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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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服を作る際に必要となる『イビルシープ』の体毛をゲットするためにナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)とその仲間たちは久々に地上に舞い降りた。


『メェー! メェー!』


「羊《ひつじ》さーん、おとなしくしててくれよー」


彼が野生の『イビルシープ』の群れに近づくと、羊《ひつじ》たちは全力で彼から離れ始めた。


「えっ?」


彼が別の羊《ひつじ》たちの群れに目をやると、その群れも一斉に彼から離れ始めた。


「んー?」


彼が別の群れに目を向けると同時に、その群れに突進し始めると、その群れも他の群れと同じ行動を開始した。


「……ううっ……どうして、逃げるんだよ。お前たちは時間が経《た》てば経つほど、強くなるんじゃないのかよ」


彼が四つん這いになっていると、シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)が彼の肩に手を置いた。


「ナオ兄、どうしたの? 疲れたの?」


「いや、違うよ。なんか俺が近づくと、羊《ひつじ》たちが逃げていくんだよ。俺は『ワ○パチ』かよ」


「うーん、じゃあ、逆にそれを利用すればいいんじゃないのかな?」


「逆にそれを利用する?」


「うん、そうだよ。シャチみたいにジリジリと獲物を追い詰めていって、獲物が弱るまで獲物をボールみたいに扱って、弱ったところを」


「待て待て待て。俺はそこまでやろうとは思ってないぞ?」


「えっ? そうなの?」


「ああ、そうだ」


「そっか。じゃあ、追い詰めるところまでやってみようか」


「そうだな。何事も挑戦してみないと、どうなるのか分からないよな」


彼はスッと立ち上がると、中規模の群れに目を向けた。


「羊《ひつじ》さんたちー! 俺と戦おうぜー!」


彼が走り始めると、羊《ひつじ》たちは彼から全力で逃げ始めた。


「待て待てー!」


『メェー!』


「逃げるなー! 戦えー!」


『メェー!』


「クソー! どうして逃げるんだよー!」


彼が群れに追いつき、羊《ひつじ》たちの群れの周りを走り始めると、羊《ひつじ》たちは急停止した。


「マナミちゃん、マナミちゃん」


「ん? どうしたの? シオリちゃん」


シオリがマナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》に声をかける。

彼女はナオトの方を指差して、そのことを伝えた。


「えっと、シオリちゃんはあれが何か知りたいの?」


「うん」


「え、えーっと、あれはたしか……」


「追い込み漁よ」


そう言いながら、二人のところにやってきたのはミノリ(吸血鬼)だった。


「そ、そうそれです!」


「どれだけ大きな生物だろうと、行動範囲を狭《せば》めてしまえば狩るのは容易よ。まあ、ナオトはそんなことこれっぽっちも考えていないだろうけどね」


彼女がそんなことを言うと、ナオトが気絶させた羊《ひつじ》たちを大量に運んできた。


「大量! 大量!」


「そうね、大量ね」


「えーっと、一匹、二匹、三匹……」


「マナミちゃん、寝ちゃダメだよ」


「あっ、そうだったね。ありがとう、シオリちゃん」


「どういたしまして」


シオリはそう言うと、羊《ひつじ》の体毛にダイブした。


「もふー♪」


「そうだなー。もふもふしてるなー。癒《いや》されるよなー」


彼が羊《ひつじ》の体毛を枕にしていると、シオリもそれをマネした。


「ちょっと二人とも。まだまだ体毛が必要なんだから寝ちゃダメよ……って、もう手遅れみたいね」


「そうですね。もう二人は夢の中みたいですね」


「はぁ……仕方ないわね。マナミ、他のみんなに伝えて。ナオトとシオリが起きるまでは狩《か》りを続行するって」


「分かりました!」


マナミはそう言うと、目にも留まらぬ速さで走り去った。


「体はともかく精神年齢まで幼《おさな》くなられたら困るんだから、しっかりしてよね」


彼女が彼の頬を指でつつくと、彼は「んなぁ……」と言った。

彼女はしばらくそれを何度も繰り返し行っていたという。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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