた。どちらも大切だと思うが、同時に心の中で何かが足りないような、満たされない感覚を抱えていた。
翌日、智也は学校で三咲と目が合った瞬間、胸が痛くなった。彼は三咲の目に浮かぶ不安そうな表情を見逃すことができなかった。それは、彼が彼女を裏切った結果として生まれた感情だと理解していた。
その日、昼休み。智也は決意を固めて三咲を呼び出した。彼の足取りは重かったが、心の中で彼女に謝りたい気持ちが強くなっていた。
「三咲、ちょっと話したいことがあるんだ。」智也は少し躊躇いながら言った。
三咲はその声を聞くと、少し驚いたように彼を見つめた。「どうしたの?」
「僕…君に伝えなければならないことがある。」智也は真剣に、そして少し震える声で言った。
三咲は一瞬黙ってから、座るように促した。「わかった、座って。」
智也はゆっくりと座り、深呼吸をしてから話し始めた。「僕は…ずっと自分の気持ちが分からなかった。春菜と君、両方を大切に思っていたけど、結局僕は君を傷つけてしまった。君を裏切っていたんだ。」
三咲はしばらく無言で彼を見つめた。その目には痛みが浮かんでいたが、それでも彼を責めることなく、ただ静かに耳を傾けていた。
「本当に申し訳ない。」智也は頭を下げた。「僕は自分が思う以上に君を傷つけて、君の信頼を裏切った。君の気持ちを大切にしていなかった。」
三咲はその言葉を聞いて、少し時間を置いてから答えた。「智也、私…あなたの気持ちはよくわかる。でも、あなたがどれだけ悩んでいるのか、どれだけ苦しんでいるのかも知っている。だからこそ、私はあなたを責めるつもりはない。」
智也は驚きながらも、三咲の優しさに胸が痛んだ。「でも、君を傷つけてしまった。それは変えられない事実だ。」
「ううん…私はもうあなたに期待しないことにした。私はあなたがどんな決断をするか、あなたの気持ちを理解したい。でも、もう自分の心をあなたに捧げるつもりはない。」三咲は静かに言った。
その言葉が、智也の心に深く突き刺さった。彼は何も言えなかった。自分の中で何かが崩れ落ちたような気がした。
「三咲、でも僕は君に誠実に向き合いたい。」智也は再び口を開いた。「君がどう思っているのかを知りたかったんだ。君にどんな言葉をかけても足りないけれど、君に一番伝えたかったのは、僕が本当に後悔しているということだ。」
三咲はしばらく黙ってから、穏やかな笑みを浮かべた。「ありがとう、智也。あなたの気持ちは伝わったけど、私はもうあなたに期待しない。これからは自分の気持ちを大事にしようと思う。」
その言葉が、智也の心をさらに痛ませた。彼はどれだけ悔いても、三咲が自分から離れていくことを止めることができなかった。
その日、帰り道。智也は自分が何を選ぶべきなのかを、心の中で繰り返し考えていた。春菜を選ぶのか、それとも三咲を選ぶのか。ただ、どちらにしても彼の心はどこか空っぽだった。
その時、彼はふと気づいた。自分が本当に選ばなければならないのは、誰でもなく、まずは自分の心の声だったのだと。
智也は深呼吸をし、空を見上げた。自分の心の声に従うことが、今一番大切なことだと確信した。