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現実のキミ2

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現実のキミ2

2 - 第2話 すれちがい

2022年06月27日

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残業に、残業。毎日誰もいない駅を歩いていた。明日は休みだ。あと少し頑張れ、私の脚。今日はタクシーを使わず歩くぞ。自然と前を向いて歩くようになれた私は、来都くんに会えたらこの間のラジオのことを聞こうと思った。

少し歩いたところにあるタクシー乗り場は、私の家の通り道だった。そこには、見慣れた影があった。来都くんだと思う。話しかけようと走ったが、間に合わなかった。明日こそは会えるといいな。そう思って家に帰った。

休みが突然すぎて、遊ぶ友達もいなかった。

「今日は家でのんびりするか…」

そういえば、引っ越してきてからゆっくり家にいられたこともない。久々に掃除でもして、久々に買い出しにも行こう。ど平日の昼間にこの辺をうろうろできるのも初めてかもしれない。少しワクワクしながら散歩した。

少し歩くと、来都くんに会えた思い出の公園がある。あの頃の私はものすごく暗く、下を向いて歩いていた。今日は天気もいいし、座ってコンビニの弁当でも食べることにした。

しかし、1人でピクニックをするには、目立ちすぎた。みんなが私をジロジロと見ながら通り過ぎていく。恥ずかしすぎて、黙々と箸をすすめた。

「ねえもしかして!」

大量に米を頬張っている時に、来都くんの声が聞こえた。やばい。こんな顔、見られたくなさすぎる…急いで飲み込もうとしたら、盛大にむせてぶちまけてしまった。

「大丈夫?ごめん…これ飲んで!」

来都くんは飲みかけのお水を差し出してきた。え?どういう状況?間接キス?喉に詰まって苦しい上に、胸の鼓動でさらに苦しくなった。考える間も無く、差し出された水を飲むしかなかった。

「ハハッよかった…ごめんね本当に!窒息しないでよかったよ!」

やばい…って顔をしていた来都くんが、いつもの高笑いで場を和ませてくれた。お陰様で、”窒息”もしないで済んだ。

「ところで隣いい?ちょっと休憩!」来

都くんはランニングの最中だった。あっ、そうだこの間のラジオのことを聞かなきゃ。せっかく会えたことだし、私のことじゃなくてもいいや。恥ずかしい思いはもうしてしまったから、やけに勇気があった。

「そういえば…」「そういえば!」

ハモってしまった。恥ずかしい気持ちが勝って、むせたフリして来都くんに話を振った。

「そういえば、この間のラジオ聞いてくれた?」まさかの同じことを聞こうとしていた。

「あの日、タクシーに乗ってて聞いたの!あれって私のこと?笑」

口が滑ってついガツンと聞いてしまった。すると、来都くんはたくさん頷いた。

「僕ずっともものことが忘れられなくて、今も頑張ってるのかなあって夜を過ごすことが増えたんだよ。聞いてくれてよかった!ほら、僕にエールは?」

私のことだったんだ…とわかった瞬間、鳥肌が立って現実がわからなくなった。あ、そうだそうだ。エール、エールね。

「来都くん!いつもお疲れ様!」

飾ったことが言えなかった。普通の言葉しか出てこなくて自分を責めた。恥ずかしくて仕方がなかった。

そしたら来都くんから突然両手で手を握って、

「僕も頑張るから一緒に頑張ろうね!」

って言ってくれた。テレビで見るよりも何億倍もカッコいい笑顔で、私を見つめながら…倒れそうになった。多分、これも夢なんだろうと。

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