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「では、行きましょう」
警察は俺の事をパトカーへと誘導する。
「はい、入って」
「はい」
俺はパトカーの中に入ろうとした。
「早見!!!」
向かいの歩道には部屋着で息を切らしたまま俺の苗字を叫ぶ永目がいた。
「動くな!」
俺は今出る一番大きな声を出す。
「ほら、入れ!」
「絶対、来るな!」
俺は警察の声なんて聞かず、永目に向かって叫ぶ。
「なんで、!」
永目の泣き出しそうな声が聞こえる。
俺はその声が聞こえないフリをして、パトカーの中に入った。
ピピピッピピピッピピ
俺はストップボタンを勢い良く押した。
俺は息を整える。
このリアルな夢で初めて俺は安堵した。
永目が死ななかった。
それがとてつもなく嬉しくて、安心した。
俺は起き上がる。
リビングにも生臭い匂いが広がっていて息をするのが辛い。
俺は汚いこの体を洗うために風呂に向かった。
風呂には赤い水が広がる。
だが、それを見てもなんとも思わなかった。
今はただ永目に会いたくて、話したい。
親父の事なんて全く気に止めなかった。
俺は濡れた髪を拭きながら学校に向かう準備をする。
いつもはうるさくてめんどくさい家から出るという行動が意図も簡単に出来た。
この生活も悪くない、俺はそう思い始めてしまっていた。
俺はそのままぼっーと歩いていたら、いつの間にか学校に着いていた。
静かに教室に入り、自分の机に座り、いつも通り机に突っ伏す。
俺の事を虫のように見る奴のことなんて全く気にならない。
それよりも早く永目と話したい。
時間は経ち、放課後となった。
俺はいつもの裏庭に行く。
裏庭には既に永目の姿があった。
俺は早足で永目に向かう。
「あ、早見」
「ああ」
永目はいつもの元気な感じとは違い、落ち着かずソワソワした様子だった。
「告白の返事させて、?」
「ああ、聞かせて欲しい、」
俺はそう言ったものの何を言われるのかとても不安だ。
言いたいことは分かる。
でも、それを永目の口から直接聞くのはとても苦しい。
永目は息を吐き、俺に近付き、手を握る。
永目は俺の事を真っ直ぐな目で見る。
「よろしくお願いします」
俺の頭にはその言葉響き渡る。
その言葉は幻聴のように聞こえる。
頭がおかしくなってしまったのか、
そう疑うものだ。
「本当に……?」
「うん、本当だよ」
「でも、永目には特別な人が居るだろう?」
永目は少し考える。
「……え、なんのこと?」
「昨日、女の家に入ってた」
また、永目は考える。
そして、永目はハッとする。
「その女の人って長い茶髪だった?」
「ああ」
「それ、僕の姉ちゃんだね」
「え……、」
永目の話によると、あれは特別な人ではなく姉だったことが分かった。
永目の姉は里帰り出産で実家に帰ってきたらしく、永目は鍵を家に忘れてしまい、家に居た姉に出てきてもらったらしい。
「ふふ、早見ってそういうの気にするんだね」
「え、いや俺だって気にするよ」
「そうだよね、言ってくれてありがとう」
永目は満面の笑みで言う。
そして、また永目は俺の手を強く握る。
「早見、よろしくね」
「……、よろしく」
「早見、ここ座って」
永目はそう言いながら、俺の事をコンクリートの上へと誘導する。
俺は何の躊躇いもなくその上に座った。
早見は俺の横に座る。
「早見、こっち向いて」
「ん、」
俺は永目の方を向いた。
その時、俺の唇に永目の唇が当たった。
音も鳴らない触れるだけのキス。
俺が動揺していると、その様子を笑いながら永目はまた俺にキスをする。
さっきとは違い、少し濃厚なキス。
俺の唇を食べるように扱われる。
「……んぅ…」
俺の喉から声に鳴らない声が出る。
自分の喉から出ているとは信じられず驚いていると、口内に永目の舌が入ってきた。
「……ん……ぁっ」
息が続かず、トントンと永目の腕を叩くと永目は舌で糸を引きながら離れる。
「早見、かわいいね」
「ん、」
永目は俺の頭をゆっくりと撫でる。
その行動はまるで母さんみたいだった。
「早見、今度一緒にどこかに行こうね」
永目は不安そうな目で言う。
俺はその言葉で決心した。
「ああ、また今度な」
永目はその目で俺の事を見つめる。
俺は大丈夫だよ言わんばかりに永目の頭を撫でた。
永目は俺に抱きつく。
「早見、僕、早見の事ずっと大好きだからね」
永目は何かを悟ったように言う。
(ああ、俺もずっと大好きだよ)
その思いは俺の口から出ることはなかった。