「アイス美味しかったわねー」
茶屋を離れ、暑さのおさまった田舎道を歩く雪。
「なんか9話まで目的と関係なくね、、、?」
「メタイこと言わないでください。」
凛に突っ込まれる。
「でも、今回10話目で進展あるわよ。」
雪はそう言って前方を指差す。そこには、風の音が鳴り響く大きな山がそびえていた。
「今作の舞台、風雷山よ!」
「「おお、、、」」
て、こんな風の強い山に入るのか?
そんな本音を飲み込み、雪を見る。
「本音、飲み込めてないわよ」
「、、、」
「あの風は、結構痛いんですよ。なんせ、かまいたちの風ですから。」
「かまいたち?」
首を傾げる俺を見て、丁寧に説明してくれる。
「かまいたちというのは、鎌を持って素早い動きで切り裂いてくるイタチの妖怪です。」
「へぇ、、、」
「あの風にさらされると体が傷ついて、血がたっくさん出るのよね」
大げさなジェスチャーで脅してくるゆき。
「ひぇぇ、、、」
「さ、雑談はおしまい!早く行くわよ」
「はい、雪さま!」
そうして目と鼻の先にある(と思う)目的地へと歩き出すのだった。
「本当に風強いな」
目的地へ到着するが、会話もしづらい風の音が耳をつんざく。
「ここから先は私が結界張って動くから。かまいたち、見つけたら切り刻んで」
サラッと怖いことを言った雪を気にせず、凛は結界の中に入っていく。
「いや、疲れないか?」
歩き出したものの、結構な力の消費をしていそうだ。
「うーん、疲れる疲れないは関係ないけど、効率が悪いわね」
「遅いですもんね」
「お前の術でまた巻き上げればいいじゃねぇか」
ごもっともなことを言った気がするのだが、答えはNOだった。
「だめよ!ここは雲竜様の領域だもの。後ろの竜、こっわーい顔して唸ってるわよ?」
「それは良くないな」
「私たち、招かれざる客ですものね」
ん?なんでだ?後ろに本人(本竜?)がいるからいいんじゃないか?
「?マークいっぱいついてそうですね」
「おん」
「いい機会だから説明しましょう。あなたの後ろの竜は、いわば分身体。本体は山の頂にいるのです」
へー。
そんな会話をしている間も、雪が飛びかかったかまいたちを薙ぎ払っている。
「ん?風が止んだわね」
「なんでだ?」
結界から出てみても特に異常は見られない。
その時、前から人が歩いてきた。
「やあ雪、久しいね」
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