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森の奥、三人は巨大な根が絡み合う古の遺跡へたどり着いた。
モルグ「……ここが、黒樹の『中心部』か。“鍵穴”がいっぱいあるな」
リバ「家系の古文書にも、“森の王座には選ばれし者しか入れぬ”と――」
ザラ「族長の口伝にもある。『闇の扉が開かれし時、真の身分が明かされる』だとさ」
遺跡の中央には、三つの違う形の“紋章付き鍵穴”があった。
モルグが自分の腕の紋をあわせると、石の扉が震え出す。 同時に、リバ・ザラもそれぞれ自分の家紋を重ねる。
ゴゴゴゴ――!
三つ同時に紋章の光が交差し、扉が静かに開いていった。
――中は、夜と見まごうほどの暗闇。
浮遊する黒い胞子がぶわっと三人を包み込む。
リバ「……これ、最初の村で“禁忌”として伝わっているものに似てます」
モルグ「恐れるな、きっと意味がある」
中に浮かぶ“水鏡”のようなものが、唐突に三人へ幻影を映し出した。
リバは、幼い頃の自分と“優しそうな女性”が森で微笑む場面。
ザラは、族長の父親から「真の勇者の血筋だ」と告げられる記憶。
そしてモルグには、現代日本らしき白い景色、制服姿の自分が友人に手を振る光景――。
モルグ「これ……やっぱり俺は“ここに生まれなおした”んじゃなく、“呼ばれた”んだ……」
ザラ「俺にもある。森で“黒い影”を見たあの日、何かがオレを呼んだ――その声だ」
リバが真剣な顔で振り向く。
「私の父は、ある日突然消えました。森の秘密を知りすぎたせいだと……もしかして、この“場所”に?」
水鏡に新たな幻影――“世界の裂け目”から無数の光があふれる光景。
「――三人の血脈、“異世界より来る魂”が交わりし時、選ばれしものは扉を開ける」
「そして、“世界を繋ぐ鍵”となれ」
謎の声が空間に響く。
ザラ「こいつは比喩じゃない。マジで、この“黒樹の森”自体が、何かを“繋ぐ扉”だ」
リバ「モルグ様……やっぱり、あなたの魂は……本当に“よそ者”?」
モルグ「分からない。でも、ここまで来たらもう確かめるしかない」
その時、鏡面にモルグの“現代日本の自分”の顔が浮かぶ。
そして幻影の中で、同じ顔の“大人の自分”が、幸せそうに誰かと笑い合う場面がちらりと見える。
モルグ(――この結末は……“戻れる未来”の可能性……?)
周囲の黒い胞子が静かに瘴気となり、三人の周囲が不穏にざわつく。
ザラ「ここで“試される”ってワケか」
一同が剣・菌剣、族族の武器を手に、扉のさらに奥へ――。
道の先では、仮面をつけた“観測者”らしき謎の存在たちが姿を現し始める。
■一方、観測者たちの視点
「いよいよ“扉”の継承者たちが集まった」 「異世界の魂と在地の血脈、すべては“世界再編”のため――」 「だが、彼らに“選択”を与えよ。それこそが、この物語の本質だ」
三人の冒険は、“この世界”の運命だけでなく、“元の世界”への道筋も巻き込んで――、いよいよ核心へ。