テラーノベル
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#ダンジョン
「兎に角っ! お前達は逆らう意思は無いんだよな?」
「レンジャーッ!」
「んで、同じ様に仲間達にも伝えられるんだよな?」
「レンジャ~?」
「どっちなんだよ?」
「レンジャア……」
「んもうっ! じゃあ中にいる小人について教えてくれよ! 小人って一体なんなんだ? 説明してっ!」
「せっ! ………………」
「説明だよ、説明っ!」
「………………レ、ン、ジャ、ア、ァ、ぐすっ」
「あーっもうっ! なんなんだよレンジャーってぇっ!」
徐々に増すストレスにイライラを隠そうともしなくなるレイブにペトラの声が飛ぶ。
『レイブお兄ちゃん、いつの間にか出っ歯達が消えてるわよ!』
「レンジャ? いや、出っ歯達がっ?」
なるほど。
つい先程まで壁に寄り添ってガタブルって居た筈の出っ歯、ラタトスクたちの姿が忽然と消え失せているではないか。
スリーマンセルの中で最も感覚器官が鋭敏なのは竜種であるギレスラである。
レイブが彼に送った視線は無言のままでもその真意が伝わったと見え、それを受けたニーズヘッグは左右に首を振って自身の相方への答えとした。
「ギレスラも気が付かないうちに逃げ果せたのか…… やるな出っ歯、いやラタトスク達、さてと」
いなくなってしまったものは仕方が無い、そんな風情を漂わせながら、レイブはうつ伏せで固まったままのホブゴブリンの後頭部に顔を寄せ、やや凄みを利かせた声音で質問を再開する。
「あいつらはどこへ逃げたんだと思う? 言えよ」
「レンジャー?」
「ちっ! 又それかよ…… じゃあリーダーっぽいお前、名前はなんて言うんだ?」
「れ、レンジャー……」
「あっ? お前の名前がレンジャアなのか? そうなのか?」
「レンジャーッ!」
「はあぁー?」
伏せたまま首を左右に振るホブゴブリンのリーダー、レイブは表情に訳が判らないを満面にさせながら頑張り続ける。
しかし…… 結果はこれまで通り、全く要領を得ないものでしかなかった……
ホブゴブリン達の返事は変わる事がなく、前述したように名前を聞いても只レンジャー、お家を聞いても只レンジャー、レンジャーレンジャーレンジャーレンジャー、レンジャーレンジャーレンジャーレンジャー、喚いてばかりいる子猫ちゃ…… ホブゴブリン、だったのだ。
我慢強さと辛抱の無さ、相反する両面に定評があるレイブには限界が来た。
乱暴な素振りでリーダーの頭髪を掴んで上を向かせると、黒衣の裾を捲り上げて片膝立ちとなり、腰から例のナイフ、ゼムガレを引き抜いて喉笛にピタリとあてがい、おらついたセリフを口にする。
「もうええわいっ! おどれらぁ端から素直に答える気ぃが無いゆーんは、よーぉ判ったわいっ! 一思いにハスったるからぁきーっちりぃ往生せぇよっ!」
「れれれ、レンジャァアー」
「レンジャッ!」
嘘とか脅しとは思えないレイブの殺害宣言に、リーダーっぽいホブゴブリンが脅えた声を発し、直ぐ後に続いて脇に並んでうつ伏せていた女型のホブゴブリンが短く叫んだ。
今にもスパッと行きそうだったレイブが動きを止め、女型を嘗め回すように眺めながら言う。
「なんだぁ?」
首を捻っているレイブにギレスラが言う。
『あれじゃね、こいつのスケなんじゃねその女』
「あー、そーゆー」
ペトラが満面の笑顔で続く。
『良い事思いついたよお兄ちゃん達! その女を痛めつければ、ううん、足先から寸刻みにナマスにしてみようよ! そうすれば素直に話すかもしれないよ♪』
ビクッ!
リーダーっぽいホブゴブリンの体が判りやすく硬直し、直後にガタガタと大きく震え出す。
同様にワナワナと震えだしたホブゴブリンの群れに追撃の会話が届く。
『だな』
「なるほど、そりゃ名案だ! 流石はペトラ、賢いな♪」
『えっへん♪』
「『あははは』」
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