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#白血病
しらすのお部屋
そして。
永夢――いや、パラドがガシャットを掲げる。
「変身」
ガシャットが起動する。
まばゆい金色の光が弾けた。
光が永夢の体を包み込む。
粒子のようなエフェクトが、空中に広がる。
その中心で――
永夢の体が、静かに立っていた。
光が弾ける。
金色のエネルギーが爆発するように広がる。
次の瞬間。
その場に立っていたのは――
まばゆい黄金の戦士。
ーハイパームテキエグゼイド。
圧倒的な光。
圧倒的な存在感。
空気が震える。
レウコイドの目が細くなる。
「……ほう」
飛彩が息を呑む。
「小児科医……」
大我が小さく笑う。
「本気の切り札の登場か」
貴利矢は驚いた顔のまま呟いた。
「やっぱ……それか……」
黄金の戦士は、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳の奥。
そこには。
確かに――
パラドと。
そして。
かすかに、永夢の意思も宿っていた。
パラドは小さく笑う。
「行くぞ、永夢」
黄金の戦士は、ゆっくりと拳を握る。
その瞬間。
パラドの表情が、わずかに歪んだ。
「……っ」
体の奥から、嫌な感覚が伝わってくる。
骨の軋み。
浅い呼吸。
脈の不自然な速さ。
分かる。
この体は――もう限界に近い。
「……おい、永夢」
小さく呟く。
「お前……もうボロボロじゃねぇか」
ほんの少し動かしただけで、体の奥が軋む。
ムテキのエネルギーで無理やり保たれているだけだ。
長くは持たない。
その時。
心の奥で、声がした。
――パラド……
弱い声。
けれど、はっきりした意思。
パラドの目が細くなる。
「……分かってる」
低く返す。
「だから言ってんだよ」
――このままやってくれ。
一瞬、パラドの動きが止まる。
――倒してくれ。
その言葉に、パラドの視線が揺れた。
――みんなのためだ。
――この世界のためだ。
苦しそうな声。
それでも、迷いはない。
そして。
静かに続いた。
――お前にしか頼めない。
――パラド。
その瞬間。
パラドは、ふっと笑った。
「……はは」
小さく肩を揺らす。
「ほんっと……」
前を見る。
レウコイドが、そこに立っている。
「無茶苦茶なやつだな、お前」
けれど。
その笑みは、どこか楽しそうだった。
パラドは拳を握る。
黄金のエネルギーが弾ける。
「いいぜ」
低く呟く。
「そこまで言うなら――」
足を踏み出す。
空気が震えた。
「このゲーム」
ムテキの金色の光が一気に膨れ上がる。
「俺がクリアしてやるよ」
金色の光が、戦場を切り裂く。
レウコイドの一撃。
ムテキの拳。
衝撃がぶつかり合い、空気が震える。
「はあっ!!」
パラドが踏み込む。
金色の拳がレウコイドの腹部を打ち抜いた。
ドンッ――
鈍い衝撃音。
レウコイドの体が大きく揺れる。
「……っ!」
その口から、かすかに息が漏れた。
胸の装甲に、ひびが走る。
黒い粒子がそこから漏れ出していた。
飛彩が目を細める。
「……効いている」
大我がニヤリと笑う。
「さすが無敵様だな」
だが。
レウコイドは後退しながらも笑った。
「素晴らしい力だ……宝生永夢」
胸のひびを手で押さえる。
そこから黒いエネルギーが漏れ続けていた。
「この私に傷をつけるとは……」
その目が、細くなる。
「だが、その体は――どこまで耐えられる?」
その瞬間。
ドクン。
永夢の体が大きく揺れた。
「……っ」
パラドの視界が揺れる。
呼吸が乱れる。
心臓が暴れる。
体の奥が、悲鳴を上げていた。
「くそ……」
ムテキの装甲の奥で、パラドが歯を食いしばる。
「永夢……お前……!」
その時。
心の奥から声がする。
――まだ……いける……
弱い。
けれど、確かな声。
パラドが息を吐く。
「……バカ」
その間にも。
レウコイドの体から、黒い粒子が静かにこぼれていた。
胸のひびは、確実に広がっている。
だが。
それでもレウコイドは笑った。
「その力……確かに脅威だ」
黒いエネルギーが膨れ上がる。
「だが、お前の体が先に壊れる」
黒い光が渦を巻く。
「これで終わりだ」
巨大なエネルギーが放たれる。
パラドが踏み込む。
「終わるかよ!!」
金色の拳がぶつかる。
衝撃。
光が弾ける。
その爆風の中。
レウコイドの体が、大きく後退した。
胸のひびがさらに広がる。
「ぐっ……!」
初めて。
レウコイドが苦しげに声を漏らした。
だが同時に――
パリン――
乾いた音が響いた。
ムテキの装甲が、ひび割れる。
飛彩の顔色が変わる。
「……まずい」
大我が低く呟く。
「限界か……!」
貴利矢が叫ぶ。
「永夢!!」
金色の光が崩れる。
そして――
変身が、解けた。
光の中から現れたのは。
生身の永夢の姿。
ふらり、と体が揺れる。
呼吸は荒い。
立っているのもやっとだ。
レウコイドが、足を引きずり一歩踏み出す。
荒い呼吸が漏れる。
それでも、口元には笑みが浮かんでいた。
「……まだ立っているか」
「だが――ここで終わりだ」
ゆっくりと手を伸ばす。
「お前の命を奪い……世界を滅ぼす」
永夢の体が、わずかに揺れる。
呼吸は浅く、足元も覚束ない。
それでも、顔を上げる。
「……絶対に」
一歩、踏み出す。
「させない」
その目は、まだ生きていた。
背後に――
もう一つの影が重なる。
赤と黒の輪郭。
パラドの残像。
永夢が小さく呟く。
「……行くぞ」
パラドが笑う。
「おう」
二人の拳が、同時に握られる。
「「はあああああっ!!」」
走る。
永夢とパラド。
二つの影が重なる。
そして――
一つの拳になる。
渾身の一撃。
拳がレウコイドの胸を貫いた。
衝撃が、世界を揺らす。
レウコイドの目が見開かれる。
「……ば……かな……」
体が崩れる。
光が溢れる。
消滅が始まる。
だが――
レウコイドは、最後に笑った。
「……終わったと思うな……」
砕けていく体。
その中で、声だけが響く。
かすれた声。
「お前も……道連れだ……」
次の瞬間。
レウコイドの体は完全に砕け散った。
静寂。
永夢の拳が、ゆっくり下がる。
そして。
力が抜けた。
体が崩れ落ちる。
「永夢!!」
最初に動いたのは、飛彩だった。
戦闘で裂けた白衣。
腕には血が滲んでいる。
呼吸も荒い。
本来なら、立っているだけでも辛いはずだった。
それでも。
迷いなく地面を蹴る。
永夢のもとへ走った。
その背を追うように。
「永夢っ!!」
貴利矢も駆け出す。
足元が大きくよろめいた。
戦闘のダメージで、膝がまともに力を支えられない。
それでも止まらない。
歯を食いしばりながら走る。
「……くそ……!」
そして。
「チッ……」
最後に動いたのは大我だった。
肩を押さえながら立ち上がる。
さっきの戦闘で受けた衝撃で、腕はほとんど上がらない。
それでも舌打ちして歩き出す。
「無茶しやがって……」
三人とも、満身創痍だった。
誰一人、まともに戦える状態ではない。
だからこそ。
最後は――
永夢が背負う形になった。
そして今。
その永夢が、倒れた。
飛彩がすべり込むようにして体を受け止める。
「永夢!」
体重が完全に預けられる。
呼吸は荒い。
脈も弱い。
体温は異様に低かった。
飛彩の表情が一瞬で変わる。
「まずい……」
貴利矢がすぐ隣に膝をつく。
「永夢……おい、永夢!」
肩を支える。
手が震えていた。
反応はない。
瞼は閉じたまま。
呼吸は浅く、今にも途切れそうだった。
大我もすぐ横にしゃがみ込む。
「どうだ」
飛彩はすぐに首元に指を当てた。
「脈が不安定だ」
大我の眉が深く寄る。
貴利矢が必死に声をかける。
「永夢……起きろよ……」
それでも。
返事はない。
ほんの一瞬。
三人の間に、不安が走る。
だが飛彩はすぐに言った。
「……まだ脈はある」
短く、強く。
「生きている」
その言葉に、貴利矢が小さく息を吐く。
飛彩が即座に言う。
「運ぶぞ」
大我が短く頷く。
貴利矢が永夢の体を抱え上げようとする。
「……っ」
思わず顔が歪んだ。
腕に力が入りきらない。
さっきの戦闘で受けた衝撃が、まだ体の奥に残っている。
それでも。
歯を食いしばった。
「えむ……ちょっと我慢な」
永夢の腕を肩に回す。
飛彩もすぐ反対側に回った。
「頭を支える」
静かに言いながら、永夢の首を支える。
呼吸は相変わらず浅い。
体温も低いままだ。
飛彩の表情が険しくなる。
大我が前に立った。
颯爽と道を開ける。
ふらつきながらも、先に歩き出す。
ドアを押し開ける。
「急げ」
三人はゆっくりと歩き出した。
貴利矢が永夢を支える。
その体は、信じられないほど軽かった。
「……えむ」
小さく呟く。
さっきまで戦っていたはずなのに。
今はまるで、力が抜けた人形のようだった。
廊下に足音が響く。
飛彩が永夢の顔を確認する。
「呼吸数低下」
すぐに言う。
「急げ」
貴利矢が頷く。
「分かってる」
声は落ち着いている。
でも、支えている腕は震えていた。
大我が振り返る。
「持つか」
貴利矢が苦笑する。
「当たり前だ」
「持たせるよ、自分に任せとけ」
永夢の顔を見る。
その時。
ふっと――
永夢の呼吸が止まった。
「……っ」
一瞬で、貴利矢の表情が変わる。
「おい、エム……!」
足を止めかける。
肩を支える手に、力が入る。
「しっかりしろ……!」
飛彩がすぐに脈を確認する。
緊張が走る。
だが次の瞬間。
ピクッ、と。
永夢の胸が、わずかに上下した。
「……戻ったか」
飛彩が低く告げる。
貴利矢は一瞬だけ目を見開き――
大きく息を吐いた。
「……よかった……」
小さく、漏れる本音。
そして、少しだけ笑う。
「……ほらな」
「エムはしぶといんだよ」
三人はそのまま、足を止めずに進んだ。
永夢を支えながら。
ただ、必死に。
コメント
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うわあああ第17話読み終わったよおおお😭💕💕 永夢とパラドが心の中で通じ合うシーン、マジで胸熱すぎてやばかった…「お前にしか頼めない」からのパラドの「いいぜ」で涙腺崩壊したわ😭✨ 最後の生身のまま二人で繰り出した一撃、最高にかっこよかった…!そして飛彩・貴利矢・大我の三年生組が満身創痍で永夢を支える姿にもうグッときた…。 でも最後の呼吸止まる展開はマジで心臓止まるかと思ったよ…無事でいてくれ永夢…😢 次話も絶対読みます!!