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「おはようございます」
『おはよー、おんりーちゃん』
朝起きると、とっくにぼんさんは起きていた。お腹空いてただろうなぁ。
「ねえ、ぼんさん」
『どうしたの?』
料理しながら、ここ最近一番聞きたかったことを聞いてみる。
「ぼんさんって、獣人なんでしょ?」
『うーん、まあ、いちおう?』
「なんかすごいことできたりしない?」
物語やアニメで見る獣人は、なんかすごいことをしていた。もし、自分のイメージ通りであれば、ぼんさんもなんかすごいことができるんじゃないかと思ったのだ。
『んー、わかんない』
「わかんないかー……」
しばらくシーンとした後、ぼんさんが『テレビつけていい?』と聞いてきたので、リモコンを渡す。カチリとボタンを押した。
<えー、次のニュースです>
ニュース番組だったらしい。Z〇Pかな?
<〇〇県▲▲市で、誘拐事件が多発しています>
「えっ、ここら辺じゃん」
『そうなの?』
本当にここら辺だ。発達した都市で、まさか誘拐事件が起こっているとは。怖い。
<狙われるのは30歳以下の男性ばかりです。犯人らしき人を見かけたら、こちらの番号までご連絡ください>
「え、そんなぁ」
自分は30歳以下だ。狙われるのか?やだなぁ。
『大丈夫だよ。なんかあったら俺が守ってあげるから』
「……うん。ちゃんと守ってよ?」
まかせろ!、とやる気を漲らせている。ちゃんと守ってくれるのかな?
「ちょっと買い出し行ってくる」
『そうなの?いってらっしゃい』
「ちゃんと留守番しててよ、インターホンが鳴ったら、ドズさんたちだけしか開けちゃダメ」
『わかった』
何回同じことを注意しても、ぼんさんは嫌がらない。自分だったら「わかってるよ!」なんていっちゃいそうだけど。
「行ってきまーす」
『行ってらっしゃい』
二回目のやり取りをして家を出る。
アパートを出て十五分ほど歩いたところにスーパーがある。卵が足りないため買いに行く。最近高くなってしまった。悲しい。
「すみません」
歩いていると、知らない人が声をかけてきた。なにかの勧誘か?
「どうしました?」
「道に迷ってしまったんです。教えて頂けませんか?」
あ、道に迷った人だった。心の中で盛大に安堵する。
「いいですよ。どこですか?」
「□□駅です」
結構遠いな。この人は一体どこから来たんだ。
「わかりました。こっちです」
「あ、途中で物を回収しないといけないので、止まるかもしれません」
「はい……?」
物を回収?
「あ、ここら辺です。ちょっと止まってください」
その人は狭い路地に入って、何かを探している。しばらく探したあと、くるりと振り返ってこちらを見た。
「見当たらないので、一緒に探してもらえませんか?」
なんか図々しいな。でも、無くしたのであれば見つけなくては。
「いいですよ」
そのまま路地に入る。その場で屈んだ瞬間、視界が黒に染まる。
「!?」
そのままもがいたが、次第に力が抜けていく。意識が暗転した。
『……おんりーちゃん、おそいな』
もう出かけてから三時間経っている。スーパーなら最大限時間をかけても四十五分。なのに、それを超えてすごく遅い。
『なんかあったのかなぁ』
ちょっと今日の出来事を細かく思い出す。朝起きて、おんりーちゃんが部屋に入ってきて、てれびをつけた。その時のニュースはーーーー
『誘拐、事件』
ニュースで紹介された条件は、30歳以下の男性だった筈だから、おんりーちゃんは格好の標的だ。そんなことないとも言いきれない。
『とりあえず、誰かに連絡しよう』
家の固定電話の受話器を取る。おんりーちゃんの友達(?)、ドズルさんに電話をかけた。
しばらくコールが続いてから、カチャリと音がした。
<もしもーし>
『あ、あの、ドズルさんですか?』
<その声はぼんさんだよね?どうしたの?>
『おんりーちゃんが、帰ってこなくて』
<そうなの?ここには居ないけど……>
『そう、ですか……』
<僕達も捜してみるね。ぼんさんは家から出ない方がいいかも>
『なんでっ!?』
自分も捜しに行きたい。大事な同居人(?)だから。
<もし、ぼんさんの存在がバレて、それでおんりーが脅迫されてるとかだったら、余計行っちゃダメ。だから、できるだけ家にいて>
『でも』
<ダメ。そっちにはネコおじを向かわせる。見守っていてもらう>
『わかった。俺がキレるまでに見つけてください』
ドズルさんが電話の向こうでくすりと笑う。
<わかってるよ。どうしようもなくなったら、ぼんさんも捜していいよ。じゃあ、いってくる>
『お願いします』
そういった所で、プツリと電話が切れる。見つかるといいな。
半端なところで切ってしまってすみません、主です。最近サボってました。すみません。これからは頑張りますね!次をお楽しみに!