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第64話 「気まずい理由」

「じゃあ、結局どう思ってんの?」

クラスメイトの問いに、当時高校二年生だった草薙鞘佳は――笑顔でこう答えた。

「――猫、かな」

悪びれる様子もない、平然とした言葉。

「あ、でも体格的には猫より犬? でも目付きとか猫っぽいし……気まぐれっぽいところもあるから、やっぱり猫かなぁ」

「え……犬? 猫?」

「どっちにしても、こう……最初は懐いてくれなかったのが最近懐いてくれるようになって、ちょっと情が湧いた、みたいな?」

予想外の言葉だったらしく、戸惑いを隠せないクラスメイトたち。

確かに人を笑顔で犬猫扱いするというのは、人によっては失礼な言葉になるのだろうが――

「……」

その様子を見ていた楓は思う。

(……これはたぶん、この状況の雰囲気に抵抗したかった結果……だろうな)

高校二年生当時、楓と鞘佳の距離は確かに他のクラスメイトたちよりも近い。*********

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両片思いをこじらせている二人の話。

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