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新しい噂。
それは一体どこから生まれ、どこで広がり、どこで終わるのか。それは人間という言語でコミュニケーションを取る動物にとっては線を引くには不可能の域にあった。
きっとそろそろ新しいものに手を出し始める頃だろう。
見た目が可愛くて注目度の集まる流行のものも噛めば噛むほど味が広がるガムも一時的な興味に過ぎず、それは次第になくなっていくものである。
そして新しいものへと目が移る
また飽きて、次を見つけて、また飽きて
最終は昔のものとされていたものがまた再熱する。ファッションと同じように噂もまた目移りしやすいものだった。
…………………………………………………*
〈kintoki side〉
kr 「じゃあみんな、伝えた通り頼むね」
br 「はぁーい!きんさん行こう」
俺たちの役割は休み時間に理科実験室を見張ること。 普段は登校くらいしか二人の時間はないから休み時間に完全に二人きりって変な感じ。
br 「なんか新鮮だねぇ」
どうやらそれは俺だけが感じてたわけじゃなかったらしくて、言葉に出さずとも伝わる感じはさすが幼馴染だなと改めて実感する。
kn 「スマイルときりやん、どんな噂に変えるのかな」
br 「前回は恋愛系マシマシだったからね、
どうだろう」
kn 「ラーメンみたいにすんなよ」
いつもみたいにふざけるけど、それでもいつもよりも雨の音がよく聞こえた気がする。
耳に届くのは地面に雫が打ち付けられる音で、それが響いてこの場から俺を逃がそうとしなかった。
br 「ねぇ、きんとき」
kn 「なに?」
br 「僕は好きだよ。」
kn 「、、、は」
俺の口からは空気が漏れる音がした。それが声としての音になってるかもわからないが、彼のまっすぐな瞳はあまりにも綺麗で、少し怖かった。
いつもはふにゃりと溶けるような笑顔でやさしい日差しみたいな表情をするのに、今の彼は俺をまっすぐに突き刺してくる。
電撃が走った気がした。
、、、、そう、雷みたいに鋭い視線。
br 「この学園のくだらない噂。」
、、、、。
あぁ、なんだよ。あまりに真剣な顔をするから勘違いしてしまったじゃないか
kn 「倒置法使うなよ。勘違いするだろ」
〈brooock side〉
またこうして彼はずるい言い方をする
ゴロゴロと空が呻き声をあげる。
どうやらこの学園は雨が止むことを知らないらしく、永遠に閉じ込められる気分だった
ピシァアアアンッ
kn 「結構雷近いな」
ピシァアアアンッ
ビクッ
kn 「、、、、?」
kn 「ぶるーく、もしかしてだけど雷怖い?」
br 「、、、。」
頑張って耐えてたのに。
br 「かっこわるい、」ボソッ
kn 「え?ごめん雨の音で聞こえなかった」
br 「くっついていい?」
kn 「しょうがないなぁ、いいよ」
僕よりも小さな胸の中に顔を埋めて、雷が突き刺さるたび手を強く握った。
どんなに雨の音が強くても、どんなに雷が近くで落ちても、そのゆっくりとした胸の音を聞き逃すことはなくてすごく心地よかった。
br 「ねぇ、きんとき」
kn 「ん?」
br 「さっき何を勘違いしたの」
ドクンッ
心臓の音が早まっている振動を耳で感じながらその答えを待つ。
、、、いや待てなかったのかな
br 「きんときが僕に抱いてる気持ちも勘違いなのかなぁ、」
まあいっか、と意地悪くはきだして彼の首元を匂う。ぴくりと反応はするけれど抵抗はせず、それよりも答えに困っているようでその姿も愛らしかった。
耳をさらりと撫でて視線を僕の瞳の中に留めさせた。
kn 「え、ちょ」
か細く放つその声は聞こえないふりをして、その艶やかで綺麗な唇をみつめた。
言葉は必要ない、だってきんときにはなんでも伝わるから。
ピシァアアアンッ
ビクッ
、、くっそ。なんでこんな時でも情けないんだ
クスッ
kn 「ふはは」
br 「笑うなしぃ、ちゅーしてやr、」
チュゥッ
br 「っ!?」
その綺麗な瞳は隠されて、視界は近すぎてぼやけてしまって、彼のまつ毛の長さを知った。
kn 「ぶるーくができないなら俺がしてあげるよ」
少し無理をして格好つけているのか、その顔は僕のカーディガンの色を反射したみたいで、瞳はうるりと輝いて、その瞳に映る僕もまた同じように映っていた。
br 「あーもう焦ったい!」
br 「好きだよ。きんとき」
kn 「いいの?俺男だよ」
br 「性別がどうとかじゃなくて、きんときが好きなの。怒るよ?」
kn 「やめろやめろ笑」
br 「付き合ってほしい」
kn 「ぶるーくからちゃんとキスできたらね」
なーんて意地悪そうにいうけれど、そんなの雷に負けるわけがないじゃん?
俺の欲望を甘く見てもらっては困る。
br 「後悔してもしーらない!」
身体の底から震えるような振動と本能の恐怖で震える背中を押さえ込んで、もう一度彼の鼻の高さを、まつ毛の長さを知りたかった。
nk 「ぶるーくー?きんときー?
きりやんが戻っておいでーって」
、、、、、、。
本当に間が悪いというかなんというか。
もぉー、僕今日なんも上手くいかない!
nk 「何そんなに拗ねてんの」
kn 「ほら行くよぶるーく」
悔しい思いを感じながら彼らの後ろ姿についていくけれど、きんときの耳がほんのりと紅く染めながら前を歩くなかむには見えないようにして手のひらで僕を呼ぶ。
小走りでその手を捕まえる。
kn 「よろしくね」
キスはできなかったけど、この言葉だけで満足だった。