テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
………______
うーん、、そうは言っても、物欲がなぁ…ないんだよね…と移動中の車内で考える
正直な話、”元貴とお揃い”というのが重要であって物はなんでもよかった
、、というか、もっと言えば”何かをお揃いにしたい元貴”が喜ぶ顔がみれれば何でも…
でも、元貴がせっかく考えといてって言ってくれたんだし、真剣に考えないと… と思いつつ、なかなかいいアイディアは浮かばない
そのまま、仕事を終え、誕生日会も終えて、気づけば帰りの車内の中にいた
誕生日会のテンションのままで、元貴と涼ちゃんがオンラインでゲームをしながらきゃっきゃとはしゃぎ笑っている
そんな2人を微笑ましく見守りつつ、俺は視線を窓の外にむけて景色をぼんやり見ながら、今朝の元貴からの課題と向き合った
結局一日中考えてたけど、これという物は思い浮かばなかったしな…と、初心に立ち返ってシンプルに俺が欲しいものを考えてみる
俺の欲しい物…
俺の欲しい物ねぇ……
実際、もう、あるんだよな…
…あるっていうか、いる。
…元貴。
もう随分前から、俺が一番欲しかった物だった
今、手の中にあるからって、いついなくなっちゃうとも保証がない物だけどね、、、と思って寂しくなる
せめて、元貴が、今は俺の物っていう証がほしいな…
そこまで考えたところで、車が急にガタンっと揺れて、一気に思考が現実に戻ってくる
……なんか俺相当浮ついてない?
……だいぶ気持ち悪い奴かも、、と自己嫌悪に陥いり、苦笑いを浮かべた
………______
帰宅するなり、 「お誕生日だから若井は座ってて」と言われ、元貴の好意に素直に甘える
元貴がお風呂を溜めてくれて、一緒に入った
誕生日会のために仕事は夕方までに調整されていて、そこから誕生日会をして帰宅してもいつもより随分時間が早かった
久しぶりに時間を気にせずに、湯船にゆっくり浸かる
…あ〜、きもちいい
おれの足の間には同じ向きをむいて座り俺の身体に身を預けてリラックスする元貴
頭を後に倒して俺の肩にコテンと預け、上を向いた状態で目線だけを俺の頭に向けて、俺の濡れた髪の毛をいじってご機嫌そうにしている
なにがそんなに嬉しいの??
…かわいいね。
「一番の誕生日プレゼントだよなぁ…」と無意識に呟く
皆に誕生日を祝ってもらい、プレゼントもたくさんもらって凄く嬉しかったはずなのに、今のこの時間が今日一番の幸せで、一番嬉しかった
その言葉に、はっとしたように
「…あ、若井。お誕生日プレゼント、なんかいい物あった?」と元貴が聞いてきた
「あー、、、、、、ごめん。まだちょっと、。」
あー……まぁね。
一応考えたけど、やっぱ言えないよなぁ、、
けど、こう言う時の元貴はやたら鋭くって
「いや、今の間なんだよ。」とつっこんだ後
「ぅん?若井…?ほら、いってごらん…?…ん?」と俺から回答を引き出すようにやたら優しい色っぽい声で言ってくる
「……」
ゴクっと固唾を飲む
言うだけ、言ってみる…、、?
「いや、あの…ね…?… 物じゃないんだけど、、元貴に、、、キスマーク、、を付けてみたくて…」
「………元貴が俺のって証っていうか…マーキング…的な…?」
元貴に乗せられて言ってみたものの、 言ってる途中からやっぱり恥ずかしくなった
ていうか言葉のチョイスミスった?…変態みたい…
ちらっと元貴をみる
「………」
元貴は少し戸惑っているようななんとも言えない表情をしていて、感情が読み取れなかった
……やっぱりきもかった…?
…引かれたかも……と内心結構焦る
「や…やっぱだめだよね、、…?、?」
「…急な撮影とか絶対ないとは言えないし…‼︎」
気まずい空気を誤魔化す様にわざと明るく、ははっと取り繕って笑いながらいってみる
だけど、そんな俺にも元貴は反応しなかった
コメント
4件
みささんの描写の表現の書き方がとても好きです。 「俺の濡れた髪をいじってご機嫌そうにしてる」の部分本当に好きな書き方で、そこを拝読した時にふたりがスっと頭の中で想像出来て、私の頭の中の大森さんがとてもご機嫌でめちゃくちゃ可愛かったです。(←ちょっとよく分からない変な事言ってすみません)