テラーノベル
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第78話
私は伏せた。何が起きたのか分からない。
怖いよ……誰か……
恐る恐る顔を上げると、エリカさんの脇腹に弓矢が刺さっていた。護衛としていた人は、窓を蹴り破ってから剣を振るっている。
「大丈夫ですか!?」
「掠り傷の内です。早く逃げてくださいっ……私も、後でにげますから」
エリカさんは、顔色が悪く、呼吸が荒い。取り敢えず、矢の本体は抜けたけど、矢尻が残ってて痛そう。
そんなの……無理!
私は、エリカさんを支えて立ち上がらせた。
「それじゃあ、貴女が……」
「大丈夫です」
自分でも分からないけど、なぜだか食い気味だった。
……見捨てて、逃げるなんて、ケスラー家の名を汚して、人間としても酷い人になっちゃうもん……
「逃げましょう。私だって守られてばかりではいられません」
「……えぇ。そうね」
私は、護身用の剣を手に取って、ローブを羽織った。
「私は少なからず狙われています。それは、エリカさんも、同じでしょう? この怪異からも逃げおおせないといけません」
「怪異……?」
「さっき、ライナーから連絡が来たんです。『異界が現れた』と」
「じゃあ、その中の誰か、ゴホッ、ゴホ……」
私の横でエリカさんが吐血をしている。治癒魔法を使えるのは……騎士もお兄様も行ってしまったし……あ、お父様がいる!
でも、表に出てしまったかしら……
「……横になってください」
「えっ?」
「治します。武道も魔法も苦手ですが……でも、出来ない訳では無いです」
「えぇ。足手まといになって、手遅れになる前に……お願い」
エリカさんが横になったから、私は矢を取り出す作業から初めた。
❂
取り敢えず数刻もすれば、十四つの世界の異界は消せた。私の本気、なめないでよね。
それに、まだまだ動ける。いつもだったら、息切れして動かなくなってるけど。
でも、十五しか異界が現れてない。
……誰にも遭遇せずに、十三の世界の異界は消したけど……最も酷い世界は私の世界らしい。否、一番、魔導師が集まってるって事。
皆、無事でいて……
瞼を閉じたら、脳裏に血溜まりと皆が傷ついた姿が浮かぶ。
私は、そんなあり得ないはずの妄想を振り払ってゲートを潜った。
私はメルカディアにある、一つの魔道具屋――サントラップに移動した。
「ただ今、戻りました!」
「リナ! 大丈夫なの?」
そう言ってマリーさんが、走ってきた。
あれ? マリーさんも呪いがかかってるんじゃ……
「私は、エリカに治してもらったから大丈夫よ。カールも、今の所は大丈夫そう」
「エリカが……はい。分かりました。私は、皆が向かった所へ向かいます。お二人は、ここにいてください」
「一体、何が起こってるの?」
マリーさんの魔力が震えている。否、怖いと叫んでいる。
「それぞれの世界で異界が現れました。他の世界は、対処しましたが……ここに一番、強者が集まっています」
「……詳しい事は後で聞かせてもらうわ。約束して」
『生きてここへ帰ってきて、何があったのか説明して』と……
「はい! 行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
私は、マリーさんに手を振ってサントラップの扉を開けた。
必ず、約束を守って……生きて帰ってやるんだから。
❂
あれから、一つの世界を除いて異界を消す事ができた。
リナから分けてもらった力は、使いこなしているけど……それでも敵わない。
それに、脇腹の傷口が開いてきた。簡易的に、塞いだんだけどな……
まぁ、返り血と混じって、服はよく分からない事になってるけど。
俺たちは、その異界に入った。でも、入ったら魔法が次々と飛んでくる。バリアを突破するのはできてないけど。
俺たちは、その魔導師たちを倒しているけど、キリがないまるで、魔導師が無限に湧いてくるような……
あ! ……一番面倒な事に気づいた。
「ノアも分かったか?」
ラルフさんが、三人同時に斬りながら俺に話しかけてきた。
「はい……このままでは進めないですね」
「……ここは俺たちに任せろ。ノアは、リナに力を借りてるんだろ? それで、大元となるやつを捻り潰してこい」
大元となるやつを捻り潰してこい……
俺はラルフさんの言葉を心の中でリピートさせた。
「はい。ありがとうございます!」
「気をつけろ。かなり手強いはずだ」
ローベルトさんが、技を決めてから俺の事を見た。
期待は裏切らない……
「はい! 二人とも、ご武運を」
俺はそう言って、異界の森の中を颯爽と走った。
#異世界転生
こはる
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#ヤンデレ
コメント
1件
わああ第79話もめっちゃアツかった…!😭💕 エリカさんが矢傷負っても「掠り傷」って言い張るの、もう強すぎて泣く…!でも主人公が「見捨てて逃げるなんてケスラー家の名が汚れる」って食い気味で言い返すシーン、最高にエモくて震えたよ…🔥 自分の怪我も顧みずに仲間を治そうとする姿も、もう尊すぎる…! ラルフさんとローベルトさんの「任せろ」「気をつけろ」も渋すぎて好き…!次の展開が気になって仕方ない…!! こはるさん、今日も胸熱な物語をありがとうございます🌸✨