怜side
早苗、君は、どうして、嘘を、つくんだい?今日こそ聞こう。この疑問。いつまで経っても、笑わない君に。
部活も終わりに近づいた時。俺は聞いた。大丈夫?と。いつもどうりだと返されたが、いつもより顔が曇ってる早苗は、大丈夫なはずなかった。
「お前、嘘つくの上手だな。」
「どうして?嘘って?」
顔に書いてる…バレたって…。
「どんなに嘘が…上手でも、俺は、見抜く。」
「嘘…なんで…」
「だって…いや…後で話そう。」
ショッピングモールへ。早苗の為に、キーホルダーを買う。傷が、少しでも、無くなるように。
その後、フードコートの端へ。ここなら誰にも聞かれない。
「ねえ、聞かせて。君が、嘘を、つく理由を。」
彼女が話した理由は、衝撃的なものだった。とても大切な人をなくした傷は、簡単には無くならない。そして、彼女は、今でも悲しみ、苦しんでいて、
「辛かったんだね。」
「分からないよ。あなたには。」
「君は、俺を知らないだけだ。」
「どういうこと?」
これは…話さないといけないやつだ…。誰かに話すのは、初めてで、本当は言いたくない。でも、口が勝手に動いた。
「俺は…俺は…もう…自分が…分からないんだ。」
最後まで話し終え…
この気持ちは、誰にも、理解できない。自分でも、よく分からないのだから。
「誰も…誰も理解できないなら!私が…私が理解する!傷の深さは違っても、傷の種類は、同じ。だから!だから…私が!」
「ありがとう。でも…もう…いいんだ。」
「ダメ…決めたから…私が、君のことを知るって。」
「強引だな。わかったよ。俺は、君の氷を、溶かしてあげるよ。」
早苗の心は、動かない。今でも、彼を、想っているから。