あの後…
火の始末をきっちり行い2人で震えながらキャンピングカーに戻った
先に元貴に風呂に入ってもらっている間に俺は
後部のだだっ広いキャンピングカー内の窓際の座席に腰かけビール片手に窓からぼんやり星空を眺める
最初お泊まりという事に反対をしていた元貴だったが俺の運転でしかも夜道でこのクソデカ車での帰路の事を考え仕方なく納得してくれた(ひどくね?)
まあそんな事は置いておいて
とはいえ俺はさっきの星空の下のコンサートを思い出しうっとりしつつビールを口にした
一緒に演奏をした身ではあったものの俺は1人の観客でもあった
俺だけの特別な空間
俺の為の歌
俺の為だけの歌声
はぁ、たまんねえ…
俺はそのまま後ろにゆっくり床にひっくり返り大の字になり余韻にめいっぱい浸る
こんな状況だから短時間でビールを飲むペースがいつも以上に早い
あー、頭がふわふわしていてチョー気持ちいい
と、そこで風呂から出てきた元貴がぐいっと真上から覗き込んできた
「若井お先」
あー、俺のマイハニー(酔ってる)
石鹸のいい匂いとまだ濡れた髪がすっげーエロい..
前髪は下りているからかいつも以上に幼さを感じる
そして元貴必須の黒縁メガネがオフモードをかもしている
当然ながら着替えは用意してないって言ってたから俺が愛用しているスエットを渡しておいた
ちょっとダボついてるとことか特に萌える
いやあこれも俺の特権だな
俺は元貴の真下で うへへ…と笑うと
元貴はうわ…と物凄く怪訝な表情を作った
「俺もビール飲も」
と言って元貴は備え付けの冷蔵庫へと向かう
ぺたぺたと裸足の足音が可愛いくもなんとも心地いい
はぁー
…
俺はひっくり返ったままの状態で酔った勢いでぽつ、と口にする
「なー元貴…」
「なんだよ」
「…」
「何?」
「んー」
俺は酔っていたにも関わらずちょっとだけ言葉を選んでた
でも酔いのせいじゃないかもしれないけど全然いい言葉が見つからない
「りょうちゃんとさ…なんかあった?」
ちょっと気になってたから酔いを借りて聞いたみる
もしかして今日のぼんやりしてた原因が俺じゃなくてりょうちゃんの事かもって途中から薄々思っていた
気のせいだったらそれでいい
このモヤモヤをスッキリしたくて聞いてみた
しばらくの沈黙
俺はちらっと元貴の方を見た
元貴は…俺に目線を合わせビールを1口飲むと口を開いた
「りょうちゃんからなんか聞いた?」
…?
元貴の問いに俺は不審に思いつつ
「え、なんでだよ」
「ふーん…」
何かを含んた感じの元貴の返答
「…したよ」
俺は突然の告白に驚きが隠せず起き上がると元貴を見る
元貴は俺から距離をとり椅子に座るとぐいっとビールを飲む
「りょうちゃんとした」
俺は聞いといておきながらとにかく心臓のバクバクが止まらなかった
した…
その言葉だけだったらもしかしたらキスだけだったかもと思うかもしれない
いや、そうだったらいいなと思うのか
だが、どうやらそうではないみたいだ
俺は明らかに動揺していた
「元貴は…りょうちゃんの事好きなんだ」
俺はつい口にしていた
聞くのが怖かったことを
「…すきだよ」
元貴はそう言ったけど 俺はつい反論した
「元貴の言う好きってラブなわけ?」
「わかんない」
わかんねーのにセックスしたのかよ
と言えなかった
それは元貴をいじめる気がしたから
もう追求するのはやめよう
こんなの良くない
俺っぽくない
「元貴ごめん」
「…」
「もう聞かねー」
俺はもう一度ひっくり返る
でもその気持ちとは裏腹に俺の中で嫌な俺が出ようとしている
どくどくと脈打つ中俺はいつもの様にヘラっと笑うと
「なー元貴ぃー」
「なんだよ」
「起こしてくれー」
いつものおどけた感じで元貴を見つつ両手を伸ばす
元貴は飲み残しているビールの缶を置くと俺に近づき手を掴もうと伸ばした
俺は…その手を取って思い切り引っ張るとその勢いで元貴を押し倒した
「いった…」
元貴は軽く背中を打ち付け声を出す
でも俺はそんな事も気に止めず馬乗りの状態になると床に手を置き元貴を囲う
そして俺たちはしばらく見つめ合うとキスをした
俺は前に暴走した時に出来なかったことをしている
そしてその先の事を今は酔いと少しのイライラに任せてしようとしようとしている
ああ、わかってる
俺は…ズルい
「元貴…」
「…」
「俺としよ?」
以前の俺には考えられないやらしい言葉が今は素直に出る
俺は内心驚きつつもびっくりするほど冷静だった
だけど元貴はのしかかっている俺の体を強く両手で突っぱねた
…え
まさか突っぱねられると思わず俺は驚いたものの必死にポーカーフェイスを貫く
元貴は強い目で俺を見つめる
「嫌だって言ったら?」
俺以上に元貴は冷静であり言葉に強さがあった
そして俺を真っ直ぐに見つめて離さない
その目と言葉は俺をズルいと責め立てている気がした
…さすが元貴だな
一筋縄じゃいかない
俺は元貴の両手首を強く床に押さえつけ真上から見る
「…別にいいよ」
「…」
「無理矢理するから」
俺は…
俺は
…
俺は…元貴を犯してしまった
20241208
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