テラーノベル
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庭に出ると、4人の執事が居た。
「あぁ…もう、びしょ濡れっす」
「お前な…」
「こっちも濡れるとこだった。おい、どうしてくれんだアモン」
「ま、まぁまぁ…」
ふと、隣を見ると水が上を向いて、噴射していた。
『あら〜…ぶっ壊しちゃったのね〜』
どれだけ力強いの。 とか思いながら、立ち上がった。
「あ、主様!?」
『大丈夫よムーちゃん。貴方はここにいてて』
そう言って、水が出ているところに行った。
『あらあら…結構壊れちゃってるわね』
水がかからないギリギリのところで、立つ。
「誰だお前」
「ボスキさん!?この人は主様ですよ!」
前の性格に似てる子が居た。
『ふふ、待っててねアタシが直してあげる♡』
長髪の子のとこに歩みを進めた。
『はーい。直ったわよこれでいいかしら』
結構濡れてしまった。
水を吸った服が気持ち悪い。
「ありがとうございます主様 」
礼儀正しそうな執事が礼を言う。
『ふふ、別にいいわよ』
たまたま。そう、たまたま親がこういうのやってたから見よう見真似でやっただけ。
『それより、服脱いでいい?上だけだから』
そう言うと、大半の執事が顔を赤くしていた。
『…見苦しいのは分かるけど、仕方ないから』
「あ、あぁぁぁ…」
「主様っ!?え、ちょ… 」
「ボスキさん!チラ見厳禁っすよ!? 」
「おめぇも見てるじゃねぇか」
びしょびしょの服を地面に落とした。
『あぁ…きもちい…』
濡れた髪を絞っていると、まだ顔を赤くした執事達がこちらを見ていた。
「え、え…主様って…男、なんですか?」
「ハウレス、失礼じゃない?」
「あ、あぁ…失礼しました主様!」
そのまま頭を下げたままでも悪いので、言っておくことにした。
『えぇ、男よ。髪長いし女の子に見えちゃうわよね。ごめんね』
そう言うと、顔を上げてくれた。
「…俺は別の質問なんだが…」
『えぇ、いいわよ。なんでも聞いて』
「…失礼だと思うが…さっきの声…」
そこだけ言って、あとは何も言わなかった。
「ボスキさん!ソレは言っちゃダメっす!」
言いたいことはちょこっと分かるが、模索しないようにした。
どうやら、あの4人の執事の名前は
ハウレス・クリフォード
フェネス・オズワルド
ボスキ・アリーナス
アモン・リード
と言うらしい。
すっごいイケメンねぇ…とかおもいながら、ムーちゃんのところに行った。
「主様!だいじょう…ぶ…」
とうとうムーちゃんまで照れる事態になってしまった。
『ふふ、ムーちゃんったらピュアねぇ』
後で、フルーレが繕ってくれた服着ないとね。
『ほら、おいで?抱っこしましょ?』
両手を広げると
「ぼ、僕はまだ庭にいます!」
そう言って、どこかに行ってしまった。
ちょっと悲しい。
『ん、よし…』
あの後、屋敷に戻って着替えた。
ムーちゃんは、まだ帰ってきていない。
『…あの子大丈夫かしら?まさか誘拐されてないわよね!?』
心配して、部屋をぐるぐる回っていると、ガチャと扉が開く音がして、小さなもふもふが入ってきた。
「主様!すみません…遅くなってしまって」
『いいのよ。ムーちゃんが無事ならアタシも嬉しい』
そう言うと、表情がパァァっと輝いて、えへへ…と微笑む。
『おいで?ほらぎゅーしましょ?』
てちてちと短い足で歩いてくるその姿が可愛くて心が暴走している。
もふもふの物体を抱きしめると、ストレスが和らぐ感覚がした。
今更だが、ここなら自分が今まで溜めてきたストレスを少しづつ無くしていけるかも。と思ってしまった。
まだ…ここに来て数日しか経ってないのに。
そう思っていると、コンコンとノックが聞こえた。
『はーい。いいわよ入りなさい』
ガチャと開閉音が聞こえ、現れたのは三人の執事。
「うわぁ…!ルカス様みたい!」
真ん中にいる可愛い感じの執事がそう言った。
確かに白衣を着ているという点では、ルカスと共通している。
「突然尋ねてしまって申し訳ございません…今、お時間よろしいでしょうか? 」
丁寧な物腰でそう語りかける。
何故か、囁かれているようなゾクゾク感もあったが、今言うわけではないと思い黙っていることにした。
『ふふ、いいわよ。そちらの二人は…』
「ボクはラムリ・ベネットって言います!主様!」
まるで犬のように従順。
こういう子結構タイプ。
…決して、ショタコンというわけではない。
……いや、フルーレも内心可愛いと思っているしショタ コンかもしれない。
「ラムリ!主様に近づきすぎですよ!」
「うるっさいんだよナックは!」
ふと、気がつくとラムリが隣に座っていた。
『あらあら…可愛いじゃない。ほら、こっちにおいで。ぎゅーしましょ?』
両手を広げると、すぐ飛びついてくる。
幻覚だと思うが、しっぽが見える。
ブンブン元気に振っている。
「すみません…主様」
『いいえ、いいのよルカス昔っから後輩の面倒みるのは慣れてるから』
こういう時にだけ、自分の世話焼きな性格に感謝したい。
「あぁ、私の紹介が遅れましたね。私はナック・シュタインと申します」
キリッとしていて、なんでもこなせそうな執事だ。
『ふふ、ナックね。よろしく』
そう言い、手を差し出すと、その手にチュッと口付けをした。
「おやおや?ナック君?随分積極的だね」
「おや?ルカスさんはやってそうでしたが…」
なにか含みのある微笑みを二人同時に交わすと同時に、なにか頬に口付けをされた感覚がした。
「ナックだけずるい!ボクもするから!」
そしてまた、ちゅっちゅっ、と口付けを繰り返す。
『ん、あ、もぅ…可愛いわんちゃんね。よしよし』
そのお返しに、頭を撫でると、へへ…と可愛く微笑むので、一瞬本当に飼おうかと思ってしまった。
それくらい…愛嬌がある。
「ふふ…ねぇ、主様今日の夜私の部屋に来て貰えませんか?少しご相談が…」
甘く、とろけるような声でそう言われた。
夜。
ルカスの部屋に着き、コンコンとノックをする。
「主様…ふふ、ちゃんと来てくれたんですね」
優しく微笑む。
『で、相談って何かしら?』
その言葉を待ってました、と言うように急にアタシの手を引いてルカスに密着するような姿勢をとらされた。
『ちょっ、なにっ…これ』
「昼間はラムリ君を沢山愛でてくださりありがとうございます…そこで、私もお返し、ということで…」
そう言われ、ルカスの膝の上に乗らされる。
驚きで、思考が停止した。
次に襲ってきたのは、頭を優しく撫でられる感覚。
そして、甘く囁く肯定の言葉。
いつもお疲れ様です。
私達のわがままにいつも応えてくれてありがとうございます。
主様も疲れたらいつでも私のところに来てくださいね。私は主様の専属医師ですから。
ふふ、こうして私が撫でていると昼間の主様とは違う主様が見られますね。
そんな言葉が続く。
『ルカス…んん…くすぐったい…』
「ふふ、もしかして…主様は撫でるより撫でられる方がお好きかな?」
こんな感覚前は知らなかった。
精神的に追い詰められ、癒しなんて、なかったから。
でも…体は、心は…求めていたんだと思う。
誰かに撫でられて、褒められて…そして……。
………そこからの考えは分からない。
どうやら意識を失っていたようだ。
いつの間にか、アタシのベッドに運ばれている。
『…ふふ、アタシ褒められる方が好きなんだわ…』
年上なんて、パワハラと、セクハラするだけのモノだと勝手に思ってた。
だけど、今は違う。
暴言を言われたり…尾行されたり…満員電車で痴漢に触られたり…ここではそんな事がない。
むしろ、年上を求めている。
たくさん、たくさん褒められて…骨の髄まで、脳の中まで暴かれたい。
なんて…妄想がすぎるかしら。
そんなことを思っているうちに、また眠気が襲ってきた。
『ん、るかす…また、ほめて…』
本人は、居ないのにそんな独り言を言って瞳を閉じた。
「ふふ、よく眠れているね」
スヤスヤと寝ている主様の前髪を丁寧に分ける。
出会った時、少しやつれていると思った。
なにかストレスがあるんじゃないか。
だが、本人はあまり話す気にはないほどのストレス源。
ならば、私には分からずゆっくり溶かす方が早い。
「また、褒めてか…」
そんなこと、言われなくたってする。
もう、10時間ほどやっても良いぐらい。
毎日毎日…飽きるまで沢山褒めて…幸せになって欲しい。
「今日もよく頑張りましたね。頑張る主様はいい子ですよ」
そう言って、男とは思えない真っ白なおでこにそっと口付けをした。
コメント
1件
わぁ~~~😭💕最高~🫶🥹続き楽しみ!!