あかねside
ケンゴくんにアクアくんを部屋に連れて行かせ、後はルビーちゃんが様子を見る事となった。リビングの物は好きに使って良いって言ってくれたから、ありがたく使わせてもらう事にした。
あかね)なんでケンゴくんとルビーちゃんは一緒にいたの?
2つのコップに水を入れ、そのうち1つをケンゴくんに渡した。
ケンゴ)アクアに用があったんだよ。話したいことがあってな
あかね)話したいこと?
首を傾げると、ケンゴくんは申し訳なさそうな顔をしながら口を開く。
ケンゴ)あかねには内緒だ。これは俺とアクアだけの話だし
あかね)むぅ……
ケンゴ)そんな反応するなよ…子どもじゃないんだからさ
あかね)まぁ、ケンゴくんはアクアくんに変なことしないだろうし、別に気にしてなんかないもん!
ケンゴ)あかねって、意外と分かりやすいよな……
つい子どもっぽい反応をしてしまい、少しだけ恥ずかしくなるが、話はここから。
あかね)…どうしても、私には教えてくれないの?
ケンゴ)あぁ。ノブにも、ゆきにも、メムにも教えないよ
あかね)そっか……
アクアくんとケンゴくんだけの隠し事。それはどんな内容か気になる。どうしても聞きたいけど、大切な友達であり仲間であるケンゴくんに無理やり聞き出したくない気持ちもあった。
ケンゴ)でも、いつになるか分からないけど、必ず話す。これはアクアとの約束だしな
あかね)アクアくんとの、約束…?
ケンゴ)それも今は言えない
あかね)……
ケンゴ)ごめんな。隠し事ばっかりで
私の不満に気がついたけど、それでも譲れない気持ちの方が強く、中々口を開いてはくれなかった。それにそんな顔をされたら、今は諦めるしかない。
あかね)ううん。ケンゴくんがしているのは隠し事で、嘘じゃない。だから私は責めないよ。それはしっとゆき達も同じ。だから、そんな顔しないで
ケンゴ)あかね…ありがとう
アクアくんとケンゴくんの隠し事の話はここで終わった。だから、次の話を切り出すことにする。
あかね)ケンゴくんは、どっち?
ケンゴ)どっちって……
息を飲むのが分かった。話の内容がガラッと変わったから、警戒されているのかもしれない。考えすぎかな。
あかね)言わなくても分かるでしょ。アクアくんをどうしたいかだよ
ケンゴくんはコップに指を添え、暫く考え込んだ。でも、これだけはハッキリさせたい。
私の気持ちが伝わったのか、ケンゴくんは顔を上げ、覚悟を決めた表情をしていた。
ケンゴ)俺は、まだ外に出て欲しくない……と思う
あかね)曖昧だね
ケンゴ)分からないんだよ。ノブ達の言いたい事も分かる。けど、俺はアクアに危険な目に遭って欲しくないんだ
そう、分かってる。ゆき達の言いたいことも分かってる。それを踏まえた上で、私はこっちにいる。
ケンゴ)…これが決めてって言ったら怒れるかもしれないけど、あかねだけだったからさ
あかね)え?
予想していなかって言葉に、目をぱちくりさせる。本人はバツが悪そうに頬を軽く掻いていた。
ケンゴ)ノブとゆき、メムもアクアを外に出て欲しいって思ってる。お前だけなんて不公平だろ
あかね)確かに、その決め方は良くないね
ケンゴ)分かってる。でも、あかねを1人にしてられないよ
私がストレートに良くないと言っても、ケンゴくんは動じなかった。それくらい、覚悟の決まった事だって事が伝わり、肩の力が抜けた。
あかね)…そっか。ありがとう、ケンゴくん
私がそう言うと、ケンゴくんも肩の力を抜いた。お互いに緊張してたみたい。
ケンゴ)あかねは強いな
あかね)え、そうかな?
ケンゴ)あぁ。流石、アクアの彼女だな
あかね)今は別れてるけどね……
ケンゴ)あっ
ほんと、閉まらないなぁ。
あかね)いつか、今ガチメンバーで出かけられる日が来ると良いね
ケンゴ)そうだな
──その為に、今できる事を見つけよう。
side無し
ルビー)アクア、大丈夫だよ
寝ているアクアの頭をそっと撫でた。ルビーの顔は慈愛に満ちているのと同時に、覚悟を決めた表情をしていた。
ルビー)私が、なんとかするから
固く握られた片手には、真っ黒な封筒が握られていた。差出人は──
『カミキヒカル』
続く
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