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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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「…………」
『シロさんシロさん、すまん。ここんとこ、コレでやり方合ってる? 別の方解き方した方が良い感じ? なぁんかゴチャゴチャして、すげぇ変な感じがして』
「…………」
『シロ! 頼む教えてくれ! この手の暗記問題、どうにか覚えやすくするコツは無いのか!? もう無理! でも前に教わった所は、なんか結構覚えられた気がするから! 御頼み申す!』
本日、sevenとお出かけした後。
この一週間で通例となった勉強会が開かれていた訳だが。
ヤバイ、もの凄くぼーっとしている。
グレーさんと出っ歯さんに呼ばれている事に遅れて気が付いて、ハッ! なんて変な声を上げてしまったくらいだ。
「え、えぇと! グレーさんの方は、合ってます。けど難しく考えすぎているだけで、もっと単純な計算式で解ける問題なので……えと、この解き方でっていう指定が無い限りは、こうやって……」
カメラを起動させたままにしてあるスマホを固定、目の前のノートにスラスラと式を書いてみると。
『あぁ、あぁ! なるほど! ずっとこっちの問題だったけど、いちいち当て嵌めない方が簡単なのか!』
「ですです。それで出っ歯さんの方は、歴史なので。全て文字列を覚えようとすると大変ですから、理解しちゃった方が早いと思います。この人の家系がどれくらい続いたから、次はこの人。その時こういう事をしたから偉くなった人~みたいに。時代の流れを覚えて当て嵌めちゃうと、あぁーアレやった人かって思い出せると思います。ちなみに今覚えようとしている所は――」
こっちもこっちで時系列的に分かりやすく書いてあげれば、出っ歯さんが物凄い勢いで私のノートを複写しているのが分かる。
皆のカメラ映像も届いているので、凄く頑張っているなぁっていうのは伝わって来るのだが。
不味いな、如何せん私の気が抜け過ぎている。
しばらく皆集中するタイミングとかで、思わずボーッとしちゃう。
「え、と。黒沢君の方は、大丈夫ですか?」
『うん、今のところ大丈夫。ありがと白川さん、教えてもらったらスラスラ進む様になってきた』
「お役に立てたようでしたら、良かったです」
そんな会話をしつつも、手が空くとどうしても思い出してしまうのは昼間の事。
今でも信じられない言葉の数々というか……あのsevenが、私に“憧れ”を抱いてくれたと言っていた事。
百歩譲って6keyなら分かる。
一応実績は残しているし、表情のトレースはカットしてあるので此方の情けない表情は皆に見せていない。
なんだけど……まさかの、リアルの私にもちゃんと“そういう感情”を向けてくれているとは。
此方が他の人に憧れる事はあっても、その逆はあり得ない。
ずっとそう思って来たのに……あの人は、真正面から言葉にしてくれたのだ。
貴女は凄い人だよって、ちゃんと出来ているよって。
こんな風に言ってもらったのは、これまでお兄ちゃん以外には居なかった。
私が妹だから、お兄ちゃんは励ましてくれているんだとずっと思っていたけど。
でも6keyが新しく使い始めたハンドガンを貰った時、その言葉は励ましでも何でもないと“頭で”理解させられた気がした。
それを……こんなに立て続けに、他の人から言ってもらえるなんて。
私の人生は、今が一番のピークなんじゃないか?
などと変な事を考えてしまうくらいには、混乱している気がする。
いや、この感情は“混乱”とはまた違うのか。
単純に、嬉しいのだと思う。
けどこれまで、こんなにも真正面から褒めてもらったり、認めてもらう事の方が少なかったから。
多分、感情が追い付いていない。
「私は……そんな凄い人じゃないのに」
どうして、お兄ちゃんやsevenはあんな風に言ってくれるのだろうか。
ポツリと、誰に聞かせる訳でもない言葉が漏れてしまったのだが。
『白川さんは、凄い人だと思うよ?』
『いや普通に凄いだろ。だって俺等みたいな三馬鹿が、今普通に問題理解してんだぜ? たった数日でここまで出来る様になったってヤバイわ。教師の授業より、シロさんの授業の方が頭良くなりそう』
『シロ様神様仏様! 貴女様はとても凄い人です! ついでに今度俺のハンドガン何かあげるので、コッチのページもアドバイスプリーズ!』
急にお三方から声が返って来てしまい、思わずギョッとしてしまった。
どうやら思ったよりもマイクの感度が良かったらしく、私の独り言が聞かれてしまった様で。
でも……何でか、自分でも驚くほどにフニャッと表情が緩んだ気がする。
だって皆、自然な感じで私を受け入れてくれた感じがして。
誰かの凄い所を見つけた時、私だったら。
ココが凄いです! これこれこういう理由で凄いと思いました! 私は出来ないです!
みたいな。
相手に具体的な思考を伝える様な喋り方になってしまうきらいがある。
そしてこればかりは私の癖とも言えるのだが、どうしたって“私には出来ないから”という理由が付いて回る。
けど皆は、そんな肩肘張った様な回答は用意せず。
普通に“凄いよ”って言ってくれた気がして。
当たり前みたいに認め合って、ここに居て良いんだって思わせてくれるような環境。
こういうのが、“友達”っていう関係なのだろうか?
なんだか今日は、色んな人からいっぱい褒めてもらえた。
たったそれだけの事、って普通なら言われちゃうかもしれないけど。
私にとっては、凄く良い一日だとしか表現しようがなかった。
◆
「テスト範囲、一応終わったぁぁぁ……」
グッと身体を伸ばしつつ、ポキポキと首を鳴らしていると。
「おっつかれぇい、弟。大好きな白川妹との勉強会は、捗ってるかい?」
ニヤニヤした兄貴が、扉の隙間からニョキッと首だけ出して来た。
こ、こいつは……相変わらず。
思わず大きなため息を零しつつ振り返ってみたけど。
あれ、そもそも何で扉が微妙に開いてるの。
絶対閉めた筈だし、開閉の音も聞えなかったんだけど。
もしかしてコレも兄貴が得意とする、“ステルス”の一種なのだろうか。
「いや、ちょっと感心しちゃったけど。普通にノックしようよ、せめて声掛けようよ。一般の家庭なら、兄弟喧嘩待ったなしだよ?」
「だははっ、悪い悪い。なんかもう楽しそうにお勉強してるからさ、邪魔しちゃ悪いなと思って」
そんな事を言いつつ、兄貴が何やら小脇に段ボール箱抱えながら入室して来た。
なんだろう、アレ。
「ほほぉ~意外や意外、ちゃんとやってるみたいだな。普段より綺麗にまとまったじゃないの」
「白川さんの教え方が良いからね。ノートは自分の為の辞書にするのが一番効率も良いって、そう言われたから。まとめ方のコツとかまで教わっちゃった」
「白川妹は頭も良いっつぅか、普段から効率が良いんだな。すっげぇわマジで。てっきり二人で恋バナでもしながらサボってんのか思えば、コレだもの。俺が一目見ても、今何勉強してんのか分かるくらいだわ」
いや、皆で勉強してるって説明したじゃん。
他の二人が居るのに、個人的な会話なんて繰り広げないって……。
などと、ちょっとげんなりしつつ相手を睨んでみれば。
「怒るな怒るな、高校生なんて普通はそんなもんだって話だよ。向こうが元々真面目なのはそうかもだけど、お前もそういう“切り替え”って意味で、随分と相手から良い影響を貰ったんじゃないか? これまでだったら、覗きに来てもいっつもモデルガン弄ってサボったりしてたもんな」
「う、うるさいな……でも、確かにそうかも。教わってる以上は~っていうのは、もちろんあるけど。白川さんと何かを一緒にやる時、結構キッチリ目的を分ける癖が付いた気がする」
言われて気が付いたけど、考えてみればそうだ。
これまでは何となくでやっていたり、夢中になっているつもりで集中しきれていなかったり。
だからこそあっちにもこっちにも手を伸ばして、全て中途半端に終わっていた感じがする。
なのにここ最近、特に白川さんが関わっている事例に関しては。
“今やるべき事”の順序が、自分の中でも結構決めやすくなったと言うか。
色々迷う事は多いし、考える事も増え続けてはいるのだけれども。
それでも、集中出来なくて他の事に手を伸ばす~みたいな。
そういう中途半端な行動は極端に減った気がする。
「やっぱ、白川さんは凄いよ……」
「ホレてんな」
「うるさいな、別に良いじゃん」
これもまた、俺の中の変化の一つ。
きっぱりと“言い切る”事が出来る様になった。
恥ずかしいとか、そういう気持ちは未だに残っていたりはするものの。
俺は、白川さんが好きだ。
その気持ちだけは、誤魔化す気になれない状態に陥っていた。
ただし……本人に対しては、未だに言葉に出来ないけど。
ついでに言えば、これ等の気持ちが根幹にあると自分でしっかりと認識したからなのか。
今回また、白川さんをデートに誘った。
というか“ちゃんとしたデート”って意味では、初のお誘いと言う事になるのか。
いくら何でも急すぎだろって話だし、自分でもどうかと思う様な提案をしてしまったのも分かっている。
けど試したい事というか、どうしても確かめたい事がある。
それを調べる手がかりとして、普段とは違う環境に彼女を連れ出す必要があった訳なのだが……。
今思い出しても、思い切った発言したなぁと自分でも思う。
などと、頭の中で自己分析を繰り返していると。
「んじゃ、少しだけ成長した弟に……お兄様からの御褒美だ。ありがたく受け取れ」
「さっきから気になってたけど、コレ……何?」
脇に抱えていた段ボール箱を差し出され、とりあえず受け取ったけども。
それなりに、重いし大きい。
兄貴は結構俺に物をくれたりするので、こういうのも非常にありがたいんだけど。
今回は何だろう?
現に俺が所持している中型のスクーターだって、兄からのお下がりだし。
免許取れた、ヤッター! とか騒いでいたら、鍵をポイッと渡されて。
「おめでとさん。んじゃソレ、お前にやるよ」
とか言って、バイクまで貰っている。
ついでに言うと今兄貴が乗っているバイクも、“欲しければやるよ”とか言ってくれているという。
本当にくれそうなので、絶対言わない様にしているけど。
まだスクーターだって全然元気なんだから、そんなに色々貰ってばかりでは不味いよね……。
などと色々思い出してしまったが、とりあえず渡された段ボール箱を開いてみると。
「…………これって」
「正直に言うとな? お前にくれてやるかーって思ってたんだけど、普通に忘れてたわ! はっはっは。むしろ俺も開けてなかったから、会社にはめっちゃ失礼な事してっけど」
段ボール箱から出て来たのは、これまた箱……なのは良いとして。
そいつを開いてみれば、もはや馴染みがあると言ってもいい形のハンドガンが。
賞金首専用の、6keyが好んで使っていた武器。
今では市場にも売り出され、在庫切れが続出している品。
でも兄貴の言う事なら……これはどうやら、最初期のモデルというか。
まだ売り出されていない段階で、会社側と賞金首に配られた試作機。
ゲーム内ではこれを掴んで戦っていると言うのに、現実では初めてお目にしたサブウェポン。
「前のイベントで6keyと対面した時、見てて思ったんだよ。お前、まだソレに慣れてないだろ? あと構え方が雑だ。リアルでも手にして、そっちもしっかり勉強してみるこった」
「……ありがと、兄貴」
手にしたソレは、しっかりと俺の手に馴染んでいた。
ガンサバの中では、何度も手にしていたから。
感覚だけは、“頭”が覚えている。
なんだけど。
「どした? そんな難しい顔して。もしかして、いらなかったか?」
「ううん! 違う! ホント嬉しい! 物凄く欲しかったし! なん、だけどさ……これだけ。一個だけで良いから、答えてくれないかな……」
そんな言葉と共に、モデルガンのスライドを引き。
サイトを壁に掛けられているターゲットに合わせてから。
「“シックス”は……俺が、撃っていい人なの?」
この言葉に対し、兄貴は暫くの間沈黙で返し。
そして。
「可能性を全部想像して、潰して行って、そして決める。これも“スナイパー”の仕事だぞ? ゲームだからって軽く考えるのなら、迷いなくトリガーを引けば良いさ。けどな、“本気”の奴ほど……引き金が重くなる瞬間ってのがあるんだよ。あんなゲームの賞金首に選ばれる奴なんて、大体普通じゃないからな。“認められたい”のなら、まずは銃を向けられる側を卒業してから考えるこった」
つまり、どっちにしろ強くなるしかないと言う事なのだろう。
撃つ撃たないの前に、相対した時に向こうから一方的に銃を向けられているのでは話にならない。
まずは同じ土俵に立たないと、こんな事を悩む事ですらおこがましいという訳だ。
もしも、あのシックスが白川さん本人なんだとしたら……。
彼女が心の中に秘めた牙が、あの姿だと言うのなら。
それこそ、対等にならないと。
白川さんを守りたいだなんて、どの口がって話になって来るのだろう。
「この後……ちょっとだけ、射撃訓練付き合ってくれる?」
「テスト期間中だぞ、高校生」
「うん、分かってる。そっちもちゃんとやる。だから……本当に、ちょっとだけ」
そう言って頭を下げてみれば。
兄貴は、盛大なため息を零してから。
「一時間だけな。気晴らし程度、それ以上は粘っても駄目。その時間内に、ちゃんと成果を残す覚悟で挑め。良いな? あと、勉強も絶対サボらない事」
「わ、分かった!」
やっぱり兄貴は、此方の我儘に最後は付き合ってくれるのであった。
一旦ハンドガンを机に置き、ベッドに飛び込んでVRゴーグルを装着する。
色々悩む事も、どうしようってテンパる事も多いけど。
もしもシックスが彼女なら……それこそ、対等な位置に立てないと格好悪いってもんだろう。
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わあ〜新着エピソードだ!!📚✨ ゆめか、もう待ちきれずに読み始めちゃったよ〜っ🎀 今回の第115話、めっちゃ温かくてときめくシーンの連続だった…!😭💕 まずシロさんが勉強会で三馬鹿たちに教えてる光景がもう尊すぎる。「凄いよ」って自然に言い合える関係性、まさに友達って感じで心がほっこりしたよ〜!そして黒沢くんの兄貴登場からの試作品ハンドガン、そして「シックスは俺が撃っていい人なの?」っていう問いかけ…重いけどすごく大事なテーマだよね。 くろぬかさんのキャラの心情描写、毎回エモすぎてやばいです!!😭💖 続きが気になりすぎる〜!