テラーノベル
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「…たこ焼き、とか……?」
「いいじゃん」
天馬くんと肩を並べて歩く。
不規則に揺れる人混みの中で、時折、二人の肩がかすかに触れ合う。
その一瞬の接触に、火傷しそうなほどの熱を感じて、僕は歩幅を合わせるのさえ精一杯だった。
ようやく手に入れた、出来立てのたこ焼き。
舟皿から立ち上る湯気が、食欲をそそる。
「熱いから気をつけろよ」
「うん…あむっ」
忠告を聞くよりも早く、一口で頬張ったのが間違いだった。
「……っ! あふ…あつ……っ!!」
口の中で爆発したような熱量に、涙目になりながらハフハフと口を押さえる。
飲み込むことも吐き出すこともできず
もがく僕を見て、隣の天馬くんが堪えきれずに吹き出した。
「はははっ!水瀬、めっちゃ猫舌じゃん」
「…っ、だ、だって本当に熱かったんだもん……っ!」
「そんな慌てて食うからだろー?」
お腹を抱えて笑う彼が少しだけ恨めしいけれど
その笑顔が向けられている先が僕だと思うと、胸の奥がくすぐったい。
その後も、二人の食べ歩きは続いた。
北海道名物の大きなザンギを半分こしたり
青と赤のシロップがたっぷりかかったかき氷を買ったり。
「水瀬、ちょっと舌見せてみ」
「……え?」
「いいから。絶対真っ青になってるって」
茶化されて、恐る恐る鏡代わりのスマホに自分の顔を映すと
そこには見事なほど鮮やかな青色に染まった舌があった。
「……っ」
羞恥で顔が燃えそうになる。
けれど、天馬くんもまた、真っ赤に染まった自分の舌をべーっと突き出してきた。
「天馬くんも真っ赤だ」
「マジ?ゾンビみたいだな」
顔を見合わせ、どちらからともなく笑いが漏れる。
そんな他愛もないやり取りが、何よりも特別に感じられた。
射的の屋台では、天馬くんの意外な一面を見た。
鋭い目つきでコルク銃を構える彼は、驚くほど冷静で、狙った景品を次々と撃ち落としていく。
「はい、これ。水瀬の分」
天馬くんが差し出してきたのは、淡い水色の小さなガラス細工。
「……え、いいの?」
「さっきから欲しそうな顔してたし」
無造作に手渡されたガラスの冷たさが、逆に僕の胸をじわじわと熱くさせた。
逆に金魚すくいでは、僕が本領を発揮した。
子供の頃、近所の祭りで鍛えた腕前で
破れやすいポイを巧みに操り、天馬くんが
「はあ!? なんでそんな取れんの!?」と本気で悔しがるまでになった。
気づけば、待ち合わせの時に感じていたガチガチの緊張は、夜風に溶けるように消えていた。
ただ────。
本格的に花火の時間が近づき
会場の密度が増してくると、人混みの苦手な僕は息が苦しくなってくる。
「……っ」
前から流れてくる人の波に押され、足元がふらつく。
天馬くんとの距離がじりじりと離れそうになった、その瞬間。
「おっと、危な」
ぐい、と。
強い力で右手を掴まれた。
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#シリアス