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双子の兄ができました

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双子の兄ができました

8 - 第8 話「泣いてる君に、ふたりの手が差し出された」

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2025年06月21日

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夜、ベッドの中。


俺は、泣いていた。

目を閉じても、陽翔さんの表情が焼き付いて離れなかった。


「……なんで、こんなに苦しいんだろ」


ひとりで泣くの、もうやめたい。

でも、誰の名前を呼べばいいのか、わからなかった。


そのとき――


ノックの音。


「……入るぞ」


静かな声。奏さんだった。

そっと入ってきた彼は、俺の横に腰を下ろした。


「泣いてたのか」


「……ごめん、全部俺のせいで」


「違う」


その一言に、思わず顔を上げる。


「陽翔が泣いたのは、俺が原因だ。

お前と、こっそり繋いだ手を、見られてた。

……隠すつもりはなかったけど、怖かった」


「怖い……?」


「お前が、陽翔を選んだらって思ったら。

ずっと……苦しかった」


不器用すぎる言葉。

でも、真っ直ぐな声だった。


「もう、嫌なんだよ」


奏さんが、ぎゅっと俺を抱きしめた。

少しだけ乱れた息が、俺の耳に触れた。


「逃げんなよ。選ばなくていいから、ちゃんと見てろよ。

……お前のこと、ふたりとも本気で好きなんだから」


そしてそのとき、もうひとつの声がした。


「俺も、同じこと言いに来たんだけどな~」


ドアの隙間から、陽翔さんが顔を出していた。

笑ってるけど、目が赤い。


「ごめん、怒ってごめん。

でも、俺も君のこと好きで、諦めたくなかった」


陽翔さんがゆっくり近づいてくる。

そして、片膝をついて、俺の手を握った。


「どっちか選べない? ……いいよ、じゃあ俺たちが選ぶ」


「君が笑っててくれるなら、それでいい」


「なあ、奏。お前もそうだろ」


奏さんは、小さく頷いた。

そして、もう片方の手が、俺の頬にそっと触れた。


「……俺たちのものになれよ」


その瞬間、心がふわっと軽くなった。


あたたかい。

優しい。

ずっと欲しかった“家族”とは、違うかたちの、愛の手だった。


俺は――

どちらの手も、強く握り返した

双子の兄ができました

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