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中学生の夏、小学校の頃から仲がいいメンバーで小学校に集まって遊ぶことにした。中学になってから小学校行ってなかったな、と思ったロボ太たちが発案してくれたらしい。俺的にもみんなと集まって遊べて嬉しいし、すぐに返事を返した記憶がある。
待ち合わせ場所は昔から遊んでいた小さな空き地。俺は予定の時間よりちょっとだけ早く着いてしまった。日焼けすると痛いので日陰でみんなを待つ事にした。そういえばここから小学校が少しだけ見えるんだっけ。余計な汗はかきたくないのでジャンプはしなかったが背伸びをすると、少しだけ鳥居の様なものが見えた。
「……鳥居なんてこの学校にあったっけ」
自分が昔通っていた頃はそんな物なかった気がする。いや、見ていないだけであったのかもしれないが。俺は見覚えのないその鳥居に少しだけ興味が湧いた。後でみんなにも聞いてみよう。やっぱり外は日陰でも暑くて少しだけパーカーの裾をまくっておく。……やっぱやめよう。後々面倒になりそうだし。
「あ!ゾム〜!!元気しとったか?」
「お、トントンー!元気やで」
しばらく日陰でぼーっと道路を眺めていた。すると、トントンが、来た。首にはタオルをかけており額から汗が滲み出ている。見ているだけで汗が出てきそうだ。
「もうそろそろ他のやつも来るらしいで」
「楽しみやなぁ…」
なんだかんだ言って中学になってからみんな揃って遊ぶという機会がなかったのだ。
「あちぃぃぃ!!!ゾムお前よくそんな格好で居れるな!!?」
「コネさんはうるさすぎや!!!」
そうこうしているとコネシマとロボロが来た。あとは大先生だけだ。……遅刻しそうだなぁ。
「シッマ、ロボロ!!久しぶりやんなぁ!!」
「……ロボロ、鬱は?」
「あいつなら遅刻やで。さっき起きたって連絡あった」
やっぱりなぁ…まあ、走って来るやろうけど。
しばらくは大先生以外のみんなで日陰に入り最近はどうだ、部活が大変で…と色々話して待っていることにした。
「そう言えば、夏休み明けすぐにテストあったやろ」
「うわぁぁ!!!せやった……ゾムまた勉強教えて…!!!」
「んえぇ…別にええけど……」
「大先生遅ない?」
「どーせ今頃走ってくるやろ」
止まっていても暑いものは暑い。なんなら日陰の範囲狭くなって来たではないか。やばい。はよ、大先生。こんとトントンがキレんで。
「みんなぁぁぁぁごべぇぇぇん!!!遅れたぁぁぁぁぁ」
やっっっっと来た…。
「遅いわ!!!ええ加減早く起きる癖つけや」
やっとのことで全員集まったため、俺は改めて気になっていた神社について聞いてみることにした。
「なあ、みんなさ小学校に神社があるの知っとる?」
「神社ぁ?あったっけ?」
「いやぁ?俺も知らんで」
聞いて見ても、まずまずの反応しかなかった。みんなも知らないってことは新しく建てられたんかな?だったら帰りに手でも合わせて帰ろうかな。一応カミ様が居るわけだし。
「ほな、行こかー」
「みんな暑い中お前を待ってたんやで。ちょっとは感謝しいや」
「ちゅめたい……」
「きしょ…ええか、ゾム。あんなクズになったらあかんで」
「え、あ、おん…わかった」
半泣きの大先生をトントンが引きずりながら小学校へ入る事にした。相変わらず日は照っているためものすごく暑い。
「あっちぃ……」
「やめろ…コネシマ……暑い言ったら余計暑くなるやろ……」
「むりやぁトントン……てか大先生……生きとるか…」
「………ぁっぃ………」
「シッマァァァァ……あかんわ…大先生死んだー」
「おー、ロボロ………諦めとけ…」
ご覧の通り、暑いとつぶやくだけの奴らになってしまった。大先生に至ってはほとんど声が聞こえない。
「なあ、みんな!俺が冷たーい飲み物持っとるよ」
「ほんまかそれ!!!!!?」
「まじまじ、でも学校ついてからな」
「………くそぉ………」
暑いって知ってたからな。みんな分のお茶を持って来ていたのだ。途端に元気になったコネシマ。空き地から学校の距離はあんまり離れてないけど、暑さでみんなの歩くペースも自然とゆっくりになっていて、より遠く感じる。
「あ、やっとついたで。ほら大先生も自分で歩けよ」
「むりぃぃぃ……なんでそんなにトントンは体力あんねん………!」
「んなわけあるか!普通に俺も暑いわ!!」
そんなこんなで、やっとついた訳だが。事前に先生達には説明してあるため難なく入ることが出来る。流石に暑すぎたので職員室に行って、空き教室の冷房を借りることにした。
「ああ……生き返るぅ……」
「涼しい〜〜」
「ほら、これお茶、大先生〜!!冷たいお茶あるで!!」
「ありがとぉ……ゾムさん…」
完璧にダウンしていた大先生に冷たいお茶を渡す。部屋に入ってからいくらか顔色が良くなっているため、大丈夫だろう。
「この暑さだと遊ぶのもヤバそうやな…」
「うーん、短い時間だけ遊んで、休憩して繰り返す?」
「教室とかで遊ぶのってだめなん?」
「先生に聞いてみたけど、あんまりよろしくないみたいやで」
そこでふと、俺は気になったことを口にする。
「なあ、あの神社行ってみるのは?」
「えぇ…気になるけどなんかヤバそうな雰囲気あるし辞めとこうやぁ」
「大先生の霊感当たるから余計怖い」
だめかぁ…結構良い案やと思ったんやけどな。
「もう暑いし、じゃん負けが近くのコンビニ行ってアイス買うのは?」
「ナイスアイデア!!!それで行こうや」
「よし!そうと決まればじゃんけんや!!」
「ええか?負けた人が行くんやで…」
「「「じゃんけん!!!」」」
「「「ぽい!!!」」」
結果を言おう。コネシマ、トントン、ロボロが負けた。俺と大先生は勝った。
「よっっっっっしゃ!!!!!!」
「くっそ!!!!!負けたぁ!!!!!」
俺と大先生が、食べたいアイスを頼んでおいてから2人で校内を回ることにした。
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[誰かが来てる]
[ああ、あいつらか]
[元気にやってるんだな]
[よかった]
[ここには近づくなよ]
[なんだか嫌な予感がするんだ]
[絶対に来ちゃダメだ]
[早く帰るんだ]
[ダメだ。●●]
[お願いだ…もう、あの悲劇を繰り返したくない]
[●●…]
_________________________zm sid
誰かに呼ばれた気がした。
ふと、後ろを振り返る。誰もいない。大先生は暑いからって部屋に戻った。今は俺1人。
誰に呼ばれたんだろう。
でも、知らない人じゃない。
知っている人だ。
そして、大切な人な気がする。
何か俺達は忘れている?
○○○○先生。
誰だ…?
思い出せない。
頭にもやがかかったみたいで出てこない。
[●●]
まただ。
「○○○○先生…」
名前が出てこない。
たくさんの思い出がある先生なのに。
俺はフラフラと歩いてとある場所に辿り着く。
図書室だ。
なぜかは分からない。が、俺はひとつの本に惹かれて手に取る。
「っ!」
その瞬間、全てを思い出した。
俺達の担任らっだぁ先生。猿山。
俺は本のページをめくっていく。
そこには、呪いを解く方法が書いてあった。
【誰かを引き換えに呪を解くことが出来る】
【生贄にされた者は鬼となり人を襲う】
【解かれた者は誰かを殺すことで鬼から戻る】
俺は走って神社に向かう。
猿山先生。
猿山らだ男先生。
俺達の担任。
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俺は息を整えて鳥居をくぐる。
そして、偶像に向かって膝をつき、祈る。
「お願いします。俺を引き換えに、先生を返してください」
あたりを眩い光が包む。
気づいたら、みんなと一緒に正門にいた。
あたりは夜だった。
まるで、あの時と同じだった。
ひとつ違うのはロボロもトントンもいることだ。
俺たちは走って学校に入る。
[お前ら、帰れって言ったよなぁ!]
そこには封印されたはずのらだ男先生がいた。
みんなの顔は絶望の色に染まっていた。
俺だけ、喜びの色に染まっていた。
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次回、「きっかけ」
コメント
2件
投稿お疲れ様です! イヤァァァァ!!!!!楽しみにしてました!!!!! 言葉の天才ですか!?(?)