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「俺は・・・・・ずっと・・・・君の実家が裕福だってことが・・・いつも癪にさわってたんだ。俺は缶詰を食って学生時代を過ごしていたのに、君は何から何まで恵まれている・・・ちやほやしてくれる家族がいて・・資産家で・・家柄も良くて・・・
君がただのアルバイトで生活しているのも憎らしかった、親に頼めばいくらでも金をもらえるのがわかっていたからね・・・・ 」
「ずいぶんひねくれているのね、もう知ってるけど」
私は辛らつに言った
「君があの時一文無しで出て行った時も、正直いい気味だと思ったんだ、一文無しで生きていくのがどんな気持ちか俺のように頼れるのは自分だけというのが・・・どんなものか君に思い知らせてやりたいと思っていたのかもしれない・・・ 」
私は無言で彼の話を聞いた、正直妬みにしか聞こえなかった次に涙ながらに彼が言った
「君みたいな人を手放そうなんて俺が馬鹿だったよ。もし君が許してくれるなら、これからの人生で今までの埋め合わせをさせてもらいたい・・・君が望まないなら結婚しなくていい、一緒に暮らさなくてもいい、君が許してくれるなら今度こそ俺は君に尽くすよ、どうか俺にもう一度チャンスをくれないか?」
私は首を横に振り頭をハッキリさせようと思ったチャンスなんてもうないのよ、私は彼をもう愛していないのだから
「私はもう二度とあなたに電話をかけてきてほしくないわ」
「今は誰か付き合っている人がいるのかい?」
「そんな人なんかいないわ」
その途端自分がとてつもなく嫌になった、もう随分経つのに彼にまだ言い訳をする癖が残っているなんて・・・・
付き合っている人がいると言ってやればいいのに、悔しくてじわりと涙がこみ上げてくる
「まだ君を愛しているよ 」
そう言って彼は電話を切った
しばらく私はその場に氷のように固まった、どうして電話番号を知っているの?離婚して私とはかかわってはいけないんじゃなかったの?いずれはこの場所も突き止められる?
ううん、あの俊哉の事だからもう知っているかもしれない
そばでポポが心配そうにクゥーンと鼻を鳴らしている
過去から完全に逃れることはできない
いくら私が前に向かって歩みだしても、俊哉はこうして私を追い詰める、そして私が必死で忘れようとしていることをいつまでも思いださせることができる
ポポが心配そうにクゥーンと鼻を鳴らし耳を舐めてくれた
私はスマホを握りしめ玄関にうずくまって泣いた