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『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
『同じ教室で貴方と過ごす』
〜青と緑が指す教室〜
1人には屋上。もう1人には体育館。最後の1人は教室に呼び出した。
16時ちょうど私はその場所で待ってる。と。
ガラッ…。
『来てくれてありがとう。』
私は自分の教室の椅子から立ち上がる。
『バスティン。』
『ちゃんと、決めてくれたんだな。』
『うん。』
『…花澄さん。大好きだ。
俺とずっと一緒にいてくれ。』
『うん…!』
私とバスティンは抱き締め合う。
『やっと…俺のものだ…。』
『ふふっ。嬉しい?』
『当たり前だろう。好きな人がやっと俺のことを好きになってくれたんだ。』
『改めて言うと照れくさいね…。』
『どうして俺を選んでくれたんだ?』
『…それはね。ずっと胸の中にあったモヤモヤを消してくれたからだよ。』
『モヤモヤ……?』
『うん。私は過去に和を極めて色んなことをした。それで賞を取ったけど、罵詈雑言を浴びせられてそれで逃げた。そこからはもう二度とやること無かった。ただ、華道を楽しむことだけを一番に考えて。この間昔の自分が帰ってきたみたいに自由に楽しめた。楽しかった。久しぶりにかるたをはたけて。将棋をやって。囲碁を打って。矢を射れて。バスティンのおかげなの。自分の気持ちに素直にって言ってくれたから。』
『花澄さん…。』
『好きだよ。バスティン。私と付き合ってください。』
『あぁ。もちろんだ。ずっと…そばにいる。
俺が幸せにする。』
夕日に照らされながらキスを交わす。
一方その頃――。
『…16時10分…そうか。花澄さんは俺じゃなくて……。』
ギィィ…
『ロノさん…。』
『ユーハン…花澄さんは俺じゃなかったみたいだ。ってことはバスティンかベリアンさんを…。』
『残念ながらベリアンでもないかな。』
『る、ルカス様?』
『ベリアンのとこには花澄さんは来てない。』
同時刻――。
『花澄さんはあの二人のどちらかを選びましたか…ふぅ…。私なりに頑張ったんですけどね…。』
『ベリアン…。』
『ベレン、そんな顔しないでください。大丈夫ですよ。』
『ベリアン。泣きたいなら泣いていい。』
『いえ…私以上に泣きたい人がきっといるはずです。私は…泣きませんよ。』
『そうですか…ってことは花澄さんはバスティンを…。』
『ロノさん…。』
『…っ。ユーハンそんな顔すんなって。なんで俺よりお前が泣きそうなんだよ。』
『っ……。』
俺はその場に座り込む。
『っは…っ。くそ……っ。泣かねぇって決めてたのに…。』
『…傍に居ますよ。ロノさんの気の済むまで。』
『ぅ…っ。ぐす……っ。』
『……ん。』
『……。』
微かな吐息を立てて唇は離れる。
『あの…私バスティンとしたいことがあったの。』
『したいこと?』
『うん。同級生ごっこ。』
『同級生ごっこ?』
『うん。学年違うからクラスも違うじゃん?だから今は同級生として接するの。バスティンも私の事さん付け禁止ね!』
『ふっ。分かった。』
隣の席にバスティンが座る。
『……花澄。』
ドキッ。
『な、何…?』
『…いや、なんでもない。呼んだだけだ。』
『っー!もう、からかわないでよ…。』
『可愛いな。花澄。』
『っ…。』
私は気分を変えようと黒板の前に立つ。
『そ、そうだ、黒板に落書きでもしない?』
『あぁ。』
(バスティンなんでこんなに早く順応してるの…っ。)
『それ猫ちゃん?可愛いね。』
『あぁ。もふもふを強調させてみた。』
『ほんとだ、もふもふだ。』
(私から提案したものの…恥ずかしい。)
と、その時廊下から足音がする。
『なんか声したぞ〜?下校時間だ、まだ残ってんのか?』
『やば、生徒指導の先生だ!』
『花澄。こっちだ。』
グイッ!
バスティンと私は教卓の下に隠れる。
『……っ。』
(ち、近い…)
ガラッ
『誰もいないのか?聞き間違えか…』
バタンっ。
『…っ。』
『…花澄。』
『ば、バスティン…っ。』
『『……。』』
鼻先が触れる。あと少しでも動けばキスしてしまいそうな距離だ。
『…っ。』
『……いいか?』
『ん…。』
私の返事を待たずバスティンはキスをする。
『ん、ふ…っ。』
静寂と夕日に包まれた、狭い空間で甘いキスを交わした。
この幸せを言葉にするなど不要だ。
もう互いの目にはお互いしか見えていないのだから。
HAPPY END
次回
『体育館で過ごす熱い戦い』
〜緑と黄色に包まれた空間〜