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こんな時はケチらず『木材100個』を使って特大の落とし穴を作ってやる。しかも、特大の場合は、敵の足元に設置できるという嬉しい特典付き。
ギリギリの距離でグリンブルスティの突進を回避しながら、俺は『防衛設備』の開発をする。……焦った、踏み潰されるところだった。
しかし、分断されてしまった。
スコルとアルフレッドはどこだ? 砂埃が舞って視界が悪い。くそう、グリンブルスティめ、暴れ回りやがって。
「ラスティ様、こちらは大丈夫です! ただし、武器がないのでスコル様をお守りするのには限界がございます!!」
しまった、そうだったな。いくらアルフレッドが優秀な騎士とはいえ、武器がなかった。素手で勝てる相手ではないだろう。ならばこそ、俺が頑張らないと!
直ぐに『落とし穴』を作り、グリンブルスティの足元へ……と、思ったが。ヤロウ、思いのほか動き回りやがる。しかも、ターゲットをこちらではなく、スコルの方に向けていた。なんてこった。
「くそっ、これでは落とし穴を作っても、スコルとアルフレッドを巻き込んでしまう!」
何か方法は――!
石投げでは与えるダメージに限界がある。落とし穴以外の他の防衛設備なんて作っている余裕はないし、あってもダメージに大差がない。
どうする……!
どうすればいい……!
その時、俺の背筋に稲妻が走った。
アルフレッド、お前が来てくれてから俺は幼少の頃の記憶に助けられている。あれは五年前だろう、異国の地から帰ってきたアルフレッドは、そこに住む民族の狩猟方法を教えてくれた。
どうやら、その民族は『石』を棍棒(こんぼう)などで打撃し、イノシシなどを狩ると言っていた。それを応用する。
俺は拳サイズの石をアイテムボックスから取り出し、それを宙に放り投げた。そして、ゲイルチュールのピックで思いっきり、激烈に打ちつけた!
ガンッ! と、見事な音と共に飛翔していく石の塊。俺の能力を上乗せしているから、凄まじいスピード。緋色の弾丸になっていた。
『ブオオオオォォォォォオ…………』
グリンブルスティの腰あたりを貫き、大ダメージを与えた。これは確実。ヤツは巨体を崩し、とうとう倒れた。ここだ、ここで落とし穴を作る!
スコルとアルフレッドが避難している事を確認し、俺はスキルを発動。
落とし穴(特大)をヤツの下に作り上げた。
グンっと広がる大きな穴。特大故、グリンブルスティの大きさを遥に超える。深さも相当あるようで、そこへ沈んでいった。ズドンと大きな地響きを立て、ヤツは深淵へ落ちた。
「……やった!!」
勝利のよいんに浸っていると、声がした。
「た、倒したんですか……ラスティさん」
「スコル、それにアルフレッドも無事だったんだな」
二人とも遠回りしてきたようだ。どうやらケガもなく、無事のようだな。
「こんな湖みたいな大穴に落ちたんだ、無事では済まないだろうな。だけど、倒し切ってはいないようだし、ゲイルチュールでダメージを与えまくれば倒し切るだろう」
その通り、俺は穴へ飛び込みグリンブルスティの腹の上へ。ザクザクとダメージを与え、ついに倒した。……罠を駆使すれば、あんな狂暴なボスモンスターも倒せるものだ。