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〜それぞれの決戦〜
第77話
僕は、ニルスと一緒に、仲間を集めて異界がある場所へと赴いた。今回は、僕が中心らしい。
敵意のある魔導師は……沢山いる。
「……敵意のある者だけ捕らえろ。一歩間違ったら、自分の命を失うのでは済まないぞ。世界が消える」
僕がそう声を張ったら周りがざわついた。
僕が声を張ることに対しても、世界が消えるという事実に対しても。
「これは、あの裏の世界の灯火……否、サントラップのセリーナからの伝言だ。本人は、他の場所へ行っている」
隣で、ニルスも僕と同等くらいの声量で百人近くいる人たちに声を張った。全く同じような反応。
「ほう……まだ、フィクサーは生きていたのか……」
そんな男の声が聞こえた。とても殺意満々だ。
薔薇の香水をつけている。
ニルスが青緑の瞳の視線をそいつに刺した。
……フィクサーか……裏で世間を調整する者……
「……リナは身体で死んだって戻ってくるさ。必ず」
ニルスは胸を張ってはっきり言い切った。
僕も、そう思う。あの子の事だから、必ずお別れの言葉無しに逝く事は無いと思う。
「「必ず、お前をここで捕らえる!」」
僕たちは、ハモった。声も、剣の動きも、視線の先も。
軌道を間違えないように、二人で一緒にその薔薇を斬った。
❂
私は、電光石火の言葉通り、雷が落ちるようなスピードで、ノアの近くの敵を蹴散らした。全部、縛ってから転がさせる。
「一つの世界は、片付いたわね……ルミ!」
私の周りの世界は、元に戻った。
ルミ……否、光を意味する。
違う世界線の魔法での呪文。ノアにはまだ教えた事ない。殆ど使う事ない魔法だし……
異界と異界を繋ぐ魔法なんてね……
「リナ! これを、沢山……」
「えぇ。でも、何とかするのが私の役目。ついてきてくれる?」
「勿論。他人事では無いし」
「ありがとう」
#魔法
こはる
121
植まどか
136
こはる
1,676
601
私は、ノアに同じ力を分けた。分けただけだから、副作用は一気に私の身体に来る。
これが、解呪と同じ要領なのだから……
十個くらいの世界を消したら、この世界にある異界は無くなった。
ここの世界の人たちの力もあって、思ったより直ぐだった。
私と同じくらい強くなったノアが剣をブンブンと振るっていて、少し錯覚を覚える。いつもの倍は強いんだもん。
「ここは、終わりか?」
「えぇ。次の世界よ」
「は、はぁ?」
「次に酷い世界。私はあの時、これを託されたのか分からなかった。だから、これから先はついてこないでほしい。マリーさんの事とニルスさんたちの事、守って」
「……分かった。無傷を約束してほしい」
「えぇ。一言一句そっくりそのままお返しするね。無傷を約束してほしい」
ノアは、微笑んでから、私の作ったゲートをくぐった。
❂
俺は、ニルスとライナーさんに強者を託して、異世界から来る魔導師を狩っている。
一緒に行動をしているのは、ローベルト。第五のいつものタッグだ。
「ラルフ。もっと奥に進む。こっちの魔獣より、あっちの魔獣の方が弱い」
「あぁ。分かった」
こっちに突っ込んでくる敵意のある魔導師や、魔獣は、思ったより強くなはないが、油断禁物だ。一応、ここまで来ると何が起きてもおかしくないのだから。
「ルミ!」
そう、ノアの声がどこからか聞こえた。
すると、その瞬間大地は淡い光に包まれて、いつもの森に戻った。
討伐慣れしている魔獣が出る森に戻るのは凄く戦いやすくなる。
……いや、異界が戻ったかもしれない。
「ラルフさん! ローベルトさん!」
そう言ってノアが走ってきた。
まだ、変声期が来てないから、声は子供のように高い。だからとても聞き取りやすい。
……ん? 息切れしてない?
あの異界の森は、とても複雑だったのに……何で?
「異界を戻すの手伝ってくれませんか?」
は、はぁ〜?
それからちゃんと説明を受けた。
……異世界の魔力の操り方も。
ノアは昔からこの魔力の使い方は知っていたようだけど、この術は初めて知ったらしい。
まぁ、使えるようになったから……任された事はパパっと済ませないとな。リナにも、今戦ってくれている二人にも合わせる顔が無くなる。
「二人とも、ここはカッコよく終わらせないといけないですね。このくらい、早く終わらせてやりましょうか」
「あぁ。そうだな」
「皆、思ってる事は同じか。西南西方向に異界があるから、取り敢えずそこを目指そう」
「あぁ」「はい」
俺たちは、ノアにシンクロする魔法をかけてもらって光の速さで異界へ向かった。
コメント
1件
もう第78話か……複数の視点が同時進行する決戦の描写、すごく熱かった。特にライナーとニルスが「必ず」とハモるところ、リナがノアに力を分けて一人で次へ進む覚悟、ラルフたちにシンクロ魔法で加速するノア——それぞれの立ち位置と信頼関係がちゃんと見えてくる構成、好きだな。代償を背負いながらも前へ進むリナの姿に胸が締め付けられたよ。次が気になるけど、ゆっくり待ってるね。こはるさん、今日もお疲れさま。