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黒瀬さ、とても良い、つよいです、すきです
今日 は 家族 と お出かけ だった ので 仕方ない と 思い ます
_轟操 side
少し前に私が対処したような任務を再度受けた。
同じような任務を受けることには何も思わない。
けど何故幹部と合同任務なのか…?
正直言って私は要らないんじゃないか?というのは勿論だが、
その幹部と関係があるという訳でもない。
『ぁ…、よろしくお願いします』
一応挨拶はしておかないといけない。
黒「うん、よろしくね〜」
微笑をたたえているのにも関わらず、何故かその瞳には明度が足りていない。
黒「先に情報共有しとこうか」
『はい』
本部から表5番道路へと足を進める。
まず、私が知っていること。
・今から殺しに行くのは、私が以前自滅させた男である
・全身血塗れ、頭にはナイフが突き刺さった男である
・能力一つで自滅していく程の強さ
・大量発生をしていた
そして、黒瀬さんが知っていること。
・その男たちは、なんらかの組織が意図的に生産したゾンビのような物である
・中には能力を持つ個体も居る
『なんか…、中々面倒くさそう…、というか』
黒「え?でもいっぱい殺せるんでしょ?」
「あでも…、、まぁいいか」
呟いた黒瀬さんは畏怖の対象として土地神にでもなっていそうな雰囲気を纏っていた。
黒「音和…、ちゃん?くん?」
『どちらでも』
黒「じゃあ音和ちゃん」
「音和ちゃんは何もしてなくてもいいよ」
『…、え?』
この手の任務のときはいつも感嘆の声を漏らしてしまう。
何故かと聞かれれば、それはここが”星月衆”だからである。
そんなこんなしている内に、表5番道路に到着する。
曇天と掠れたうめき声が広がる。
私の前に立った、大きいとは言えない背中がなんともおぞましいオーラを醸し出している。
近付いたら死んでしまうのではないかという畏怖。
敵に回したらどんなにも恐ろしいのかという杞憂。
味方に居ればこれ程に頼もしいのか、という安堵。
黒瀬さんを挟んで、向こう側には、前回同様頭にナイフが突き刺さった男が居た。
しかし前回と違うのは、各々が武器を持っている所。
銃やナイフ、また後方に関しては大砲を持っている者も居る。
挙句の果てにはメスや木の棒を持っている始末。
ちゃんとした武器を持たせて貰っている者は強いのかもしれない。
言い換えれば、ちゃんとした武器を持たせて貰っていない者は弱い可能性が低い。
黒瀬さんは私に何もしなくて良い、と言っていたけれど、それはどうも申し訳がない。
これでも私は”星月衆”の一員なのだ。
せめて、弱い可能性が高い者は私が潰そう。
『黒瀬さん』
『恐らく、銃やナイフなどのしっかり起用する武器を持っている者は強いです』
黒「逆に、木の枝とかは弱いってことだよね?」
『はい』
黒「じゃあ弱いのは音和ちゃんやってくれる?」
『はい』
返事をした刹那に飛び出していく黒瀬さん。
縦横無尽に戦場を駆け巡る様はさながら猫のようだった。
黒瀬さんの背中に圧巻されている場合ではなく、
私もしっかりと戦わなくければいけない。
前回同様に能力を使っていく。
あっという間もなく、そこには血の池が生まれていた。
こんな温泉あったなぁと感心している場合ではないのは分かっているが、
どうしても見惚れてしまう。
いや言い方が悪いか。
どうしても気になってしまう。
本当にあの一瞬で全てを潰して回ったのかと。
疑いを持ってしまうのだ、どうしても。
黒「おーわり」
「帰ろ〜〜!」
明るく無邪気に言い放った彼には先程の威圧感はなかった。
この切り替えの速度も、敵の討伐の速度も、何もかもが速すぎる。
夕暮れの太陽が、黒瀬さんの影をまるでトルコアイスのように伸ばしていく。
その影を踏みつけるようにした背中はどう足掻いたって、怪物のようにしか見えなかった。