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「甘い誘惑 -続き-」
「若井くん、もう…やめてよ……」
首筋を這う舌の感触が消えたと思ったら、顔を覗き込まれていた。
真っ直ぐすぎる瞳に、息が詰まる。
「やめる理由、ある?」
「だって……こんな、急に……おかしいでしょ」
「急じゃないよ。俺、ずっと我慢してた。」
彼の手が頬に添えられ、そっと撫でられる。
逃げようと顔をそらそうとしたけど、逆に彼の手がそれを阻んだ。
「見て。俺の目。」
「見てるよ……でも、そういうのは……」
「好きだよ。」
「――っ」
言葉のキスより、早く、唇が近づいた。
触れそうな距離に来たところで、私はとっさに顔を背けた。
「……やめて。キスとか、そういうの……まだ心の準備が……」
「……そっか。」
若井くんの手が、ふっと離れた。
(あれ……?)
そのまま彼は少し距離を取る。
けれど次の瞬間――
「でも、ごめん。無理かも。」
「えっ……?」
距離を詰めた彼は、再び私の顔を両手で包み込んで、逃がさなかった。
「本当に好きなんだ」って、目がそう語っている。
「……少しだけ。ちょっとだけ、我慢できない。」
「わ、若井くん……ほんとに……っ」
「止めたいけど、止まれない。」
優しいけど、熱のこもったキスが、唇に降りてくる。
嫌だって気持ちはある。でも、彼の気持ちも伝わってきて、何も言えなくなる。
唇が触れる。柔らかくて、熱い。
「……やっぱ、好きすぎる。」
「……もう……」
「拒まれても、諦めないから。」
彼の額が私の額にそっと触れた。
「ちゃんと想ってる。だから……ちょっとずつ、俺に慣れて?」