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夜ごはんをおなかいっぱい食べたあと、ソファにごろんと寝転がった藍が目を細めてつぶやく。
「……眠なってきた……」
「食べすぎだろ」
「だって美味しかってんもん……それに、幸せすぎて眠たなったんや」
「は?」
「……祐希さん、寝かしつけて」
「赤ちゃんか、お前」
「ちゃうし……俺は『祐希さん限定の甘えんぼ男子』やねん」
「自分で言うなよ」
「寝るまでなんか話して。祐希さんの声落ち着くから」
祐希はちょっとだけ笑って、「今日、藍がどれだけ可愛かったか」を語り始める。
「……うぅ、照れるけど……すき……」
「寝るんじゃなかったのか?」
「ん……もうちょいだけ……聞いときたい……」
とろとろの甘え声で、祐希に包まれる藍。うとうとしながら、祐希の胸に頬をすり寄せる。
「……祐希さんの心臓の音、聞こえる……なんか落ち着くわ……」
「寝ろよ、子どもか」
「ええやん……俺な、こうしてると……ほんまに、守られてる気ぃすんねん」
祐希は少し黙ってから、ぽんぽんと藍の背中を叩く。
「藍はもう十分頑張ってるんだから、何も言わずに甘えてろ」
「……ん……ほな……ずっと甘えさしてな……俺、祐希さんにだけは……甘えんぼでいたいから……」
その言葉を最後に藍は静かな寝息を立てはじめた。祐希は寝顔を見下ろしながら、くすっと笑って小さく囁く。
「……可愛い俺限定甘えんぼだな」
この時間だけは世界でいちばん幸せな寝かしつけ。